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ディナゲストに休薬期間は必要か?
公開. 更新. 投稿者:月経/子宮内膜症.この記事は約3分34秒で読めます.
10,723 ビュー. カテゴリ:ディナゲストと不正出血

子宮内膜症治療薬として広く使われているディナゲスト(ジエノゲスト)は、服用中に不正出血が起こることが多く、その対応として休薬を検討するケースがあります。
ディナゲストは、血中のエストロゲン濃度を低下させ、子宮内膜の増殖を抑える黄体ホルモン製剤です。エストロゲンが減少することで子宮内膜が保持されにくくなり、脱落しやすくなります。服用前に蓄積していた内膜が徐々に剥がれ落ちることで、不正出血が続くことがあります。
ディナゲスト服用中の不正出血は非常に頻度が高く、長期投与試験では約6割の症例に報告されています。ただし、服用開始から8週以降は次第に減少傾向がみられるとされています。
このような不正出血により、患者の不安やコンプライアンスの低下につながることもあるため、対応が重要です。不正出血は、内膜が治療によって変化・脱落している過程で生じている可能性が高く、「効果が出始めた兆候」として捉えることもできるのでポジティブな受け止めも必要です。
通常、ディナゲストは連日服用が基本であり、定期的な休薬は推奨されていません。休薬によってホルモン環境が変動し、症状が再燃する可能性もあります。
しかし一部の臨床報告では、21日服用+7日休薬のサイクルで投与した例があり、以下のような結果が得られています。
・休薬中に5〜7日の月経様出血が定期的に出現
・服薬期間中の不正出血が減少
・更年期様症状の発現頻度も減少
・月経時の下腹痛(VASスコア)も改善
この方法は、患者のQOL向上や継続服用のための工夫として検討されることがありますが、保険適応外の周期投与法となるため、医師による判断と疑義照会が必要です。
破綻出血と消退出血
不正出血の背景を理解するために、機能性子宮出血の分類を知っておくと役立ちます。
消退出血:エストロゲンやプロゲステロンの分泌が急激に低下すると、内膜の支持がなくなり、全体的に剥がれ落ちて出血します。月経もこの一種です。
破綻出血:ホルモンの分泌が不安定な状態で、内膜が部分的に脆弱化し、血行不良や壊死を起こして出血します。ディナゲストによる不正出血はこのタイプが多くみられます。
いずれもホルモンバランスの乱れが背景にあるため、中用量ピルなどを短期間使用してホルモン環境を整えることで止血することもあります。
子宮内膜症とディナゲスト
子宮内膜症は、本来子宮の内側にあるはずの内膜組織が卵巣や腹腔内などで増殖・剥離を繰り返す疾患です。主な症状は月経困難症や慢性骨盤痛、不妊などで、女性の7〜10%にみられるとされています。
治療には、まずNSAIDsなどの鎮痛薬が用いられますが、効果不十分な場合は以下のホルモン療法が検討されます。
・低用量ピル(LEP製剤)→ 月経を抑えることで、出血量と痛みを軽減し、病変の進行を防ぎます。ただし、血栓症リスクに注意。
・黄体ホルモン製剤(例:ジエノゲスト)→ エストロゲン・プロゲステロンの波を抑え、卵巣機能を抑制。さらに内膜増殖を直接抑制する作用もあり、深部病変にも有効です。血栓症のリスクが低く、40代以降でも使いやすいとされています。
ディナゲストによる不正出血はよくある副作用であり、破綻出血が多い。
休薬は原則不要だが、QOLを考慮して周期的に休薬する例も報告されている(※保険適応外)。
子宮内膜症治療には、長期的なホルモン抑制が有効であり、自己判断での休薬は避けるべき。
不正出血の性質や治療の目的を理解することで、患者指導や服薬継続の支援がしやすくなる。


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1 件のコメント
はじめまして。
急な質問失礼いたします。
子宮内膜症におけるジエノゲストの周期投与法の文言なのですが、参考文献等ありましたら教えていただけると幸いです。自分で調べても見つけることができず、、