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不妊治療にディビゲル?
公開. 更新. 投稿者:妊娠/授乳.この記事は約2分4秒で読めます.
2,318 ビュー. カテゴリ:不妊治療と体外受精
私のような男性薬剤師にとって、婦人科の患者対応はナイーブになる。
とくに不妊治療を行っていたら、さっさと薬を渡すだけになりがちだが、薬の使い方については十分指導する必要がある。
不妊治療は保険適用されず自費診療となることが多く、院内処方が少なくない。
しかし、保険薬局が不妊治療に関わる処方箋を応需する可能性はあり、準備しておく必要がある。
不妊治療には幾つかのステップがあるが、通常、最終段階として体外受精や顕微授精が行われる。
この受精卵(胚) を子宮に戻す(移植する) タイミングは2通りある。
卵子を採取した周期に胚を移植する「新鮮胚移植」と、すぐに移植せず凍結保存しておき、卵子を採取した周期以降に移植する「凍結融解胚移植」である。
複数の胚が得られた場合、通常、1つの胚を新鮮胚移植に用い、それ以外の胚は次回以降の移植に備えて凍結保存しておく。
ただし、子宮内膜が薄く胚移植に適さない、排卵誘発薬を用いているため卵巣滔剰刺激症候群の発症や重症化か懸念される場合などでは、新鮮胚移植は行わない。
胚移植を行う周期には、ホルモン補充を行わず自然排卵の後に胚移植する「自然周期」、自然な排卵を抑制した上で卵胞・黄体ホルモンを補充し、子宮内膜を厚くして胚移植する「ホルモン補充周期」などがある。
ホルモン補充周期は、月経が不規則で排卵日が特定しづらい、通院回数を少なくしたい、胚移植の確実性を高めたい一場合などに選択される。
胚移植の際に使用する薬剤や投与量・スケジュールは医師により異なるが、胚移植を行う周期の1~数日目からエストロゲン(卵胞ホルモン) 製剤を投与し始め、子宮の準備が整った後、プロゲステロン(黄体ホルモン) 製剤の投与を開始する。
黄体ホルモンの投与は移植周期の15日目前後に始め、黄体ホルモン投与開始日から起算して2~5日後に胚を移植する。
ホルモン補充は妊娠判定時まで継続するが、妊娠が成立していれば、さらに妊娠8~10週まで続ける。
不妊治療とディビゲル
ディビゲル(エストラジオール) はエストロゲン製剤の1つで、凍結融解胚移植をホルモン補充周期で行う場合に処方される。
エストラジオールを有効成分とする薬剤は他に、ゲル製剤のル・エストロジェル、テープ製剤のエストラーナ、内用薬のジュリナがある。
結合型エストロゲン(プレマリン) を用いることもある。
外用薬は内用薬に比べ、全身性副作用を回避できる、肝臓での初回通過効果がないといったメリットがある。
一方、皮膚のかぶれや痒みなどが発現する可能性がある。特にディビゲルはアルコールを含むことに注意する。
患者に、(1) 塗る部位は下腹部か大腿部で毎回塗布部位を変えるのが望ましい、(2) 塗る範囲は1包当たり約400cm2 で、十分な効果を得るため塗り広げ過ぎない、(3)保湿クリームや日焼け止めクリームを塗布部位に同時に
使用しないーことなどを指導する。
勉強ってつまらないなぁ。楽しみながら勉強できるクイズ形式の勉強法とかがあればなぁ。
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