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ピロリ菌の血液検査?
公開. 更新. 投稿者:消化性潰瘍/逆流性食道炎.この記事は約3分55秒で読めます.
3,238 ビュー. カテゴリ:ピロリ菌の検査方法
ピロリ菌がいるかいないか、血液検査でもわかるそうだ。
ピロリ菌の検査方法には、内視鏡(胃カメラ)を使うものと、使わないものがある。
内視鏡を使う検査
・培養法:胃の粘膜を採取してすりつぶし、それをピロリ菌の発育環境下で5~7日培養して判定します。
・迅速ウレアーゼ試験:ピロリ菌が持っているウレアーゼという、尿素を分解する酵素の活性を利用して調べる方法です。採取した粘膜を特殊な反応液に添加し、反応液の色の変化でピロリ菌の有無を判定します。
・鏡検法:胃の粘膜の組織標本に特殊な染色をしてピロリ菌を顕微鏡で探す組織診断方法です。
内視鏡を使わない検査
・尿素呼気試験法:診断薬を服用し、服用前後の呼気を集めて診断する、簡単に行える精度の高い診断法で、主流の検査法のひとつです。
・抗体測定:ヒトはピロリ菌に感染すると、抵抗力として菌に対する抗体をつくります。血液中や尿中などに存在するこの抗体の有無を調べる方法です。血液や尿などを用いて、その抗体を測定する方法です。
・糞便中抗原測定:糞便中のピロリ菌の抗原の有無を調べる方法です。
通常、除菌できたかどうかの判定には、呼気試験が行われていたが、このコロナ禍で、内視鏡や呼気試験は控えられているらしい。
そのため、血液検査による判定が行われているようだ。
尿や便などでも検査が可能。
いずれの検査方法も、判定の精度に大きな差はないといわれている。
ピロリ菌の血液検査の新基準
2017年4月1日まで、ピロリ菌抗体の正常値は10U/ml未満でしたが、3mU/ml未満になりました。
3~10U/mlの場合は、呼気検査や便中抗原検査など、さらに精度の高い検査での確認が必要です。
尿素呼気試験とPPI
ピロリ菌の検査を受けるという人が、その前にPPIを飲んでいる場合、ピロリ菌がいても陰性になる場合があるという。
タケプロンの添付文書には以下のように記載されている。
ヘリコバクター・ピロリの除菌判定上の注意 : ランソプラゾール等のプロトンポンプインヒビターやアモキシシリン水和物、クラリスロマイシン等の抗生物質及びメトロニダゾールの服用中や投与終了直後では、13C-尿素呼気試験の判定結果が偽陰性になる可能性があるため、13C-尿素呼気試験による除菌判定を行う場合には、これらの薬剤の投与終了後4週以降の時点で実施することが望ましい。
尿素呼気試験(UBT)は、13Cで標識された尿素を用いてピロリ菌のウレアーゼ活性を検出する検査法であり、簡便で、感度・特異度ともに高いため、よく用いられてる。
PPI(タケプロン、パリエット、ネキシウム、オメプラール)や一部の防御因子増強薬な(アルサルミン、ガストローム)ど、ピロリ菌の静菌作用を持つ薬剤(抗生物質)を服用している患者に感染診断を行うと、偽陰性を示すことがある。
国内外の研究では、試験方法に差異はあるものの、6.3~61%と高い偽陰性化率が報告されている。
この要因として、PPI自体が弱いながら抗菌作用を持つことや、胃内pHを上昇させてピロリ菌のウレアーゼ活性を低下させることなどが考えられる。
そのため、ガイドラインでは、ピロリ菌の静菌作用を持つ薬剤を服用中の患者に感染診断を行う際は、どの検査法においても、それらの薬剤を少なくとも2週間は中止するよう推奨している。
なお、H2受容体拮抗薬にピロリ菌の抗菌作用は認められないことが報告されている。
ただし、一部の症例ではUBTで偽陰性を呈する可能性があり、その原因は胃内pHの上昇であると推察されている。
除菌の成否
ピロリ菌の感染が確認された場合には、1次除菌法として、PPI+アモキシシリン(AMPC)+クラリスロマイシン(CAM)を1週間投与する3剤併用療法が第一選択とされている。
治療終了から4週間以上間隔を空けた後、再度感染診断を行い、除菌の成否を判定する。
除菌不成功の最大の要因はCAM耐性菌であることから、2次除菌法としてはCAMをメトロニダゾール(MNZ)に変えたレジメンが推奨されている。
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