2018年12月18日更新.3,342記事.5,770,694文字.

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インスリンとインクレチンの違いは?

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インクレチン

インクレチンとは、食事摂取に伴い消化管から分泌され、膵β細胞に作用してインスリン分泌を促進するホルモンの総称で、これまでにGIPGLP-1の2つのホルモンがインクレチンとして機能することが確認されている。

食物を摂取したという情報がインクレチンの分泌を介してすみやかに膵β細胞へと伝達され、インスリン分泌を刺激し、食後の血糖上昇を抑え、血糖をより一定に保つ役割を有している。

GIPとGLP-1は、β細胞内のc-AMP濃度を上昇させることによりインスリン分泌を促進するが、そのためには細胞内のCa2+濃度が上昇することが必要となる。

低血糖では細胞内Ca2+濃度は上昇せず血糖値の上昇に伴いATP感受性K+チャネルが閉鎖し、電位依存性Ca2+チャネルが開口して細胞内Ca2+濃度が上昇するため血中ブドウ糖濃度が低い場合には促進しないと考えられる。

そのため、低血糖のリスクが低く、安全に食後高血糖を是正することが可能なホルモンであるといわれる。

インクレチン効果

ブドウ糖負荷時のインスリン分泌は、経口的にブドウ糖を投与した場合の方が、ブドウ糖を経静脈的に投与した場合よりも多い。

この現象をインクレチン効果と呼んでいる。

インクレチンを注射しても効かない?

インクレチンは蛋白質分解酵素のDPP-4によって速やかに分解され、血中濃度半減期は約2分といわれています。
GLP-1そのものを投与して血中レベルを高くしても、GLP-1投与中は血糖値は下がりますが、中止するとGLP-1はすぐに分解され、血糖値は上昇します。

GIPとGLP-1

GIPは十二指腸に局在するK細胞から分泌され、インクレチン作用以外にも栄養素を脂肪細胞に蓄積する作用や、骨芽細胞の機能を高め、骨へカルシウムを蓄積する作用が明らかになっている。

GLP-1は、下部小腸(特に回腸)および結腸に存在するL細胞から分泌され、インクレチン作用のほかに膵α細胞のグルカゴン分泌抑制作用、中枢神経系での食欲抑制作用、胃排泄遅延作用、心保護作用などが明らかにされている。

これらの作用によりGLP-1シグナル増強は食欲抑制、体重減少にもつながる。

げっ歯類においては、GIPとGLP-1により膵β細胞量が増加することが多く報告されており、2型糖尿病患者においても、減少した膵β細胞量を増加させることでインスリン分泌能が回復する、もしくは膵β細胞の減少が抑制されるという可能性があるかもしれない。

分泌されたGIPやGLP-1は、DPP-4とよばれる蛋白分解酵素により数分以内に不活性化され、インクレチン作用を失った後に腎臓から排泄される。

インスリン分泌促進薬とインクレチン関連薬

SU剤や速効型インスリン分泌促進剤が膵β細胞膜上のSU受容体に結合すると、カリウムイオン(K+)チャネルが閉鎖し、カルシウムイオン(Ca2+)チャネルが開く。
その結果、細胞内にCa2+が流入し、その刺激でインスリン分泌が引き起こされる(惹起経路)。

インクレチン関連薬は、インクレチン受容体(GIP受容体、GLP-1受容体)への結合を介して、アデノシン三リン酸(ATP)から環状アデノシン-リン酸(サイクリックAMP:cAMP)を合成する。
細胞内のcAMP濃度が上昇すると、インスリン分泌が増強される(増幅経路)。

インクレチン関連薬と低血糖

インクレチンは血糖値が高くないと作用しないため、DPP-4阻害薬の投与によって血中インクレチン濃度が高まっても、低血糖が起こりにくいと考えられています。
そのため、食事のタイミングとは関係なく服用可能とされています。

インクレチンは、栄養の摂取に伴って消化管機能から分泌される消化管ホルモンです。
インクレチンは膵β細胞からのインスリン分泌を促進するとともに、膵α細胞からのグルカゴン分泌を抑制することにより、血糖値を低下させます。

