更新日:2016年12月31日.全記事数:3,169件.

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緑内障に抗コリン薬は禁忌?


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緑内障に抗コリン薬は禁忌?

抗コリン作用を持つ薬(抗コリン薬のほか、抗ヒスタミン薬、ベンゾジアゼピン系薬剤、抗不整脈薬など)は緑内障症状を悪化させる可能性があるため、緑内障患者に禁忌とされています。
添付文書の記載には、「緑内障」とだけ書かれている薬もあれば、「閉塞隅角緑内障」「急性狭隅角緑内障」と記されているものまでさまざまです。

抗コリン作用をもつ薬剤は、副交感神経末梢のムスカリン作用を遮断することで散瞳を引き起こします。散瞳すると、隅角閉塞が引き起こされ、眼房水の排泄がスムーズに行われなくなって眼圧が上昇し、緑内障の発作を起こすと考えられています。

禁忌は未治療の閉塞隅角緑内障だけ?

しかし、現実には、添付文書に禁忌とされている薬剤でも緑内障を気にせずに使用されている薬が多いのです。

緑内障は、隅角の閉塞がない「開放隅角緑内障」と、虹彩根部によって閉塞している「閉塞隅角緑内障」の2種類があります。

多くみられるのは、開放隅角緑内障で、眼の排出管が数カ月から数年かけて徐々に詰まっていきます。房水は正常に産生されているのに排出が少しずつしか行われないため、眼圧が徐々に上昇します。

閉塞隅角緑内障は、開放隅角緑内障に比べるとはるかに頻度の低い病気で、房水の排出管が突然詰まり、あるいはふさがってしまいます。房水の産生は続いているのに排出が突然止まるため、眼圧が急に上昇します。

抗コリン薬が禁忌なのは、未治療の閉塞隅角緑内障のみです。

閉塞隅角緑内障では、隅角の閉塞により眼内からの房水の流出が滞り、眼圧が上昇すします。この状態で抗コリン作用のある薬剤を使用すれば、散瞳により隅角がさらに閉塞し、眼圧上昇が亢進する危険があります。

しかし、隅角の閉塞がない開放隅角緑内障や、閉塞隅角緑内障でも既にレーザー虹彩切開術などの手術を受けている患者では、抗コリン薬の投与で隅角が閉塞しても眼圧上昇が起こるリスクはないため、禁忌ではありません。

催眠鎮静剤・抗不安剤のベンゾジアゼピン系薬剤の抗コリン作用については、弱い抗コリン作用を有するという報告がある一方で、作用を有していないとする報告もあり、結論は出ていないようです。緑内障に対して禁忌とする実験的報告も症例もないのが現実です。

以上を考えると、緑内障の患者であっても眼科医に診てもらっているような患者に対しては抗コリン作用を持つ薬でも処方して問題ないと思われます。

PL顆粒は緑内障に禁忌?

緑内障は眼圧上昇機序により「開放隅角」と「閉塞隅角」の2種類に大別される。
薬理学的には、抗ヒスタミン薬の抗コリン作用により眼圧が上昇するのは閉塞隅角緑内障のみとされており、PL配合顆粒は開放隅角緑内障に使用しても問題はないはずである。

しかし、2004年8月に行われた添付文書改訂で、重大な副作用に「緑内障」が追記された。
これは、PL配合顆粒との因果関係が否定できない緑内障の報告が3例集積されたことを受けたものである。
また、開放隅角緑内障であっても、毛様筋の弛緩により眼圧が上昇する場合があるとの報告もある。
見解は様々であるが、添付文書で「緑内障に禁忌」となっている以上 、開放隅角緑内障でも疑義照会の対象になる。

緑内障に禁忌の咳止め?

緑内障に禁忌の薬といえば、抗コリン薬。

ベンゾジアゼピン系や抗ヒスタミン薬、抗うつ薬にも抗コリン作用があり、禁忌というのが想像がつく。

アイトロールやフランドルテープなど硝酸剤も、緑内障に禁忌とされている。

亜硝酸剤やニコランジルなどの血管拡張剤は、脈絡膜の血管を拡張することから、一過性の眼圧上昇を引き起こすという理由で、緑内障に禁忌とされていますが、これもまた緑内障を悪化させるという確証はなく、禁忌とする理由を疑問視する医療関係者が多いようです。 緑内障

ちなみにシグマートは禁忌ではない。

そのほか意外な薬に抗コリン作用があったりするので要注意。

レボドパ製剤もコリンとバランスをとって、抗コリン作用をもつので、禁忌。
抗不整脈薬のシベノールとかリスモダンも意外。
抗ヒスタミン系の鎮咳薬のトクレスは緑内障に禁忌。フスタゾールは禁忌じゃないけど。

緑内障の薬を使っていて、見慣れない薬が処方されたら再チェック。

頻尿治療薬と緑内障

ベシケア(コハク酸ソリフェナシン)は、抗コリン作用により眼圧が上昇し、症状が悪化するおそれがあることから、閉塞隅角緑内障の患者には禁忌である。
「閉塞隅角緑内障」患者においては、抗コリン剤使用によって、副交感神経末端のムスカリニックアセチルコリンレセプターを遮断することで瞳孔括約筋を弛緩させ、散瞳を引き起こしやすくなると考えられる。
散瞳すると虹彩が縮んで隅角を物理的にふさぎ、房水の流出が妨げられるため急激な眼圧上昇を誘発し、緑内障を悪化させる可能性がある。
一方、「開放隅角緑内障」では、抗コリン薬を投与してもほとんど問題ない。
本緑内障は、線維柱帯での房水の流出が滞ることで起こるため、散瞳しても隅角に十分な隙間があるため、房水の流れが妨げられるとは考えにくい。
「閉塞隅角緑内障」の患者は、全緑内障患者の約1割程度にすぎない。
大半は眼圧が正常な「開放隅角緑内障」(正常眼圧緑内障)である。

「閉塞隅角緑内障」との診断がなされていてもレーザー虹彩切開術などの予防的処置が施されている患者においては、抗コリン作用や交感神経刺激作用を有する薬剤の内服により眼圧が上昇して緑内障悪化を招く可能性はほとんどないと言われている。
しかし、「閉塞隅角緑内障」の患者の中には、合併症のリスクへの配慮からレーザー虹彩切開術などの治療をせずに経過観察しているケースもまれにあるので、基本的には、「緑内障に禁忌の薬剤」が処方された場合には、必ず眼科医へ問い合わせるべきである。

ブラダロン(フラボキサート塩酸塩)は、弱い副交感神経抑制作用により眼圧が上昇し、症状を悪化させるおそれがあることから、緑内障患者には慎重投与となっている。
しかし、ベシケア等と比較してブラダロンの抗コリン作用は弱いので変更の選択肢の1つである。

参考書籍:日経DIクイズ

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