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過敏性腸症候群は各駅停車症候群?
公開. 更新. 投稿者:下痢/潰瘍性大腸炎.この記事は約5分24秒で読めます.
2,961 ビュー. カテゴリ:過敏性腸症候群は各駅停車症候群?
過敏性腸症候群(IBS)のことを各駅停車症候群と呼ぶことがある。
症状が現われる状況は人によって違いますが、通勤・通学時の電車の中で起こるケースが、よくみられる。
下痢型の場合は、電車が駅に停車するたびに、トイレに駆けこむという人もいます。それが続くと、走行時間が長い快速電車に乗るのが不安で、各駅停車しか乗れなくなってしまうことがあります。
このことから、下痢型IBSは「各駅停車症候群」ともよばれます。
イリタブルコロン
添付文書上の病名で、「過敏大腸症(イリタブルコロン)」と書かれているものがある。
過敏性腸症候群とは違うのか?
過敏性腸症候群は、Irritable Bowel Syndrome(IBS)
過敏大腸症は、irritable colon
過敏性腸症候群はより広い病態を含むものと考えられる。
効能効果に、過敏性腸症候群を持つ薬は、イリボー、リンゼス、ポリフル/コロネル、セレキノン、ハイゼット、心身症として扱われ抗精神病薬も適応をもつ。
過敏大腸症を持つ薬は、ストロカイン、トランコロン、プロ・バンサイン。
同じ疾患としてまとめてほしい。
自律神経と下痢の関係は?
腸管は、交感神経と副交感神経に支配されている。
夜は、副交感神経が有意となりエネルギーを蓄える方向に働き、蠕動運動が亢進し消化吸収が高まる。
日中は、交感神経が有意となり、エネルギーを放出する方向に働く。
そのため、筋肉への血液(酸素)供給を優先するため、蠕動運動が抑制され消化吸収を抑える。
ストレスが過剰になると、交感神経と副交感神経のバランスが乱れ、種々の異常が起こる。
特に腸は自律神経の混乱の影響を受けやすい。
旅行先など環境が変わると便秘になることはよく経験する。
交感神経が優位となり蠕動運動が抑制されるためである。
過緊張から自律神経が乱れると、本来、日中は活発でないはずの副交感神経の活動が亢進し、蠕動運動が盛んになる。
すると腸管で十分に水分を吸収する時間が確保できず、「おなかがギュルルと鳴って痛み、トイレに駆け込む」状態が起こる。
疾患では、過敏性腸症候群や甲状腺機能亢進症で見られる。
過敏性腸症候群は文明病?
消化管はストレスに敏感に反応する臓器です。
ストレス刺激は、ストレス-脳-消化管の経路で伝達されます。
すなわち、心理的・社会的なストレスにより脳の中枢に興奮が起こり、それが消化管に伝達されて消化管の機能に障害が起こります。
反対に、感染性腸炎や炎症性腸疾患のために免疫系に変化が起こると、そのシグナルが脳に伝達されて中枢の変化が起こります。
つまり、ストレスによる中枢の変化が消化管の異常をまねき、消化管の異常が中枢の変化をまねく悪循環に陥ります。
この脳と腸の機能的関連は脳腸相関とよばれ、機能性消化管障害の病態の中心を成しています。
過敏性腸症候群(IBS)は、機能性消化管障害の原型となる障害で、腹痛と慢性の便通異常を主とする消化器症状が長期間持続するものの、X線検査や内視鏡検査では異常が認められない機能性疾患です。
IBSは消化器診療で最も多くみられる疾患で、米国や英国などストレスの多い先進国に多く、文明病と考えられています。
過敏性腸症候群とセロトニン
セロトニンは腸蠕動反射および感覚伝達を調節する重要な消化管ホルモンである。
セロトニン分泌は便秘主体のIBSでは減少し、下痢主体のIBSでは増加しているようである。
臨床応用としては、海外でアロセトロン(5HT3受容体拮抗薬)やクエン酸モサプリド(5HT4受容体拮抗薬)が下痢型および便秘型IBSにそれぞれ有用性が証明され、使用されている。
過敏性腸症候群