2型糖尿病患者では、インクレチン分泌を促し、血糖を低下させるという生理的なメカニズムをもっていることが知られています。
通常、膵β細胞において糖(グルコース)は細胞表面の糖輸送担体を介して細胞内に取り込まれ、代謝されます。
それが細胞内シグナルとして伝わり、インスリンが分泌されます(惹起経路)。

一方、インクレチンによる刺激は、細胞表面の受容体を介して細胞内に伝わり、cAMP濃度の増加を引き起こしてインスリン分泌を促します(増幅経路)。
しかし、このcAMPを介した経路がインスリン分泌を促すのは、Ca2+濃度の上昇を介したシグナルが同時に存在するときのみ、つまりグルコース濃度応答性で、ある一定のグルコース濃度以下では起こらないことが示されています。
つまりインクレチン製剤は低血糖を起こしにくいというわけです。

インクレチン関連薬は日本人に合っている?

インクレチン関連薬は、膵β細胞の量と質の両面で有益な効果を示す可能性があり、GLP-1受容体作動薬とDPP-4阻害薬では類似点と相違点があるものの、欧米人に比して膵β細胞が少ないとされる日本人糖尿病患者に対しては、より有効である可能性がある。

GLP-1アナログ製剤とGLP-1

GLP-1はDPP-4により速やかに分解・失活することから、作用時間が短く、薬剤としての実用化に問題がありました。

リラグルチド(ビクトーザ)は、GLP-1の34位のリジンをアルギニンに置換し、26位のリジンに脂肪酸を付加することで作用時間を長くし、1日1回の皮下注射でも有効血中濃度の維持を可能とした製剤です。

DPP-4

GLP-1とGIPの2つのホルモンがインクレチンとして機能することが確認されています。
GLP-1とGIPはタンパク分解酵素であるDPP-4によって速やかに分解され、失活します。

GLP-1は、小腸上部の細胞から分泌され、膵β細胞でのインスリン分泌を促進するとともに、膵β細胞でのグルカゴン分泌を抑制し肝臓での糖新生を抑制します。
胃では胃運動抑制作用、中枢では食欲抑制作用を示します。

インスリン

インスリンは、すい臓から出る体内ホルモンの一つで、血糖値を下げる働きをするほぼ唯一のホルモンです。
インスリンは、すい臓のランゲルハンス島という組織にあるβ細胞でつくられています。

食事によって血糖値が上がると、すい臓のβ細胞がこの動きをすばやくキャッチして、すぐにインスリンを分泌します。
血糖が全身の臓器にとどくと、インスリンの働きによって臓器は血糖をとり込んでエネルギーとして利用したり蓄えたり、さらにタンパク質の合成や細胞の増殖を促したりします。
こうして、食後に増加した血糖はインスリンによって速やかに処理され一定量に保たれます。

インスリンは、糖代謝ばかりでなく内因性血管作動物質として循環調節に関与している可能性が示唆されている。
インスリンの血管作用は複雑で、血管収縮性に働いて血圧上昇を起こす作用と血管拡張性に作用して降圧を生じる相反する作用が知られている。
インスリンの慢性効果として腎Na+の再吸収促進による体液量増加、中枢神経を介した交感神経活動増加による血中ノルアドレナリン、アドレナリン上昇、血管平滑筋細胞の増殖促進によって間接的に血管抵抗を増して血圧上昇を起こす。
一方、インスリンの急性効果として血管に対する直接作用である血管拡張作用があり、その機序としてNa+、K+‐ATPase活性亢進に基づく血管平滑筋膜の過分極、Ca2+‐ATPase活性増加による細胞外へのCa2+流出と細胞内Ca2+濃度の低下、βアドレナリン受容体を介する細胞内cyclicAMP濃度上昇の促進、血管内皮細胞における一酸化窒素の合成促進と遊離による血管弛緩が考えられている。
抵抗血管ではカルシトニン遺伝子関連ペプチド受容体を介した内皮非依存性の血管弛緩作用の機序もある。

本態性高血圧ではインスリン抵抗性とともに高インスリン血症がみられる。
インスリン抵抗性状態では、主に血管内皮細胞機能の低下とインスリンの血管弛緩作用の減弱が起こり、血管収縮系の亢進が加わって血圧上昇に寄与し、高血圧の進展に関与している可能性が示唆されている。

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