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冷蔵庫に保管してはいけない薬
公開. 更新. 投稿者:調剤/調剤過誤.この記事は約3分10秒で読めます.
9,033 ビュー. カテゴリ:冷蔵庫に保管しちゃいけない薬?
ご高齢の方で、薬を冷蔵庫に保管している人がいる。
注射とか目薬だけでなく、飲み薬や塗り薬も。
問題ないことがほとんどですが、中には冷蔵庫に保管すべきではない薬というのも存在する。
医薬品名 | 貯法等 |
---|---|
サンディミュン内用液10% | 室温保存。低温(約5℃以下)で保存すると沈殿を生じることがある。沈殿を生じた場合は常温にて溶解後使用すること |
ゾビラックスクリーム5% | 室温保存(30℃以下)。ただし、冷所保存(15℃以下)しないこと。 |
ノービア内用液8% | 本剤は高温,低温 (冷蔵) を避け,20~25℃で保存すること. |
ノフロ点眼液0.3%/バクシダール点眼液0.3% | 室温保存(長期間低温に保存しないこと。) |
ファルネゾンゲル1.4% | 開封後は冷蔵庫等の5℃以下の場所に保存すると結晶が析出することがあるので、低温の場所を避けて保存すること。 |
ボナロン経口ゼリー35mg | 低温では有効成分の結晶が析出しやすくなるので、低温・凍結(冷蔵庫、冷凍庫等)を避けて保存すること。なお、結晶が析出した製品は服用しないこと。 |
ミオカーム内服液33.3% | 室温(1~30℃)保存すること。冷蔵庫等の低温の場所に保存すると液層の分離、凍結、結晶析出の可能性がある。 |
リザベン点眼液0.5% | 本剤を冷蔵庫等で保存すると,結晶が析出することがあるので避けること。 |
リスパダール内用液1mg/mL | 凍結を避けて保管すること。なお、冷蔵庫等の低温の場所に保管すると結晶析出の可能性があるので、その際は常温にて振盪するなどして溶解すること。 |
リザベン点眼液を冷蔵庫で保管しちゃダメ、というのは袋にも記載されているので、必ず伝えている。
目にする機会は無いと思いますが、ノービア内用液の「20~25℃で保存すること」というのはちょっと保管に困る。
ちょっとどころじゃないか。
どこに置けばいいんだろう。
日中は可能かも知れないが、夜間や休日、真夏や真冬は厳しいだろう。
また、添付文書には記載はないが、ヒルドイドローションの冷所保管についてマルホのHPに以下のQ&Aがある。
Q.ヒルドイド®ローション0.3%がざらつくことはありますか(白い砂あるいは食塩のようなものが見られることはありますか)。原因は何ですか。使用しても問題ないですか。
A.添加物のパラオキシ安息香酸エステルの結晶が析出している可能性が考えられます。
低温下での保管による溶解度の低下が大きな要因ですが、それ以外に製剤の振とう、あるいは製剤中の水分の蒸散等による影響が考えられており、突発的に起こる現象と考えられます。
なお、事象の多くは冬場に発生しております。そのため、ヒルドイド®ローション0.3%は室温保存の製品ですが、冷蔵庫等の低温の場所を避けて、保管いただきますようお願いいたします。
患者さん向けのお知らせ文「ヒルドイド®ローション0.3%をご使用される患者様へのお願い」がご入用の場合は、製品情報センターにご連絡ください。
結晶が析出した製品は、塗布時に皮膚への刺激となる可能性がありますので、使用は避けてくださいますようお願いいたします。
冷所に保管して、成分が固まって結晶となり、それが皮膚に刺さり刺激を与え、症状が悪化する可能性もある。
塗り薬にはこのような性質の問題もあるので、保管方法に気を付ける必要がある。
エピペンを冷蔵庫に保管しちゃダメ?
調剤薬局で扱う注射剤で私が今まで扱ったことのある薬といえば、ランタスなどのインスリン注射剤、フォルテオなどの骨粗鬆症治療薬、バイエッタなどのGLP-1受容体作動薬、エンブレルなどの生物学的製剤で、いずれも冷所保存の薬である。
そのため、注射液といえば冷所保管、という思い込みが出来上がっている。
シロップや点眼薬などの液剤についても、冷蔵庫で保管しておけば間違いないという思い込みがある。
しかし、注射剤の中には、「室温保存」となっている薬もあるようだ。
アナフィラキシーショックに使われるエピペンの貯法は、「室温・遮光保存」となっており、適用上の注意にも「本剤は15℃~30℃で保存することが望ましいので、冷所または日光のあたる高温下等に放置しないこと。」と記載されている。
また、片頭痛に使われるイミグランキット皮下注も「室温保存、遮光」の貯法になっている。
エピペンの処方については、患者さんが処方せんを持ってきてから発注するのが通常だと思うので、薬局内で保管管理する時間は短く、誤って冷蔵庫で保管したとしても、さして問題になることは無いだろう。
患者に渡したエピペンがどこで保管管理されているかは、患者毎に異なるであろうが、子供に処方されたとすれば、学校で管理されていることも多い。
冷所保存した際のメーカーからの回答としては、低温下(15℃ 以下)の作動確認試験にて一部に作動上の不具合が生じたことや、安定性試験においては低温下での試験を行っていないため室温保存が望ましいとの回答である。
投薬時に患者本人あるいは家族に説明することはもちろん、本人家族以外が管理する可能性があれば、室温保存の旨を伝えてもらうようリーフレットを渡すなりして指導する必要がある。
ディフェリンゲルを冷蔵庫に保管しちゃダメ?
ディフェリンゲルの取り扱い上の注意に、
「凍結をさせないこと。」
と書かれている。
高温に注意することは多いけど、低温に注意する薬は少ない。
インタビューフォームをみると、凍結すると「分散状態の不均一化によると考えられる含量規格逸脱」が起こるようで。
冷蔵庫ならいいけど、冷凍庫はダメ。
冷凍庫に薬を保管する人はいないか。
北国で、冬場、車の中に薬を置きっぱなしにすると凍結しそう。
勉強ってつまらないなぁ。楽しみながら勉強できるクイズ形式の勉強法とかがあればなぁ。
そんな薬剤師には、m3.com(エムスリードットコム)の、薬剤師のための「学べる医療クイズ」がおすすめ。