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利尿薬の一覧
公開. 更新. 投稿者:心不全/肺高血圧症. タグ:薬の一覧. この記事は約4分57秒で読めます.
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利尿薬の一覧
分類 | 商品名 | 一般名 | 剤形・規格 |
---|---|---|---|
サイアザイド利尿薬 | フルイトラン | トリクロルメチアジド | 錠(1㎎、2㎎) |
ヒドロクロロチアジド | ヒドロクロロチアジド | 錠(12.5㎎) | |
ベハイド | ベンチルヒドロクロロチアジド | 錠(4㎎) | |
サイアザイド類似利尿薬 | ナトリックス/テナキシル | インダパミド | 錠(1㎎、2㎎) |
ノルモナール | トリパミド | 錠(15㎎) | |
バイカロン | メフルシド | 錠(25㎎) | |
ループ利尿薬 | ラシックス | フロセミド | 錠(10㎎、20㎎)、細粒(4%) |
ダイアート | アゾセミド | 錠(30㎎、60㎎) | |
ルプラック | トラセミド | 錠(4㎎、8㎎) | |
MR拮抗薬(カリウム保持性利尿薬) | アルダクトンA | スピロノラクトン | 細粒(10%)、錠(25㎎、50㎎) |
トリテレン | トリアムテレン | カプセル(50㎎) | |
セララ | エプレレノン | 錠(25㎎、50㎎、100㎎) | |
ミネブロ | エサキセレノン | 錠(1.25㎎、2.5㎎)、OD錠(1.25㎎、2.5㎎、5㎎) | |
炭酸脱水酵素阻害薬 | ダイアモックス | アセタゾラミド | 末、錠(250㎎) |
浸透圧性利尿薬 | イソバイド | イソソルビド | シロップ(70%:20mL/包、23mL/包、30mL/包、500mL/瓶) |
バソプレシンV2受容体拮抗薬 | サムスカ | トルバプタン | 顆粒(1%)、OD錠(7.5㎎、15㎎、30㎎) |
利尿薬の分類
利尿薬は、腎尿細管でのNa、水の再吸収を抑制して尿量を増加し、循環血液量を減少させることで血圧を下げます。
利尿の仕組みには、Na利尿、浸透圧利尿、水利尿などがある。
Na利尿は、Na⁺の再吸収を抑え、尿浸透圧が上昇することで、水の再吸収を抑え尿量を増やす。
浸透圧利尿は、利尿薬自体が尿細管内の浸透圧を上げることで、水の再吸収を抑え尿量を増やす。
水利尿は、集合管において水透過性を高めているバソプレシンの作用を低下させることで水の再吸収を抑え、尿量を増やす。
各利尿薬が阻害するNa⁺再吸収の量を反映した利尿作用の強さ自体は、ループ利尿薬>チアジド系利尿薬>その他の利尿薬の順だが、利尿作用が強い方がより優れているというわけではなく、病態に応じた使い分けが必要となる。
ループ利尿薬
ループ利尿薬は、主にヘンレ係蹄(ヘンレループ)上行脚髄質部のNa/K/Cl共輸送体におけるNa⁺とCl⁻の再吸収を抑える作用(薬剤によってはヘンレループ以外の部位の再吸収も抑える)により尿量を増やし体内の過剰な水分を排泄することで、むくみを改善する。
最も強力な利尿剤であるが、低カリウム血症の副作用があり、特に心不全に対するジギタリス製剤との併用には注意を要する。
サイアザイド系と異なり、腎血流量、糸球体濾過値を減少させないので腎障害時にも適する。
トラセミドにはミネラルコルチコイド受容体拮抗作用があり、抗アルドステロン作用により他のループ利尿薬に比べて低カリウム血症をおこしにくい。
チアジド(サイアザイド)系利尿薬
主に腎臓の遠位尿細管のNa/Cl共輸送体におけるナトリウムイオンや水分の再吸収を抑えることで、尿として水分を排泄し体内の過剰な水分を減らす。
