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アミノレバンを寝る前に飲む?
公開. 更新. 投稿者:肝炎/膵炎/胆道疾患.この記事は約4分39秒で読めます.
9,465 ビュー. カテゴリ:肝硬変患者とエネルギー
肝臓は、糖質、脂質、蛋白質などの栄養素の代謝を行っており、肝硬変になると多彩な栄養・代謝異常を起こすようになる。
肝硬変は肝炎ウイルス感染をはじめとする要因により、肝臓の障害が長期化することで発症する。
肝硬変に陥ると、糖質の吸収や利用に障害が現れる。
また、肝細胞数が減少するため、体内のグリコーゲン貯蔵量も大きく減少する。
グリコーゲンは、多数のグルコース分子が重合した構造を持ち、グルコースを一時的に貯蔵する役割を果たしている。
肝硬変患者では、グリコーゲン貯蔵量が減少しているため、一定時間の絶食が続く睡眠中にグリコーゲンを使い切り、早朝空腹時にはエネルギー源として糖質を用いることができなくなる。
これは健常者の2~3日の絶食状態に相当する非常に厳しい飢餓状態であり、筋肉や脂肪組織を分解してエネルギー源とするため、筋力の低下やこむら返り、早朝の疲労感などが生じる。
さらに、この飢餓状態は肝硬変患者の生存期間に影響するため、さまざまな改善策が模索されてきた。
夜間就寝前捕食
近年、肝硬変患者における早朝の飢餓状態を改善する方法として注目されているのが、夜間就寝前捕食(LES:late evening snack)の摂取である。
就寝前に200~300kcal程度の軽食を摂取させることで、翌朝までの絶食時間を短縮し、早朝に飢餓状態を起こりにくくする。
摂取する軽食としては、肝硬変患者が低蛋白栄養状態にあることを踏まえ、糖質だけでなくアミノ酸やビタミン・ミネラル類などをバランスよく含有する食品が望ましい。
肝硬変患者では、分岐鎖アミノ酸(BCAA)の血中濃度が、健常人よりも著しく低いことが知られている。
BCAAを含有する肝不全用経口栄養剤であるアミノレバンENを用いた臨床試験では、肝硬変患者に3ヶ月間、就寝前に1包50g(約200kcal)を投与したところ、全身倦怠感や易疲労感が改善したと報告されている。
アミノレバン
Q.肝不全用栄養剤って何?
A.「肝臓の働きのよくないときにアミノ酸の不足を補う栄養剤です。」
重症肝障害で低下している分岐鎖アミノ酸を多く含有する成分栄養剤である。
肝不全時の血漿アミノ酸は、分岐鎖アミノ酸の減少と芳香族アミノ酸の増加のため、高濃度の分岐鎖アミノ酸を含み芳香族アミノ酸を減じた肝不全用のアミノ酸液が市販されている。
Q.肝不全用栄養剤を使えば寿命が延びる?
A.わからない。
肝性脳症の改善効果と慢性肝不全の栄養改善効果が若干期待できるが、生命予後改善に関するエビデンスはない。
Q.肝不全用栄養剤って美味しい?
A.不味いです。
味がよくないため、服薬コンプライアンスに注意する。
栄養製剤を経口摂取する場合は服薬困難(味・量)なため、コンプライアンスが低下しやすい。
栄養製剤治療の意義を説明し納得させるようにする。
どうしても経口摂取困難な場合は、黙って破棄することなく、必ず申し出てもらう。
「この薬には専用のフレーバーがあり、お好みに応じて味付けをすることができます。そのままで飲みにくい場合は申し出てください。」
Q.ジュースに混ぜてもいい?
A.「この薬と果物の生ジュースとを混ぜないでください。」アミノレバン
好みに応じてフレーバー(調味料)や繊維分を含む野菜などを混ぜてもかまいませんが、果物の生ジュースは酸性のため、混ぜるとゲル化(固まる)することがあるので避けてください。
Q.どのくらいの水に溶かせばいい?
A.通常、成人に1回量として1包(50g)を約180mLの水又は温湯に溶かし(約200kcal/200mL)1日3回食事と共に経口摂取する。(アミノレバン)
通常、成人に1回量として1包(80g)を約250mLの常温の水又は微温湯に溶かし(約310kcal/300mL)、1日2回食事とともに経口摂取する。(ヘパン)
Q.水に溶かして残った分を後から飲んでもいい?
A.「水または50℃位のお湯で1回分を溶かしてください。溶かしてから10時間以内にお飲みください。やむを得ず保存する場合は、冷所に保存してください。」アミノレバン
「水または30~40℃位のぬるま湯で1回分を溶かしてください。溶かしてから6時間以内にお飲みください。やむを得ず保存する場合は、冷蔵庫に保存し、24時間以内にお飲みください。」ヘパン
Q.牛乳アレルギーだと飲んじゃダメ?
A.「牛乳アレルギーのある方は、必ず医師にお知らせください。」アミノレバン
アミノレバンの作用機序
本剤は慢性の肝機能不全状態における脳症を改善するため、フィッシャー理論に基づき分岐鎖アミノ酸(BCAA)rich、芳香族アミノ酸(AAA)poorとした特殊アミノ酸製剤であり、フィッシャー比(BCAA/AAAモル比)=38である。
肝性脳症は劇症肝炎や肝硬変でみられる意識障害を中心とする精神神経症状を呈する症候群であり、肝不全の最も特徴的な臨床症状であるといわれているため、重症度の指標になるという。
また、肝性脳症は通常、代償性肝硬変では起こらないといわれている。
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