更新日:2016年12月5日.全記事数:3,117件.

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抗血小板薬と抗凝固薬の違いは?


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ワーファリンとアスピリンの違いは?

血液が固まって脳梗塞や心筋梗塞を起こさないように、血液をサラサラにする薬として、ワーファリンアスピリンなどが処方されます。
ワーファリンに代表される抗凝固薬と、アスピリンに代表される抗血小板薬
その違いは何か?患者から質問されることも多い。

出血したとき出血を止めるメカニズムは、まず血小板が血管の穴の開いたところにピタッとくっつき一時的にとめます。次に糊を付けたりして血を固めて補強します。

抗血小板薬は血管の壁と血小板がくっつくのを邪魔することによって血栓を出来にくくします。
抗凝固薬は血小板同士がくっついて固まりをつくるのを抑えることで血栓を出来にくくします。

抗血小板薬のほうが抗凝固薬より安全というイメージがあります。

抗血小板薬を言い換えると血小板凝集抑制薬。
血小板どうしが接着することを「凝集」、フィブリンによって血小板だけでなく赤血球が接着し、血栓形成することを「凝固」と呼ぶ。
凝集だけなら小さい血栓、凝固までしたら大きい血栓になる。

動脈に生じる血栓は血小板が主体をなし、「血小板血栓」または「白色血栓」といわれる。
これに対し静脈では、フィブリンと赤血球を主体とする血栓が生じ、「フィブリン血栓」または「赤色血栓」といわれる。

その理由としては、動脈内で出血が起きた場合、血流が速いので静脈のようにゆっくり血液が固まるのを待っていては遅いからとのこと。

なので、動脈血栓には抗血小板薬が、静脈血栓には抗凝固薬が主に使われる。

血の固まり方

血液凝固のメカニズムについて。

血液凝固(止血機能)は大きく2段階(一次止血と二次止血)に分けることができます。
止血は、血小板による一次止血と、凝固系による二次止血(外因系と内因系の二つの経路からなります)を経て完成します。

凝固系とは、出血を止めるために血液を凝固する過程です。

血小板の異常(数の低下、機能異常)では出血時間の、凝固系の異常では凝固時間の延長が見られます。

凝固により生じる線維素(フィブリン)を溶解する過程が線溶(線維素溶解)系です。

線溶系はプラスミンを介する経路がおもな経路です。

通常、フィブリン血栓が生じるとプラスミンが生成されるように制御されており、凝固系と線溶系は密接にバランスを取りあって働いています。

一次止血と二次止血

一次止血は血小板凝固による止血機能で、血管内皮細胞の損傷によってコラーゲンなどの内皮細胞下組織が露出されると、そこにフォン・ヴィレブランド因子(vWF)が結合し、さらに血小板が粘着することにより開始されます。

その後、血小板同士がフィブリノーゲンを介して凝集し、血小板血栓が生成して傷口をふさぎます。

二次止血は一次止血で生じた血小板血栓をさらに強固にするために起こる凝固反応で、血漿中に存在する凝固因子とよばれる酵素群によるカスケード反応です。

なんらかの原因で血管壁が損傷されると、組織因子(TF)とよばれる膜蛋白質が放出され、血漿中の第Ⅶ因子と結合し複合体を形成することにより開始されます(外因系血液凝固)。

活性化されたTF-Ⅶ複合体(TF-Ⅶa)は、第Ⅹ因子を活性化すると同時に、内因系因子とよばれる第Ⅸ因子を活性化します。

これら凝固因子の活性化には、カルシウムイオン(Ca2+)とリン脂質の存在が必須です。

また、別ルートとして血管内皮の破損により、第ⅩⅡ因子が活性化され、第ⅩⅠ因子、第Ⅸ因子が活性化されるといわれていますが、現在ではその関与は小さいとされています。

以下、各凝固因子の活性化が次々と連鎖反応的に起こり、最終的にフィブリンという線維素蛋白質が精製されます。

この時点でフィブリンは水溶性ですが、重合・架橋反応によって難溶化、安定化されて血小板血栓を補強します。

抗凝固薬の特徴

抗凝血薬(ワルファリンK、ヘパリン)

心房や心室に血液がうっ滞するとフィブリン活性が上昇しやすい→心臓や下腿静脈などに塞栓源が存在する場合、抗凝血薬。

・フィブリンなどの血液凝固因子の働きを抑え、フィブリン血栓(二次血栓)の形成を抑制する
・主に血栓の停滞によって生じる血栓が原因で起こる血栓症や塞栓症(静脈血栓塞栓症、心原性脳塞栓症など)の治療・予防に用いる

抗血小板薬の特徴

抗血小板薬(低用量アスピリン、チクロピジン)

血管が粗面化すると血小板が凝集しやすい→脳血栓における脳動脈の粗面化による血栓形成を抑制するためには、抗血小板薬。

・血小板の働きを抑えて血小板凝集を抑制し、血小板血栓(一次血栓)の形成を抑制する。
・主に動脈硬化に基づく血栓症(脳梗塞、心筋梗塞、閉塞性動脈硬化症など)の治療・予防に用いる

抗凝固療法の適応

心血管疾患は、血栓塞栓が血流の途絶を招来し、臓器や組織の虚血の原因となって発症することが多い。動脈系の血栓塞栓症には、主として抗血小板薬が、また静脈系の血栓塞栓症には抗凝固薬がその抑制に有効である。

従って抗凝固薬は、主として静脈系のフィブリン形成が主体の静脈血栓の治療や予防に用いられる。

その適応疾患は治療の推奨レベルも含めて、循環器疾患における抗凝固・抗血小板療法に関するガイドライン(日本循環器学会2009年改訂版オンライン)にまとめられている。

疾患別にみると、
①弁膜症:人工弁置換術後
②虚血性心疾患:冠動脈血栓は殆どが抗血小板療法の対象であるが、不安定狭心症は、抗凝固療法(ヘパリン)が併用される。
③心不全:心不全に心房細動が合併している場合や血栓塞栓症の既往のある場合、ワルファリンの適応となる。
④心房細動・粗動:心房細動・粗動は心原性脳塞栓症を惹起しやすいため、リスク因子の併存状況によって抗凝固療法(ワルファリン)の適否が決定される。本邦では、年齢によってワルファリンのコントロール強度(PT-INR)も規定される。
⑤補助循環:大動脈バルーンパンピング(IABP)や経皮的人工心肺補助循環(PCPS)、血液透析ではヘパリンで対応するが、補助人工心臓の植込み時にはワルファリンによる長期の抗凝固療法が求められる。
⑥肺血栓塞栓症:病態に応じて外科的治療、血栓溶解療法も用いられるが、血栓塞栓症の進行抑制は抗凝固療法による。
⑦深部静脈血栓症:ヘパリンとワルファリンの組み合わせによる抗凝固療法が主体となる。

参考書籍:日本薬剤師会雑誌2012.1、調剤と情報2012.2

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コメント

  1. 94歳の母がかかとの腫れと痛みで閉塞性動脈硬化症と診断されました。他の病気もありワーファリンを飲んでいます。最近くるぶしから下が腫れ夜寝てから痛むようになりました。高齢のため血管の治療はできないのでこのまま様子を見ていくしかないといわれましたがかなり痛むようです。痛み止めなどはないのでしょうか。かわいそうです。

    まるこ:2014/2/9

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