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調剤を事務にやらせてはいけない?
公開. 更新. 投稿者:調剤/調剤過誤.この記事は約5分19秒で読めます.
4,727 ビュー. カテゴリ:ピッキングは事務にやらせてもいい?
2019年4月2日、厚生労働省から「調剤業務のあり方について」という通知が発出された。
1 調剤に最終的な責任を有する薬剤師の指示に基づき、以下のいずれも満たす業務を薬剤師以外の者が実施することは、差し支えないこと。なお、この場合であっても、調剤した薬剤の最終的な確認は、当該薬剤師が自ら行う必要があること。
・当該薬剤師の目が現実に届く限度の場所で実施されること
・薬剤師の薬学的知見も踏まえ、処方箋に基づいて調剤した薬剤の品質等に影 響がなく、結果として調剤した薬剤を服用する患者に危害の及ぶことがない こと
・当該業務を行う者が、判断を加える余地に乏しい機械的な作業であること
2 具体的には、調剤に最終的な責任を有する薬剤師の指示に基づき、当該薬剤師の目が届く場所で薬剤師以外の者が行う処方箋に記載された医薬品(PTP シ ート又はこれに準ずるものにより包装されたままの医薬品)の必要量を取り揃える行為、及び当該薬剤師以外の者が薬剤師による監査の前に行う一包化した薬剤の数量の確認行為については、上記1に該当するものであること。
3 「薬剤師以外の者による調剤行為事案の発生について」(平成 27 年6月 25 日付薬食総発 0625 第1号厚生労働省医薬食品局総務課長通知)に基づき、薬剤師以外の者が軟膏剤、水剤、散剤等の医薬品を直接計量、混合する行為は、 たとえ薬剤師による途中の確認行為があったとしても、引き続き、薬剤師法第 19 条に違反すること。ただし、このことは、調剤機器を積極的に活用した業務の実施を妨げる趣旨ではない。
4 なお、以下の行為を薬局等における適切な管理体制の下に実施することは、 調剤に該当しない行為として取り扱って差し支えないこと。
・納品された医薬品を調剤室内の棚に納める行為
・調剤済みの薬剤を患者のお薬カレンダーや院内の配薬カート等へ入れる行為、電子画像を用いてお薬カレンダーを確認する行為
・薬局において調剤に必要な医薬品の在庫がなく、卸売販売業者等から取り寄 せた場合等に、先に服薬指導等を薬剤師が行った上で、患者の居宅等に調剤 した薬剤を郵送等する行為
5 薬局開設者は、薬局において、上記の考え方を踏まえ薬剤師以外の者に業務 を実施させる場合にあっては、保健衛生上支障を生ずるおそれのないよう、組 織内統制を確保し法令遵守体制を整備する観点から、当該業務の実施に係る手順書の整備、当該業務を実施する薬剤師以外の者に対する薬事衛生上必要な研修の実施その他の必要な措置を講じること。
事実上、調剤事務によるピッキング行為が認められたということになる。
調剤室で事務が作業していても、法的な問題はないという解釈でよいということだ。
ただし軟膏の計量混合、水剤・散剤の計量はNG。
事務による一包化作業については明記されていないが、全自動錠剤分包機で出てきた薬剤の確認作業はOK。
「納品された医薬品を調剤室内の棚に納める行為」は今でも行っている薬局は多いだろう。
「調剤済みの薬剤を患者のお薬カレンダーや院内の配薬カート等へ入れる行 為、電子画像を用いてお薬カレンダーを確認する行為」
「薬局において調剤に必要な医薬品の在庫がなく、卸売販売業者等から取り寄 せた場合等に、先に服薬指導等を薬剤師が行った上で、患者の居宅等に調剤した薬剤を郵送等する行為」
これらは、在宅業務も見据えた行為であろう。
個人的に「電子画像を用いてお薬カレンダーを確認する行為」というのは、かなり先を行った業務内容と感じる。
今まで「違法ですから」と、これらの調剤補助業務を断っていた事務も今後はやらざるを得ない状況に置かれる。そして、「同じような仕事をやらされているのに、給料は雲泥の差」という事務の不満も膨らんでくる。
薬剤師はこれらの単純作業から解放され、高度な知識を要求される業務に関わらなければならなくなる。
私のような低レベル薬剤師は淘汰されてしまうかも知れない。
調剤権(過去記事)
医療事務に薬を集めさせるのは違法か?
