2019年3月21日更新.3,396記事.5,979,523文字.

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BCAAとAAAの違いは?

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フィッシャー比

肝硬変患者の血液中アミノ酸を分析すると、BCAA(バリン・ロイシン・イソロイシン)とAAA(フェニルアラニン・チロシン)の比率(フィッシャー比)が低下しているという。

つまり、BCAAが減少しAAAが増加したアミノ酸インバランスが見られます。
BCAAは骨格筋で代謝されます。
AAAは肝臓で代謝されます。

そのため、肝硬変ではAAAが増加する。
でもって、BCAA/AAA(フィッシャー比)を上げるために、BCAAが多く、AAAの少ないアミノレバンなどの肝不全用栄養剤を使います。

BCAA

BCAAは、Branched Chain Amino Acid(分岐鎖アミノ酸)の略。

分岐鎖、つまり枝分かれの構造を持つアミノ酸である。
分岐鎖アミノ酸は肝臓では分解されないアミノ酸であり、筋肉や脂肪 組織、脳などでエネルギー源となる。

また、タンパク質の構成成分である。
分岐鎖アミノ酸にはバリン、ロイシン、イソロイシンがある。

分岐鎖アミノ酸製剤

肝硬変では肝臓のアミノ酸代謝が低下するため、相対的に骨格筋でのアミノ酸代謝が亢進します。
骨格筋でおもに代謝されるのは血液中の分岐鎖アミノ酸です。

そのため、血中の分岐鎖アミノ酸の濃度が低下します。
これを分岐鎖アミノ酸製剤(リーバクト)で補うことにより、肝臓でのアルブミン合成が促進されます。
また、体内のアミノ酸バランスを改善し、芳香族アミノ酸の増加による肝性脳症を改善します。

リーバクトとアミノバイタルの違い

医療用のBCAA製剤であるリーバクトには、1包あたり以下のアミノ酸が含まれる。
L-イソロイシン  952mg
L-ロイシン   1904mg
L-バリン     1144mg
合計4000mgである。

市販のアミノバイタルプロには、1本あたりBCAAが1330mg含まれているようだ。
当然リーバクトの勝利である。

AAA

芳香族アミノ酸(aromatic amino acids:AAA)。
芳香環を有するアミノ酸であり、タンパク質の構成成分である。
また、ノルアドレナリンなどの神経伝達物質の原料ともなる。
芳香族アミノ酸にはチロシン、フェニルアラニン、トリプトファンが ある。

BCAAとAAA

BCAAのほとんどは筋肉で利用および代謝され、AAAは肝で代謝される。
したがって、重篤な肝障害の場合、肝臓でのアミノ酸代謝が阻害され、特に高AAA血症となる。

さらに、肝不全時にはよく高インスリン・高グルカゴン血症がみられる。
重篤な肝障害患者では血漿BCAAの筋肉への取り込みが促進し低BCAA血症となり、BCAA/AAAモル比が低下する。
また、全身の蛋白崩壊が生じるため、血中アミノ酸が上昇する。
また、BCAAとAAAはB.B.B.(血液-脳関門)で競合するため、脳内に取り込まれるBCAAとAAAの割合は、それらの血漿中濃度の比率に依存している。

したがって肝不全によりBCAA/AAAモル比が低下すると、AAAの脳内取り込みは促進し、octopamineやphenyleetanolamineなどの偽伝達物質の生成が亢進し、脳症(精神症状やはばたき振戦など)に陥る。

肝臓におけるAAAとBCAAの代謝

小腸から吸収されたアミノ酸は、門脈を経て肝臓に取り込まれる。
肝臓はアミノ酸の異化および蛋白質合成、そして各臓器にアミノ酸を放出する役割をはたしている。
BCAAは、ロイシン、イソロイシンおよびバリンであり、これらはいずれも必須アミノ酸である。
肝臓はBCAAを代謝する分岐鎖アミノトランスフェラーゼを有しておらず、BCAAは肝臓では分解されない。
それに対して筋肉、脳、腎臓などは分岐鎖アミノトランスフェラーゼを有しているので、これらの臓器は肝臓から放出されたBCAAを積極的に、とくに筋肉は多く取り込む。

筋肉内のBCAAのうちロイシン、イソロイシンはケト原性アミノ酸としてアセチルCoAに、バリンは糖原性アミノ酸としてスクシニルCoAに代謝され、TCAサイクルでエネルギー源として利用される。
また、筋肉内のBCAAはグルタミン酸およびアラニンの供給体としてアンモニアの除去に重要な役割をはたしている。

アラニンは長期の飢餓時に脳へのグルコース源として重要なアミノ酸である。
肝不全時にはBCAAはエネルギー源として消費されるので、血中BCAA濃度が低下する。
AAAはフェニルアラニン、チロシンであり、これらは主として肝臓で代謝されエネルギー源になる。

