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チアトンとブスコパンの併用?
公開. 更新. 投稿者:下痢/潰瘍性大腸炎.この記事は約5分38秒で読めます.
47,285 ビュー. カテゴリ:チアトン(選択的ムスカリン受容体拮抗薬)とブスコパン(抗コリン薬)の違い
チアトンという主に腹痛などに用いられる抗コリン薬があります。
ブスコパンやセスデンといった抗コリン薬と同じ分類というイメージでしたが、「今日の治療薬」では選択的ムスカリン受容体拮抗薬に分類されている。
薬効分類名も「キノリジジン系抗ムスカリン剤」となっており、他の抗コリン薬とは何かが違うようだ。
チアトンのインタビューフォームには、以下のように書かれている。
従来の抗コリン薬は消化器系臓器において、優れた抗アセチルコリン作用を示す一方で、散瞳作用(羞明)や唾液分泌抑制作用(口渇)、膀胱収縮抑制作用(排尿障害)などを有していた。
そこで、副交感神経遮断剤の臓器選択性を改善する目的で、植物のアルカロイド成分の母核であるキノリジジン骨格に着目し、攣縮緩解作用と抗潰瘍作用が強く、かつ標的臓器に対する選択性に優れたチキジウム臭化物を開発するに至った。
チキジウム臭化物は、従来の4級抗コリン剤とは作用機序が異なり、副交感神経末端で優れた抗ムスカリン作用を示し、薬理的には胃腸管、胆のう・胆道及び尿管に対する選択的な攣縮緩解作用と抗潰瘍作用(攻撃因子抑制作用,防御因子増強作用)を有することが認められている。
他の抗コリン薬よりも副作用は少ないようだ。
抗コリン薬のよくある副作用として口渇が挙げられるが、ブスコパンが5%以上なのに対して、チアトンは1~5%となっている。
副作用が少ない分、連用しやすい。
しかし、同じ選択的ムスカリン受容体拮抗薬に分類されているガストロゼピンが消化性潰瘍や胃炎で処方されているのを見たことは無く、チアトンが処方されるのもやはり鎮痙剤として、腹痛に処方されることが多い。
連用されるとすれば、過敏性腸症候群による腹痛に用いられる可能性がある。
以前、そのようなチアトンが連用されている患者にブスコパンが頓服で追加された処方をみたことがある。
一応、同種同効薬として疑義照会はするが、ちょっと違った特徴をもつ薬なので、カロナールを連用している患者にロキソニンが追加されるようなもの?違うか。
選択的ムスカリン受容体拮抗薬
ピレンゼピン(ガストロゼピン)など。
M1受容体に特異的で、M2受容体には作用が少ないため前立腺肥大症、緑内障、心疾患にも使用できるが、口渇の出現を有する。
酸分泌抑制作用があり、ガストリン抑制効果も有し、粘膜増強作用と合わせて優れた抗潰瘍効果をもつ。
酸分泌抑制力はやや弱い。
潰瘍治療に単独で用いられることは少ない。
胃壁細胞、ECL細胞(ヒスタミン分泌細胞)のムスカリン(M)受容体とアセチルコリンの結合を阻害し、胃酸分泌を抑制する。
ピレンゼピンはM1受容体特異的であるため、前立腺肥大症や緑内障、心疾患を有する症例にも使用可能である。
三級アミンと四級アンモニウム塩の違い
抗コリン薬は、①三級アミン合成抗コリン薬と、②四級アンモニウム塩合成抗コリン薬、③選択的ムスカリン受容体拮抗薬に分類される。
三級アミン合成抗コリン薬は経口吸収が良好で鎮痙作用は強い。
しかし血液・脳関門を通過し中枢神経への作用を示し、臨床上使用しにくい。
四級アンモニウム塩合成抗コリン薬は鎮痙作用はやや弱いが、中枢への作用が弱く、神経節遮断作用が強く胃酸分泌抑制作用がみられる。
・鎮痙薬には三級アミン合成抗コリン薬と四級アンモニウム塩合成抗コリン薬があるが、前者は平滑筋の鎮痙作用が強い。後者は平滑筋の鎮痙作用は前者に比し弱いが、強い分泌抑制作用をもっている。
抗コリン薬
酸分泌抑制効果は不十分で、口渇などの副作用があるため、いわゆる鎮痙薬として腹痛に対して用い、潰瘍治療薬として用いられることはほとんどない。
アセチルコリンがアセチルコリン受容体に結合するのを阻害し、副交感神経を抑制する。抗コリン薬は様々な病気に使われます。
ブスコパンやチアトンは、主に鎮痙剤として腹痛の症状を抑えるために処方されます。
チアトンは抗コリン薬の中でも、選択的ムスカリン受容体拮抗薬に分類され、胃に対する選択性が高いです。
・当初抗コリン薬は、胃酸分泌抑制薬としても使用されたが、近年、他のより効果的な胃酸分泌抑制薬の登場により、主に鎮痙薬として使用されている。
・アセチルコリンのムスカリン作用を抑制する。
・抗コリン薬は緑内障、麻痺製イレウス、重篤な心疾患、尿閉には禁忌である。
平滑筋収縮を持続的に抑制する薬剤を総称して鎮痙薬といい、鎮痙薬は抗コリン薬とほぼ同義である。
選択的ムスカリン受容体拮抗薬であるチキジウム(チアトン)は、副作用としての排尿障害が少ない。
アトロピンは中枢への移行性がよい3級アミンで、中枢への移行はアトロピンよりも容易なことから、治療量でも中枢作用が生じ眠気や無感動、健忘などの副作用が表れてしまう。
スコポラミンの中枢移行性を低くした薬剤が、4級アミンの構造を持つブチルスコポラミン臭化物(ブスコパン)です。抗コリン作用が強くなり、自律神経節遮断作用も示す。
・副作用発現時には、薬剤の中止、減量が基本であるが、拮抗薬としてコリンエステラーゼ阻害薬(ネオスチグミン)を用いる。
・感染性腸炎では、抗コリン薬の投与は菌の排出を遅延させる可能性があり注意が必要である。
・小児では、使用される鎮痙薬は限られており、プロパンテリンやブチルスコポラミンが使用される。
・相互作用:三級アミン合成抗コリン薬、四級アンモニウム塩合成抗コリン薬は三環系抗うつ薬、フェノチアジン系薬、MAO阻害薬、抗ヒスタミン薬で作用が増強。またジゴキシンの作用を増強させる。
抗コリン薬の作用機序
アセチルコリンは神経伝達物質であり、その受容体は、ニコチン性アセチルコリン受容体とムスカリン性アセチルコリン受容体に大別される。
抗コリン薬はこのムスカリン性アセチルコリン受容体を阻害する作用がある。
自律神経は中枢を出て効果器官に達する間に1回だけニューロンを変える。
その接合部が神経節で、その中枢側が節前線維、末梢側が節後線維となる。
抗コリン薬は節後線維と効果器官の間のシナプスでアセチルコリンと拮抗してアセチルコリンの伝達を遮断する。
胃液分泌抑制作用と消化管運動抑制作用を有し、消化管の運動や分泌を抑制することを目的に使用されるが、標的臓器以外の抑制、膀胱平滑筋の弛緩と括約筋の収縮など多彩な作用をもつ。
また当初抗潰瘍薬として広く使用されたが、現在では他の強力な胃酸分泌抑制薬が使用され、主に鎮痙薬として使用されている。
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