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時間のかかる検査って何?
公開. 更新. 投稿者:服薬指導/薬歴/検査.この記事は約3分10秒で読めます.
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時間がかかる検査ってどれ?

薬局での服薬指導中に患者さんからよく聞く言葉のひとつに、
「今日は病院で検査があって時間がかかっちゃって…」
「採血だけのつもりだったのに、結構待たされたんですよ」
というものがあります。
確かに「検査」というのは一言で済まされていますが、内容によっては数時間かかるものから、短時間で終わるが結果が出るまで待たされるものまで様々です。
検査には「かかる時間」と「結果が出るまでの時間」がある
まず前提として押さえておきたいのは、「検査に時間がかかる」という場合、以下の2つの意味があります。
概念 | 内容 | 例 |
---|---|---|
検査そのものに時間がかかる | 撮影・測定・準備に長時間を要する | MRI検査、胃カメラ、心エコーなど |
結果が出るまでに時間がかかる | 検査自体は短時間だが、解析や報告に時間を要する | 血液検査、病理組織検査など |
患者さんが「検査で時間がかかった」と言っている場合、そのどちらか、または両方が関係していることがあります。
時間がかかる代表的な検査
① MRI検査(磁気共鳴画像法)
検査時間:20〜40分(部位・条件により1時間以上も)
準備・待機含む総所要時間:1〜2時間
特徴:
・強力な磁場と電波を使い、身体内部の断層画像を得る検査
・閉所恐怖症・ペースメーカー挿入患者では注意が必要
・検査中は動けず、ヘッドホン等を装着して音に耐える必要あり
患者さんの声:「長くて動けないし、うるさくて疲れた」
②胃カメラ(上部消化管内視鏡)検査
検査時間:10〜15分
準備〜回復までの所要時間:1〜2時間(鎮静剤使用時はもっと長くなる)
特徴:
・咽頭反射を抑えるための処置や鎮静剤の使用あり
・鎮静剤を使う場合は、検査後に休憩・観察時間が必要
患者さんの声:「検査自体はすぐだったけど、起きるまで待たされた」
③大腸カメラ(下部消化管内視鏡)検査
検査時間:20〜30分
前処置含む総所要時間:4〜6時間(場合によっては丸1日)
特徴:
・検査前に2リットル以上の下剤を飲む必要がある
・ポリープ切除を伴う場合はさらに時間を要する
患者さんの声:「下剤が大変で、前日からほとんど外出できなかった」
④心臓エコー(心エコー、心臓超音波検査)
検査時間:20〜30分
特徴:
・胸部にゼリーを塗って超音波で心臓の動きを観察
・呼吸を合わせながら検査するため、高齢者や循環器疾患のある方ではやや時間を要する
⑤脳波検査
検査時間:30〜60分
特徴:
・頭皮に電極を装着し、脳の電気活動を測定
・眠っている状態で測定することもあり、誘導時間が必要
患者さんの声:「検査室が暗くて、ウトウトしてるうちに終わった」
⑥病理組織検査(生検)
検査時間(採取):5〜15分
結果判明までの期間:数日〜1週間以上
特徴:
・ポリープや腫瘍の組織を採取し、顕微鏡でがん細胞などの有無を確認
・結果は即日では出ない。後日、外来で説明される
よく行われる検査と、所要時間の目安
以下に、外来や健康診断などでよく行われる検査の所要時間を簡単に整理します。
検査名 | 検査時間 | 結果が出るまでの時間 |
---|---|---|
採血(血液検査) | 5分前後 | 数十分〜数時間(緊急検査)/数日(ホルモン・腫瘍マーカー等) |
尿検査 | 5分程度 | 即日~当日中 |
心電図(12誘導) | 5分前後 | 数分〜当日中 |
X線(レントゲン)撮影 | 数分〜10分 | 当日中(読影込みで1時間以内) |
CT検査 | 5〜15分 | 当日中(読影込みで1〜2時間) |
呼吸機能検査(スパイロ) | 10分前後 | 即日または翌日 |
骨密度測定(DEXA) | 10分前後 | 即日または当日中 |
検査に時間がかかる理由は検査そのものだけではない
患者さんが「今日は検査で時間がかかって…」と話す背景には、検査自体以外にも以下の要因が隠れていることがあります:
◆ 前処置や絶飲食が必要な検査
例:胃カメラや大腸カメラでは、数時間の食事制限や下剤服用が必要
◆ 検査待ち・順番待ち
予約が集中する時間帯や救急症例の対応などで、予約していても1〜2時間待ちになることも
◆ 結果説明が当日ある場合
血液検査後、結果を聞くために医師の診察を待つことがあり、これに時間を要する
薬局で役立つ声かけ・気配り例
薬局では、検査後に来局された患者さんに対して、ちょっとした一言が患者満足度を高めることがあります。
◆よくある声かけ例
「今日は検査お疲れさまでした。長時間だったのでは?」
「結果はすぐ出ましたか?それとも後日また外来ですか?」
「絶食後ですか?少し糖分のあるものを摂ってもいいか聞きましたか?」
これらの声かけは、患者さんの体調確認だけでなく、副作用のリスク評価や薬の服用タイミング確認にもつながります。
検査の裏にある“患者の時間”を理解しよう
薬局で聞く「検査で時間がかかった」という一言の裏には、
・準備や前処置
・検査中の負担
・待ち時間のストレス
・結果待ちの不安
など、患者さんにとってさまざまな背景があります。
薬剤師として、その時間や疲れを理解し、一言の気配りと、必要な服薬サポートを提供することで、患者の満足度と信頼は確実に高まります。