利尿効果ではループ利尿薬に劣るが、末梢血管を拡張させる作用もあり、高血圧症に対する利尿薬としては第一選択となる。
メフルシド、インダパミドなどのサイアザイド系類似薬の薬理作用はチアジド系利尿薬に似ているが、化学構造が異なっており、非チアジド系利尿薬とよばれる。臨床では同等のものとして用いられている。
ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬(カリウム保持性利尿薬)
副腎皮質で作られるステロイドホルモンには、アルドステロン(ミネラルコルチコイド=鉱質コルチコイド)、コルチゾール(グルココルチコイド=糖質コルチコイド)、アンドロゲン(男性ホルモン)がある。
アルドステロンは体内でナトリウムや水分の調整に関わり、血圧などにも深く関わる物質となる。アルドステロンは腎臓の尿細管(主に遠位尿細管)という部位で、尿中のナトリウムイオンや水分を血液中へ戻す働き(再吸収)を促進させる。
MR(ミネラルコルチコイド受容体)拮抗薬により、尿細管におけるアルドステロンの作用を抑えるとナトリウムイオンと水分の再吸収が抑えられ、結果的に尿としてナトリウムイオンと水分を排泄させる。
また、ナトリウムイオンの再吸収を抑えることで、Na⁺、K⁺‐ATPaseの活性を低下させるため、血中へのNa⁺再吸収の低下とK⁺分泌の低下を生じる。そのため、カリウム保持性利尿薬とも呼ばれる。
セララやミネブロなどの選択的アルドステロン阻害薬は、スピロノラクトンと異なり、アルドステロン受容体への選択性が高いため、性ホルモン関連の副作用が低く抑えられます。
また、トリアムテレン(トリテレン)はENaC(上皮型アミロライド感受性ナトリウムチャネル)阻害薬としても知られ、Na⁺輸送を直接阻害することでも利尿作用を発揮する。
炭酸脱水酵素阻害薬
アセタゾラミドは温和なNa利尿と尿中HCO3の排泄増加を来たす。
近位尿細管でNa再吸収を阻害する。
炭酸脱水酵素は炭酸(H₂CO₃)を生成したり、分解したりする触媒として作用する。
(CO₂+H₂O↔H₂CO₃↔H⁺+HCO₃⁻)
炭酸脱水酵素や阻害薬は、炭酸脱水酵素を阻害することによって、Na⁺‐H⁺交換輸送を停止させ、Na⁺とHCO₃⁻の尿中への排泄を増加させる結果、利尿効果を発揮する。
弱い利尿作用をもつが、現在は、緑内障、肺性心の呼吸性アシドーシス、てんかん、周期性四肢麻痺、水頭症、メニエール病、月経前緊張症、睡眠時無呼吸症候群など特殊な症例で用いられる。
浸透圧利尿薬
D-マンニトール、濃グリセリン、イソソルビドなどの浸透圧利尿薬は糸球体で濾過されても再吸収されず、また化学的変化を受けないため尿細管内浸透圧が増加し、水、Naの再吸収が抑制される。
脳圧低下などの目的で使用されることが多い。
バソプレシン受容体拮抗薬
バソプレシンは、尿量を減少させる作用を持つホルモンで、抗利尿ホルモン(ADH)とも呼ばれます。視床下部で生成され、下垂体後葉から血液中に分泌されます。
バソプレシンV2受容体拮抗薬は、バソプレシンと拮抗して水の再吸収を抑制し、Na⁺などの電解質量に影響を与えないことが特徴で、ループ利尿薬やサイアザイド系利尿薬を服用しても体液貯留のコントロールが困難な患者(特に低Na血症を呈する患者)が適応となる。
SGLT2阻害薬
SGLT2阻害薬は、腎臓の近位尿細管にあるナトリウムグルコース共輸送体2(SGLT2)の働きを阻害することで、ブドウ糖を尿に排泄させることで血糖値を下げる作用があります。
尿糖排泄に伴い浸透圧利尿作用が働くため、SGLT2阻害薬により利尿作用があります。
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