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セレキノンは漫然と処方してもいい?
公開. 更新. 投稿者:消化性潰瘍/逆流性食道炎.この記事は約2分0秒で読めます.
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慢性胃炎に適応のある薬は多いですが、慢性疾患であるがゆえに「漫然と投与しないこと」となっている薬も多い。
以下に慢性胃炎に適応のある薬の添付文書上の記載を挙げる。
医薬品名 | 慢性胃炎の適応症 | 漫然投与に関する記載 |
---|---|---|
ガスモチン | 慢性胃炎に伴う消化器症状(胸やけ、悪心・嘔吐) | 劇症肝炎や重篤な肝機能障害、黄疸があらわれることがあるので、長期にわたって漫然と投与しないこと。なお、本剤投与中は、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、直ちに投与を中止し、適切な処置を行うこと。また、患者に対し、本剤投与後に倦怠感、食欲不振、尿濃染、眼球結膜黄染等の症状があらわれた場合は、本剤を中止し、医師等に連絡するよう指導すること。 |
セレキノン | 慢性胃炎における消化器症状(腹部疼痛、悪心、あい気、腹部膨満感) | なし |
ナウゼリン | 下記疾患および薬剤投与時の消化器症状(悪心、嘔吐、食欲不振、腹部膨満、上腹部不快感、腹痛、胸やけ、あい気) ○慢性胃炎、胃下垂症、胃切除後症候群 ○抗悪性腫瘍剤またはレボドパ製剤投与時 | なし |
ベサコリン | 消化管機能低下のみられる下記疾患慢性胃炎 迷走神経切断後 手術後及び分娩後の腸管麻痺 麻痺性イレウス | なし |
ガナトン | 慢性胃炎における消化器症状 (腹部膨満感、上腹部痛、食欲不振、胸やけ、悪心、嘔吐) | 消化器症状の改善がみられない場合、長期にわたって漫然と使用すべきでない。 |
プリンペラン | 次の場合における消化器機能異常(悪心・嘔吐・食欲不振・腹部膨満感) 胃炎、胃・十二指腸潰瘍、胆嚢・胆道疾患、腎炎、尿毒症、乳幼児嘔吐、薬剤(制癌剤・抗生物質・抗結核剤・麻酔剤)投与時、胃内・気管内挿管時、放射線照射時、開腹術後 | なし |
アコファイド | 機能性ディスペプシアにおける食後膨満感,上腹部膨満感,早期満腹感 | 継続的に症状が改善した場合には,本剤の投与中止を検討し,長期にわたって漫然と投与しないように注意すること。 |
アコファイドは機能性ディスペプシアで慢性胃炎じゃありませんが。似ているので。
ガスターなどのH2ブロッカーは「慢性胃炎の急性増悪期」に適応がありますが、急性増悪期に限るので、慢性胃炎に対して使う場合は長期に連用されることは考えられず、添付文書上、漫然長期投与に関する記述はみられないのだろう。
ナウゼリンやプリンペランといった制吐剤にも漫然長期投与に関する記述はみられないが、ガナトンに比べて長期投与されることは少ない。
漫然長期投与に関する記述が無いからといって、ナウゼリンやプリンペランが長期投与しやすいというわけではない。
PL顆粒にも漫然長期に関する記載は無いけど、長期投与していいとは考えにくい。
慢性胃炎に処方される薬で、一番長期投与しやすいのは、セレキノンだろう。
ちなみにOTCのセレキノンSには「過敏性腸症候群」の適応しかなく、「慢性胃炎」に対しては使えない。
セレキノン
トリメブチンは、消化管運動低下状態では交感神経系のオピオイドμ受容体を抑制することで、副交感神経からのACh遊離を促進する。
一方、消化管運動亢進状態では、副交感神経のオピオイドκ受容体を刺激することでAChの遊離を抑制する。また、消化管平滑筋に対する直接的な作用もあると考えられている。
ガスモチンは2週間まで?
漫然と投与してはいけない薬、というのがある。
漫然と投与していい薬、なんてものがあるのかどうかは疑問ですが。
ガスモチンという胃薬も、漫然と使ってはいけない。
慢性胃炎に使うけれど、漫然と使ってはいけない。
ガスモチンの使用上の注意には、
「本剤を慢性胃炎に伴う消化器症状に用いる際には,一定期間(通常2週間)投与後,消化器症状の改善について評価し,投与継続の必要性について検討すること.」
と書かれている。
2週間以上の処方については疑義照会が必要というわけだ。
また、
「劇症肝炎や重篤な肝機能障害,黄疸があらわれることがあるので,長期にわたって漫然と投与しないこと.なお,本剤投与中は,観察を十分に行い,異常が認められた場合には,直ちに投与を中止し,適切な処置を行うこと.また,患者に対し,本剤投与後に倦怠感,食欲不振,尿濃染,眼球結膜黄染等の症状があらわれた場合は,本剤を中止し,医師等に連絡するよう指導すること.」
とも書かれている。
肝機能障害があらわれることがあるから、漫然と投与してはいけない、と。
漫然と投与してるのか、必要性を吟味して投与してるのか、医師にしかわからない。
勉強ってつまらないなぁ。楽しみながら勉強できるクイズ形式の勉強法とかがあればなぁ。
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