2026年2月17日更新.2,753記事.

調剤薬局で働く薬剤師のブログ。薬や医療の情報をわかりやすく伝えたいなと。あと、自分の勉強のため。日々の気になったニュース、勉強した内容の備忘録。

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第三者行為によるケガに保険は使えない?

第三者行為によるケガに保険は使えない?―交通事故・ケンカ・もらい事故の医療費の正しい考え方

「交通事故でケガをしたけど、健康保険は使えないって聞いた…」
「ケンカに巻き込まれてケガをした場合は全額自己負担?」
「加害者がいるケガって、保険証を出していいの?」

このような疑問を持ったことがある方は多いのではないでしょうか。

結論から言うと、第三者行為によるケガでも、原則として健康保険は使えます。
ただし、通常の病気やケガとは異なる「特別な手続き」が必要になります。

・第三者行為とは何か
・健康保険は使えるのか
・なぜ届出が必要なのか
・トラブルを防ぐポイント
・保険を使わないほうがいいケース

などを、わかりやすく解説していきます。

第三者行為とは何か?

第三者行為の基本的な意味

「第三者行為」とは、自分以外の誰かの行為によってケガや病気になったケースを指します。

簡単に言えば、
「他人のせいでケガをした」
状態です。

医療保険制度では、このようなケースを特別に扱っています。

代表的な第三者行為の例

具体的には、次のようなケースが該当します。

① 交通事故
最も多いのが交通事故です。

・車にはねられた
・自転車同士の衝突
・バイク事故
・追突事故
・横断歩道での事故

などが該当します。

たとえ「もらい事故」であっても、第三者行為になります。

② 暴力・ケンカ・傷害事件
・ケンカで殴られた
・知らない人に暴行された
・嫌がらせによるケガ
・傷害事件

なども第三者行為です。

③ スポーツ・レジャー中の事故
・サッカー中に悪質タックル
・スキー場での衝突事故
・ゴルフボールによるケガ

など、相手に過失がある場合は第三者行為になります。

④ 仕事以外での他人のミス
・店舗で物が落ちてきた
・工事現場の資材落下
・ペットにかまれた

といったケースも含まれます。

第三者行為でも健康保険は使えるの?

結論:原則として使える

よくある誤解が、
「事故やケンカは保険が使えない」
というものです。

しかし、実際には、

→ほとんどの第三者行為で健康保険は使用可能です。

ただし、「無条件で使える」わけではありません。

なぜ使えるのか?

健康保険は、基本的に
「治療を受ける権利」
を保障する制度です。

ケガの原因が誰であっても、
・まず治療を優先する
・患者の負担を軽減する
ことが目的です。

そのため、第三者行為であっても、いったん健康保険が使える仕組みになっています。

なぜ「第三者行為届」が必要なのか?

保険会社・保険者の立場

本来、第三者行為によるケガの治療費は、
→加害者が支払うべきもの
です。

しかし、患者が病院で保険証を使うと、
・健康保険組合
・協会けんぽ
・市区町村(国保)
などが、いったん医療費を立て替えます。

これを「求償(きゅうしょう)」といいます。

求償とは?

求償とは、
「あとで加害者に請求すること」
です。

つまり、
・保険が医療費を支払う
・後日、加害者や保険会社に請求
・回収する
という仕組みになっています。

そのための書類が「第三者行為届」

この求償手続きを行うために必要なのが、
→第三者行為による傷病届
です。

この届出をしないと、
・保険者が加害者を特定できない
・請求ができない
・不正利用とみなされる可能性
が出てきます。

第三者行為届を出さないとどうなる?

① 保険が使えなくなる可能性
無断で使い続けると、
「本来使えない保険利用」
と判断されることがあります。

その結果、
→医療費の返還請求を受けるケースもあります。

② 後から全額請求されることも
最悪の場合、
・すでに使った保険分
・数十万円〜数百万円
をまとめて請求されることもあります。

知らなかったでは済まされません。

③ 示談トラブルの原因になる
加害者側と示談した後に、
「実は保険を使っていた」
ことが発覚すると、

二重請求トラブルになることもあります。

手続きの流れ(一般的なケース)

① 医療機関で正直に伝える
受付で、
「交通事故です」
「第三者によるケガです」
と必ず伝えましょう。

② 保険者へ連絡
加入している保険へ連絡します。

例:
・協会けんぽ
・健康保険組合
・市区町村(国保)

③ 書類の提出
主に以下が必要になります。
・第三者行為による傷病届
・事故状況報告書
・同意書
・示談書(ある場合)

④ 保険者が処理
あとは保険者が、
・相手方
・相手の保険会社
とやり取りします。

健康保険を使わないほうがいいケースもある?

① 加害者がすべて支払う場合
相手が、
・治療費全額負担
・保険会社が直接支払い
する場合は、保険を使わないこともあります。

この場合は「自由診療」扱いです。

② 示談済みで一括精算した場合
すでに示談金で治療費を含めて受け取っている場合は、原則として保険は使えません。

二重取りになるためです。

③ 故意・重大な過失がある場合
以下のような場合は、保険適用外になる可能性があります。
・故意にケンカした
・危険運転をしていた
・飲酒運転
などです。

よくある誤解Q&A

Q1:自分にも過失があると使えない?
→いいえ、使えます。

過失割合があっても、保険利用は可能です。

Q2:相手が無保険でも使える?
→使えます。

あとで保険者が加害者本人に請求します。

Q3:警察に届けていなくても大丈夫?
→原則、届け出たほうが安全です。

事故証明がないと、手続きが複雑になります。

Q4:会社の保険でも同じ?
→基本は同じ仕組みです。

協会けんぽ・組合健保・国保すべて共通です。

薬剤師・医療関係者の視点からの注意点

医療現場では、
・患者が事故を隠す
・普通のケガとして受診する
ケースも少なくありません。

しかしこれは、
・保険トラブル
・返還請求
・法的問題
につながるリスクがあります。

正確な情報を伝えることが、結果的に患者自身を守ることになります。

まとめ:第三者行為でも保険は使えるが「届出」が必須

最後に、ポイントを整理します。

・第三者行為でも健康保険は原則使用可能
・交通事故・暴力・もらい事故などが対象
・「第三者行為届」の提出が必要
・出さないと返還請求のリスクあり
・示談との関係にも注意が必要

第三者行為によるケガは、精神的にも経済的にも大きな負担になります。

しかし、制度を正しく理解していれば、無駄な出費やトラブルを防ぐことができます。

「事故に遭ったときは、まず治療、そして正しい手続き」

これを忘れないようにしましょう。

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