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フラジール膣錠を肛門に?
公開. 更新. 投稿者:抗菌薬/感染症.この記事は約4分35秒で読めます.
3,493 ビュー. カテゴリ:偽膜性腸炎とフラジール膣錠
膣坐剤を間違えて、坐薬のように使ってしまったという間違いではなく、意図的に肛門に挿入させるという使い方をする場合があります。
フラジール膣錠を肛門に挿入する。
偽膜性腸炎の適応外使用で、そのような使い方をする場合があるらしいです。
もちろん適応外です。
フラジール膣錠の適応はトリコモナス膣炎と細菌性腟症です。
保険を効かせようと思っても、男性ではムリですね。
下痢にフラジール?
抗菌剤の副作用に下痢があります。
薬の服用を中止すれば治る一過性の下痢なら問題ありません。
しかし、服用中止後も続いたり出血を伴う下痢には注意が必要です。
偽膜性腸炎とはクロストリジウム・ディフィシル(CD)という菌の毒素が原因。
CDトキシンとも呼ばれます。
CDは、健康成人の0~29.4%に常在する菌ですが、通常の状態では病原性はありません。
しかし、抗菌剤の投与によって腸内細菌叢で菌交代現象が生じると、異常増殖したCDが作り出す毒素が大腸粘膜の循環障害を招き、下痢を引き起こします。
CDは、ほとんどの抗菌剤に耐性を持つため、抗菌剤が投与され腸内細菌叢が変化すると、隙をついて増殖し、毒素を産生することがある。その毒素が激しい下痢を引き起こす。
発症は緩徐なことが多く、有病期間も数日から1ヶ月程度と長いです。
抗菌剤との中止とともに軽快する例が多いですが、重症例では死に至ることも。
治療にはCDに強い抗菌効果を示す塩酸バンコマイシンやフラジールが使われます。
適応症に「クロストリジウム・ディフィシル」とあるのは、内服薬だとフラジールとバンコマイシン塩酸塩です。
フラジールは欧米では偽膜性腸炎の第一選択薬となっています。
ダフクリア
2018年9月にクロストリジウム・ディフィシルによる偽膜性大腸炎に適応を持つ新薬ダフクリアが発売されました。
クロストリジウム・ディフィシル(clostridium difficile;C. difficile)は芽胞を有する嫌気性のグラム陽性桿菌で、2種類の外毒素(C. difficileトキシンAおよびC. difficileトキシンB)を産生し、これらの毒素産生株が腸内で増殖することで感染症(C. difficile感染症;CDI)を引き起こす。クロストリジウム・ディフィシル感染症の主要な発症要因は、高齢患者、背景疾患の重症度、長期入院などで抗菌薬の投与による正常な腸内細菌叢の乱れによる、クロストリジウム・ディフィシルの定着である。主な症状は、下痢、発熱、腹痛などがあり、偽膜性大腸炎、巨大結腸症を引き起こすこともある。また、場合によっては死に至る危険性も報告されている。CDIは再発しやすい疾患であり、特にクロストリジウム・ディフィシル感染症既往歴のある患者、高齢者、免疫不全患者、重症のクロストリジウム・ディフィシル感染症患者では再発リスクが高い。
クロストリジウム・ディフィシル感染症に対する治療薬としては、バンコマイシン内服製剤(バンコマイシン他)やメトロニダゾール内服製剤(フラジール)、内服ができない場合にメトロニダゾール注射製剤(アネメトロ)が臨床使用されている。しかし、近年、C. difficileに対するこれら薬剤に対する感受性の低下などが報告され、さらに、治療後に一定の割合で再発が認められることが課題となっていた。
ダフクリア(フィダキソマイシン)は、放線菌Dactylosporangium aurantiacumによって産生され、細菌RNAポリメラーゼ阻害作用を示す18員環のマクロライド骨格を有する新規の抗菌薬である。クロストリジウム・ディフィシルをはじめとする一部のグラム陽性菌に抗菌活性を示し、ほとんどのグラム陰性菌には抗菌活性を示さないなど抗菌スペクトルが狭く、消化管吸収もほとんどなく、腸管内のみで作用する特徴をもっている。特に、クロストリジウム・ディフィシルに抗菌的に作用するほか、芽胞形成や毒素産生を抑制する。
偽膜性大腸炎
クロストリジウム・ディフィシル(clostridium difficile;C. difficile)は芽胞を有する嫌気性のグラム陽性桿菌で、2種類の外毒素(C. difficileトキシンAおよびC. difficileトキシンB)を産生し、これらの毒素産生株が腸内で増殖することで感染症(C. difficile感染症;CDI)を引き起こす。クロストリジウム・ディフィシル感染症の主要な発症要因は、高齢患者、背景疾患の重症度、長期入院などで抗菌薬の投与による正常な腸内細菌叢の乱れによる、クロストリジウム・ディフィシルの定着である。主な症状は、下痢、発熱、腹痛などがあり、偽膜性大腸炎、巨大結腸症を引き起こすこともある。また、場合によっては死に至る危険性も報告されている。CDIは再発しやすい疾患であり、特にクロストリジウム・ディフィシル感染症既往歴のある患者、高齢者、免疫不全患者、重症のクロストリジウム・ディフィシル感染症患者では再発リスクが高い。
勉強ってつまらないなぁ。楽しみながら勉強できるクイズ形式の勉強法とかがあればなぁ。
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2 件のコメント
トリコモナス以外の菌にも使いますよ
コメントありがとうございます。
おっしゃる通りで、トリコモナス以外の菌にも使いますね。
ただ、保険上の効能効果は「トリコモナス腟炎」という縛りがあるので、建前上はトリコモナス以外には使えないということになっています。