過敏性腸症候群(IBS)は、慢性的に腹痛あるいは腹部不快感があり、便秘あるいは下痢などの便通異常を伴い、排便によって腹部症状が改善するもので、腸管運動の機能的異常と内臓神経の知覚過敏に起因し、心因性の要因が影響する機能性疾患である。
器質的疾患がないにも関わらず、腹痛や腹部膨満感を伴う便通異常を呈する慢性・再発性疾患である。
病態は腸管運動の異常、疼痛閾値の低下などであり、自律神経や中枢神経系の異常との関連も示唆されている。
IBSは心身に対するストレスが原因のことが多く、難治例では心療内科や精神科との連携が重要である。
IBS患者の男女比は、1:2〜2.5と、一般的に女性に多いとされており、とくに便秘型は、女性に多い。
長期間(3ヶ月以上)にわたって慢性的(月に3日以上)に、排便によって改善する腹部不快あるいは腹痛がある。
①便通異常:下痢が主体の下痢症状と便秘症状をくり返す混合型がある。多くは便意頻数、排便困難感、残便感を伴う。
②腹部症状:もっとも多いのは腹痛であるが、腹鳴、腹部膨満感を主訴とする場合もしばしばある。
③その他の身体症状:月経困難や頻尿、残尿感などの平滑筋過敏性に基づくと思われる症状や、自律神経機能異常によると思われるめまい、たちくらみ、熱感などを訴えることも多い。
④精神症状:ストレスによる症状の増悪はIBSの特徴的な初見であるが、精神症状の影響を強く受け、重症のIBSでは、不安障害、パニック障害、抑うつ障害などの精神疾患の合併が高頻度に認められる。
IBSの診断基準
IBSの診断基準
過去3ヵ月において平均1週間に1回以上続く再発性の腹痛で、下記を2つ以上認める。
①排便に関係する
②排便頻度の変化と関連する
③便の形状(外観)の変化と関連する
一般に高繊維食により消化管運動は亢進し、逆に低残渣食は便秘の原因となり、消化管運動抑制を来たす。大量のアルコールや香辛料など大腸を刺激するものは避ける。薬物療法では、亢進した腸管運動の抑制・腸管の刺激に対する過敏性反応の抑制が治療の中心で、抗コリン薬、整腸薬、消化管運動機能改善薬などを用いる。
まず、ポリカルボフィル(ポリフルなど)の投与により、糞便の物理的性質を調整し、必要に応じて消化管運動機能改善薬トリメブチンや精神安定薬、抗うつ薬、副交感神経遮断薬を、また下痢型の場合はラモセトロンも用いられる。
リナクロチド(リンゼス)は腸管上皮の表面のグアニル酸シクラーゼC受容体に作用し、腸管内への水分分泌を促進し排便を促す。また、大腸の痛覚過敏を改善することにより、腹痛・腹部不快感を改善する。自律神経失調症が疑われる場合はトフィソパムなども有用である。
過敏性腸症候群の治療薬
過敏性大腸症候群の水分バランスをコントロールして、便そのものの固さを調節するポリカルボフィルカルシウムなどがある。
過敏性腸症候群とは、器質的疾患がないにもかかわらず、腹痛や腹部膨満感を伴う便通異常を呈する慢性・再発性疾患である。
病態は腸管運動の亢進、疼痛閾値の上昇などがあり、自律神経や中枢神経系の異常との関連も示唆されている。
一般に高繊維食により消化管運動は亢進し、逆に低残渣食は便秘の原因となり、消化管運動抑制をきたす。
大量のアルコールや香辛料など大腸を刺激するものは避ける。
薬物療法では、亢進した腸管運動の抑制・腸管の刺激に対する過敏性反応の抑制が治療の中心で、抗コリン薬、整腸薬、消化管運動機能改善薬などを用いる。
まず、ポリカルボフィル(ポリフルなど)の投与により、糞便の物理的性質を調整し、必要に応じて消化管運動調整薬セレキノンや精神安定薬、抗うつ薬、副交感神経遮断薬を、また男性で下痢型の場合はラモセトロン(イリボー)も用いられる。
自律神経失調症が疑われる場合はトフィソパム(グランダキシン)なども有用である。
勉強ってつまらないなぁ。楽しみながら勉強できるクイズ形式の勉強法とかがあればなぁ。
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