また、肝臓におけるアンモニア除去に必要なグルタミン酸の供給体になっている。
肝機能の低下に伴い、これらのアミノ酸の異化が抑制され、血中AAA濃度が高くなるため慢性肝不全時にはフィッシャー比が低下する。
このアミノ酸インバランスを是正するために肝不全用アミノ酸製剤のフィッシャー比を高めに設定している。

BCAAのアンモニア処理メカニズム

アミノ酸の異化に伴い肝臓、その他の組織でアンモニア(NH4+)が発生する。
このアンモニアはヒト生体では強い毒性を有するので、肝臓における尿素サイクルで尿素に無毒化して排泄している。
一方、筋蛋白の異化に伴い生じるアンモニアの処理のために、筋肉内ではグルタミン酸を産生させる。

グルタミン酸は筋肉内の過剰のアンモニアを結合してグルタミンに代謝され、肝臓に運ばれて尿素サイクルで尿素に変換される。
またグルタミンは腸管に排泄され、腸内細菌により再びグルタミン酸に代謝され、このときグルタミンよりアンモニアが遊離してくる。
このアンモニアは門脈を通り肝臓に運ばれ尿素サイクルで処理される。

BCAAの異化に伴い産生されるアンモニアの処理として、筋肉内でアラニンの生成が重要である。
このアラニンは肝臓に運ばれてグルタミン酸を供給する。
グルタミン酸はα-ケトグルタール酸に代謝され、このときにアンモニアが遊離し、尿素サイクルで尿素に変換される。
アラニンは筋肉内のアンモニアの処理ばかりでなく、肝臓でグルタミン酸を供給するとともにピルビン酸に代謝され、糖新生回路に組み込まれグルコースを産生させる。
長期にわたる飢餓時には、脳へのグルコース補給としてアラニンによる糖新生が重要になる。

アミノ酸インバランスとは?

血中濃度が低下したアミノ酸が存在している状態は、タンパク質の合成が阻害され低アルブミン血症などによる低栄養の原因となり、アミノ酸インバランスといわれます。
20種類のアミノ酸の血清値を14例で解析し、基準値を外れたアミノ酸の数と血清アルブミン値の関連を調べたところ、基準値外アミノ酸数が多いほどアルブミンが低値となる傾向がありました。

低栄養状態の改善には、不足しているアミノ酸が充足されることが必要です。

一方、ある特定のアミノ酸のみが過剰に摂取された場合にもアミノ酸バランスが崩れ、タンパク質合成が低下することが知られています。
このようにアミノ酸の摂取は、偏らずに20種類のバランスがとれていることが重要とされます。

病態によっては、効用に期待して特定のアミノ酸の摂取を勧めることがありますが、過剰に摂取してしまうとかえってタンパク質の合成を妨げて健康を損なう恐れがあるので、注意が必要です。

肝硬変の場合、フィッシャー比(BCAA/AAA)が低下して、アミノ酸インバランスとなっているのでそれを是正するアミノ酸摂取が必要となりますが、運動後などのBCAA配合アミノ酸サプリなんかは逆にアミノ酸インバランスになっちゃうんじゃないかと思ったり。
単にロイシンの量が多い、とかで判断するのではなく、普段の食生活を加味してアミノ酸を補うことが必要なのだろう。

必須アミノ酸とは?

アミノ酸は20種類が知られていますが、体内で合成されないため摂取が不可欠な必須アミノ酸と、体内での合成が可能な非必須アミノ酸に分類されます。
人間での必須アミノ酸は9種類で、非必須アミノ酸は11種類ですが、動物の種によって必須アミノ酸であるバリン、ロイシン、イソロイシンは、炭素が分岐した分子構造を有するため分岐鎖アミノ酸(BCAA:blanhced chain amino acids)といわれ、薬剤として肝硬変症における栄養状態改善目的にも用いられています。
流動食だけでなく、筋肉で代謝されエネルギー源となることからスポーツドリンクにも積極的に利用されています。

人間の体は何で出来ているのか?

人体の化学成分比は、水分60%、たんぱく質18%、脂肪18%、鉱物質3.5%、炭水化物0.5%です。つまり水分が全体の60%を占め、組織はわずか40%にすぎません。
組織の成分比には個人差がありますが、平均的な成人男性の場合、筋40%、内臓と神経24%、骨18%、脂肪18%です。人体の組織と成分比|病院・薬・サプリメントの情報満載! healthクリック

「人間の体は何でできていますか?」

という質問をされた。

水分60%、蛋白質と脂肪で36%、その他4%。

答えは「自分の食べたもので出来ています」

という食育に関する勉強会でした。

参考書籍:調剤と情報2008.11

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腎不全患者にアロプリノール追加 適切な投与量は?

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薬剤師

数年前より腎不全を患っている60歳の男性患者。CLcrは35mL/minである。高尿酸血症の治療のためアロプリノールを投与したいが、投与量はどの程度にすればよいか(アロプリノールの通常量は200~300mg/日を2~3回に分けて投与する)。
A. 100~300mg/日
B. 100mg/日
C. 50mg/日

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