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生理は来ない方が良い?
公開. 更新. 投稿者:月経/子宮内膜症.この記事は約5分15秒で読めます.
2,301 ビュー. カテゴリ:無月経は好都合?
生理は女性にとって煩わしいものである。
そのため、無月経であるほうが好都合という患者も少なくない。
しかし、無月経を放置するとエストロゲン分泌量が減少して不妊や子宮の萎縮、骨最の減少などを起こす恐れがあるので、適切な治療が必要である。
月経は、妊娠が成立しなかったときに、エストロゲン(卵胞ホルモン〉 とプロゲステロン(黄体ホルモン) の血中レベルが低下して起こる子宮内膜の剥離性の出血である。
通常25~35日周期で反復し、視床下部-下垂体-卵巣-子宮間の神経・内分泌ネットワークにより発現が調節されている。
よって、これらのネットワ ークのいずれかが障害されると、無月経を来すことがある。
無月経は、18歳以降になっても初潮の見られない原発性無月経と、以前は月経が見られたがある時期から3カ月以上月経力が来なくなる続発性無月経に分類される。
原発性無月経では染色体異常など先天的な原因が多く、続発性無月経では、80~85%が視床下部や下垂体に原因があるといわれている。
特に若い女性では、(1)過度の体重減少、(2)精神的ストレス、(3)過度の運動一などにより、視床下部からのゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)の分泌が抑制され、下垂体からのゴナドトロピン分泌が低下し、無月経に至るというケースがよく見られる。
この場合は、栄養状態改善や体重の回復がまず優先され、それにより月経が再開することも多い。
無月経とホルモン補充療法
無月経の状態を放置すると、エストロゲン分泌量が減少して不妊や子宮の萎縮、骨最の減少などを起こす恐れがあるので、適切な治療が必要である。
ホルモン補充療法は主な治療法の1つであり、エストロゲンの産生が極めて低い第2度無月経では、エストロゲンとプロゲステロンの自然な分泌パターンを模倣して、薬剤を投与するカウフマン療法がよく行われる。
エストロゲン分泌をある程度認める第1度無月経の場合には、プロゲストーゲンのみを補充するホルムストローム療法を行う。
カウフマン療法では、結合型エストロゲン(プレマリン)などのエストロゲン製剤を10日間投与し、その後の11日間はノルエチステロン・メストラノール(ソフィアA)などのエストロゲン・プロゲステロン製剤を服用する。
投与日数は患者によって多少異なる場合がある。
これらの薬剤投与後は、エストロゲン、プロゲステロンの血中レベル低下により、月経様出血(消退出血)が起こる。
消退出血が起きて5日目から、再度同じ投与法を繰り返す。
なお、服用中にも、エストロゲン やプロゲステロンレベルの変動により子宮から出血することがある。
患者が副作用による不正出血と驚き、服用を中止してしまうことがあるので、このことをあらかじめ伝え、続けて服用するよう説明しておくことが大切だろう。
そのほかの副作用としては、むくみや乳房の張り、吐き気などがある。
カウフマン療法は女性ホルモン分泌低下による症状を抑えることが主目的であり、排卵が促されることは少ない。
よって一般に、妊娠を希望しない患者に施行される。
カウフマン療法を数クール行った後に中止させると排卵機能が開腹することはあるが、妊娠の希望がある場合は、基本的に、クロミフェンクエン酸塩(クロミッド)などの排卵誘発剤による治療や、ゴナドトロピン療法などが施行される。
第一度無月経と第二度無月経
無月経には第一度無月経と第二度無月経がある。
エストロゲンが分泌されているものが第一度無月経。
内膜が増殖しているのでプロゲステロン投与で消退出血が起こる。
エストロゲンが分泌されていないものが第二度無月経。
内膜は増殖していないのでプロゲステロン投与では消退出血は認められず、エストロゲンとプロゲステロンの投与で消退出血が起こる。
無月経の期間が長いほど第二度無月経に陥っている割合も高くなり、無治療のまま長年放置しておくと子宮の退縮や若年閉経を招く場合もある。
また、体重減少性無月経は、短期間でも比較的第二度無月経に至りやすい傾向がある。
第1度無月経よりも第2度無月経のほうが重症である。
第1度無月経か第2度無月経かの鑑別はゲスターゲンテストによって行う。
プロゲステロン投与としてはプロルトン50mgの筋注後3~6日ほど、またはゲスターゲン剤(ルトラール2mg 2T2×またはデュファストン 5mg 2T2×)を5日間内服し2~7日で3日以上持続持続する消退出血を調べる。消退出血があれば第一度無月経である。これをゲスターゲンテストという。
ゲスターゲンテストで陰性であった場合はエストロゲン・ゲスターゲンテストを行う。これはエストロゲン製剤を10日間内服したのちエストロゲン・ゲスターゲン合剤を10日間内服(プレマリン0.625mg 2T2× 10日内服後、ノアルテンD 1T1× 11日内服)し2~4日で3日間持続する消退出血があるかどうかを調べる試験である。
ストレスで無月経?
月経周期をコントロールしているのは視床下部という脳の中枢で、ここはまた体温調節や物質代謝、睡眠、食欲、性欲などに関する自律神経系に関与しています。
こんなにたくさんの命令系統が集中していると、デリケートな女性の場合には混乱が起こりやすいのです。
ダイエットやストレス、激しいスポーツ、食べ過ぎ、引っ越しや転職、あるいは環境の変化、多忙、失恋や死別、その他の精神的ショック、季節の変わり目、冷房病などにより、視床下部はその下部組織の脳下垂体に命令を伝えることができません。
こうして排卵がストップするのが続発性無月経です。
また、月経が止まるほどのストレスがあれば胃潰瘍やうつ病、冷えなどの自律神経失調症、便秘や倦怠感を伴う甲状腺ホルモンの低下、乳房の張りが少なくなる、副腎皮質ホルモンが低下して病気に対する抵抗力が弱まるなど、からだ全体のホルモンバランスに異常が生じます。
やせ過ぎで無月経?
やせ過ぎると無月経になります。
少ない食事エネルギーを生命維持に優先的に使うために、体が生殖機能を停止させるという脳の防衛反応です。
また、脂肪組織では男性ホルモンから女性ホルモンが作られており、脂肪細胞の出すレプチンというホルモンは月経を起こすことを助けています。
逆に、高濃度のレプチンは卵巣に直接作用して女性ホルモンの産生を抑えるので、肥満女性では排卵が起きません。
やせ過ぎも太り過ぎもいけませんね。
ダイエットで無月経?
体重減少が20%以上になると、ゴナドトロピンの分泌が低下して排卵障害が発生する。
やせを伴う若年者に多い視床下部性排卵障害として、体重減少性無月経と神経性食欲不振症がある。
両者の鑑別のポイントは、隠れ食いや過食、飲食後の故意の嘔吐などの食行動の異常の有無である。
食行動の異常を伴う神経性食欲不振症では、精神科医の関与が不可欠である。
太り過ぎで無月経?
太り過ぎると無月経になります。
肥満の人の63%に無月経、稀発月経、過少月経が認められると報告されています。
脂肪組織では男性ホルモン、女性ホルモンが産生され、卵巣から分泌される女性ホルモンのバランスに影響を与えているからです。
脂肪組織でホルモンが分泌されていれば、卵巣から分泌しなくてもいいでしょ的な。
太り過ぎると、妊娠中毒症のリスクも高まる。
そのため、体が妊娠を拒絶しているという話もあります。
勉強ってつまらないなぁ。楽しみながら勉強できるクイズ形式の勉強法とかがあればなぁ。
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