そんなに忙しい薬局でなくても医療事務が薬を集めて調剤しているところは多いです。
粉薬とかシロップとかの計量までさせている薬局はまれだと思いますが、話には聞いたことがあります。
薬剤師法19条「薬剤師でない者は、販売又は授与の目的で調剤してはならない。ただし、医師若しくは歯科医師が次に掲げる場合において自己の処方せんにより自ら調剤するとき、又は獣医師が自己の処方せんにより自ら調剤するときは、この限りでない。」
調剤は薬剤師しかしてはいけません。
医者もできますけど。
しかしこの「調剤」というものに明確な定義がない。
ここらへんのあいまいさが、ピッキングや分包を事務にもやらせるという抜け穴になっているわけで。
日本薬剤師会では、処方薬の確認、薬剤の調製、患者さんへの説明までを「調剤」と呼ぶとしているらしい。
調剤とは・・・ 医薬品・化粧品・食品に関する情報提供
一般的には、「調剤とは、一定の処方に従って2種類以上の薬品を配合し、または1種の薬品を使用し、特定の疾病に対する薬剤を調製する行為を言う。」と考え、処方薬の確認、薬剤の調製までを「調剤」と呼ぶと考えている人も多いようですが、これは狭義の意味での調剤だと思うのである。
診療所の院内処方の場合はどうしてるのでしょうか?
医者が調剤してるとは思えませんが。
結局、黙認されているんでしょう。
最終的な確認を薬剤師ができればいいと言う人もいますが、やはり堂々と事務員に調剤させている経営者をみると嫌悪感を抱きます。
将来的に日本でもテクニシャン制度の導入とか、提唱されることもありますが、個人的には「調剤」こそが薬剤師の主たる仕事であり、調剤全般一連の流れに薬剤師が関わることが基本ではないかと思います。
職域の拡大を唱える前に足元を見直す必要性を感じます。
調剤薬を第三者が配達しても問題ないか
在庫不足などの理由で、患者の来局時に調剤薬の全てをそろえられず、不足分を後日、患者宅まで配達するといったことは一般に行われています。
この場合、患者来局時に全ての薬剤について服薬指導を行っていれば問題ありません。
この配達を、薬剤師以外の従業員が行ったり、郵送することも、禁止する規定はありませんから、問題ないと考えられます。
ただ、調剤薬の第三者による配達には、患者宅まできちんと届かないというリスクがあります。
特に、薬の到着が遅れることが患者の生命に関わるような薬剤を運ぶ場合には、十分な配慮が必要だと言えるでしょう。
そうした配慮を欠いていれば、薬剤師としての危険回避義務を果たしていないとも解釈できますから、万が一、薬の到着が遅れたことで患者に健康被害が生じれば、その薬局や薬剤師も損害賠償請求の対象になると考えられます。
登録販売者が調剤助手になる?
調剤助手、という仕事、調剤の定義についてはグレーな部分がありますが。
日本では薬剤師しか調剤をできませんが、アメリカではテクニシャンと呼ばれる職種の人たちが調剤をします。
テクニシャンの資格はありますが、州によってはテクニシャンの資格を持っていなくてもテクニシャンとしての仕事ができるらしいです。
日本では登録販売者が、そのうち調剤することが許され、日本版テクニシャンになるのではと言われています。
でも、薬剤師会の反発は必至でしょう。
勉強ってつまらないなぁ。楽しみながら勉強できるクイズ形式の勉強法とかがあればなぁ。
そんな薬剤師には、m3.com(エムスリードットコム)の、薬剤師のための「学べる医療クイズ」がおすすめ。