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貼り薬は1回63枚まで?
公開. 更新. 投稿者:調剤報酬/レセプト.この記事は約4分9秒で読めます.
21,915 ビュー. カテゴリ:湿布薬の処方の適正化
貼り薬は63枚までしか出せないの?
2022年度の診療報酬改訂で、湿布薬の処方枚数制限がさらに厳しくなるそうだ。
70枚から63枚に減らされる。
なんだこの微妙な。
2年後には56枚か?
70枚にしたことの医療費抑制効果がかなりあったんだろうな。
確かに、効いてるか効いてないかわかんね、ってとこはあるけど。
整形外科としては、「じゃあ痛み止めの塗り薬を処方するか」ってことになるだろう。
患者としては、他人に譲渡したり、家族内で使いまわしたりする行為は、使いかけの塗り薬じゃ抵抗あるから、そこの抑止力にはなるだろう。
最終的に湿布薬の保険適応除外になったとして、じゃあ「薬局で湿布買うか」って行動変容につながるかどうかはわからないな。
企業側も、「痛み止めの湿布がダメなら、色んな分野の貼付剤を作るぞ!」なんて企業努力されても、薬局にとっちゃデッドストック廃棄率の高い貼付剤が増えるのは勘弁。
とにかく、4月以降、前回Doで引っ張ってくる処方に対する疑義照会増えるのが面倒になるのは確実。
湿布は1回70枚まで?(過去記事)
湿布だけ処方されている患者さんから、「湿布だけでしょ?早くして!」と言われ、新患アンケートの記載すら拒否する態度で怒鳴られる、という事例はよくある薬局の風景。
その湿布こそが平成28年度診療報酬改定による医療費削減のターゲットなのです、とわかってもらいたい。
処方せん料について
「入院中の患者以外の患者に対して、1処方につき70 枚を超えて湿布薬を投薬した場合は、当該超過分に係る薬剤料を算定しない。ただし、医師が疾患の特性等により必要性があると判断し、やむを得ず70 枚を超えて投薬する場合には、その理由を処方せん及び診療報酬明細書に記載することで算定可能とする。」
との記載がみられる。
理由を処方せんに記載すれば、処方可能。
私の薬局にくる処方としては、「多部位使用のため」とか「通院困難のため」といった理由が多いです。
「1処方につき70 枚を超えて」とあるので、モーラステープ70枚とロキソニンテープ70枚という形でも不可。35枚ずつにしなければならない。
「外用貼付剤」ではなく「湿布薬」という記載なので、ホクナリンテープやリバスタッチパッチなどは70枚を超えても問題は無い。
「1処方につき」ということなので、複数の診療科からそれぞれ湿布が処方されることも考えられる。
その場合、個々の処方せんに理由の記載は必要ありませんが、疑義照会は必要になるか、、、処方間隔にもよるので判断は難しい。
これで困る患者さんは多いでしょうけど、薬剤師的には、理由が明確になれば疑義照会しやすいという点では有り難い。
モーラステープは1回何枚まで処方できる?(過去記事)
2016年度の診療報酬改定に向けて、湿布の処方枚数制限が「1回70枚まで」という案も出ています。
最近、モーラステープの処方で、140枚とか処方されている場合、査定されているケースが目立つ。
モ-ラステ-プの用法は「1日1回患部に貼付する」となっています。
腰痛となると「1回2枚、多くても4枚」を使用すると考えて、
4枚×7日間で28枚(4パック)が1週間の使用量と計算します。
1ヶ月5週あったとして、4パック×5=20パック(140枚)が限界・・・と考えます。しかし、査定の事例として
薬剤の1回の処方量について 医療事務サイト 医療事務資格 取る前取ったあと~初心者向け医療事務講座
「経皮吸収型消炎鎮痛貼付剤を140枚処方」に対し「医学的必要性を踏まえつつ、症状の経過に応じ処方すべき(→査定) 」
と例示されていますので、140枚でもかなりアブナイです!
最高でも70枚くらいにしておいたほうが無難なんだろう。
病院の勤務医とか、あまり経営について考えないから、今まで通り140枚とか平気で出してきそうだけど。
病名に、肩関節周囲炎(両側)、腰痛症(広範囲)、膝関節痛(両側)、とか書けば1日6枚くらい使えるのかな。
理屈ではそのくらい必要だと、必要性を訴えても、財源が厳しいわけで、患者に我慢してもらう方向で医者に話をつけてもらうしかないんだろうな。
モーラステープを一度に何枚も貼って大丈夫か
モーラステープはケトプロフェン経口剤に比べ血中濃度が低いのが特徴ですが、複数貼付すると枚数に比例して血中濃度が増加することが知られています。
モーラステープの血中濃度パラメータ
貼付枚数1枚 Cmax135.85±18.02ng/mL Tmax12.67±1.61hr AUC2447.83±198.67ng・hr/mL
貼付枚数8枚 Cmax919.04±60.36ng/mL Tmax13.33±2.23hr AUC18209.98±962.52ng・hr/mL
ケトプロフェン速放性カプセル剤の血中濃度パラメータ
100mg単回 Cmax10100±1100ng/mL Tmax1.22±0.28hr AUC21910±1570ng・hr/mL
ケトプロフェン徐放性カプセル剤の血中濃度パラメータ
150mg単回 Cmax2383±294ng/mL Tmax4.8±0.4hr AUC25170±2120ng・hr/mL
モーラステープを8枚貼ったら、AUCで比べると、飲み薬に匹敵する血中濃度ですね。注意です。
ロキソニンテープは1日何枚まで?
ロキソニンテープも用法は「1日1回、患部に貼付する」となっている。
ロキソニンテープ100mgを1日4枚~8枚貼ると、ロキソニン錠60mg1錠を1日3回服用したとき(180mg)と同じ量になる。
両肩、両腕、背中、腰、両足、で1日8枚使うというパターンもあるので、湿布だからといって安易に使っている患者には注意喚起が必要。
勉強ってつまらないなぁ。楽しみながら勉強できるクイズ形式の勉強法とかがあればなぁ。
そんな薬剤師には、m3.com(エムスリードットコム)の、薬剤師のための「学べる医療クイズ」がおすすめ。
3 件のコメント
母親は膝と足首を長いこと患っていますが、整形外科で湿布は1日1枚分しか処方できないとのことです。なので自分で購入して貼っています。1処方で63枚までとのことですが、それは1か月で63枚まで処方していただけるということでしょうか?
コメントありがとうございます。
そう解釈している医師が多いと思います。
椎間板ヘルニア手術で人工骨を挿入し12年経過人工骨が飛び出し中枢神経損傷多くの薬を処方されたが、痛み痺れが治らず今はロキソニンNa100mmgテープで抑えてますが1日4枚はないと歩けませんそれでも少しかんけつはこうですしかし処方は月63枚でとてもたりなくてやりくりして過ごしていますそれも診察が2ヶ月ごとですので間で湿布のみの処方を受けに病院に行かなければならず困ってますまた回復は不能で緩和療法だけです