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タシグナとスプリセルの違いは?
公開. 更新. 投稿者:血液/貧血/白血病.この記事は約3分58秒で読めます.
2,982 ビュー. カテゴリ:チロシンキナーゼインヒビター
スプリセルからタシグナに処方が変わった患者さんがいました。
これを機会に慢性骨髄性白血病の治療薬、グリベックとタシグナとスプリセルの違いについて勉強します。
あまり処方される頻度の少ないハイリスク薬は、勉強するきっかけが少ないので、実際に患者と接したときが勉強するタイミングであると思います。
グリベックは一般名イマチニブ。
スプリセルは一般名ダサチニブ。
タシグナは一般名ニロチニブ。
いずれもチロシンキナーゼインヒビターという薬効分類の慢性骨髄性白血病(CML)治療薬です。
さらに新しくボシュリフ、一般名ボスチニブという同じ薬効分類の薬も出ているようです。
慢性骨髄性白血病の薬と聞くと、高額というイメージですが、2015年1月現在の薬価はそれぞれ、
グリベック錠100mg=2617.4円
スプリセル錠20mg=4008.7円、スプリセル錠50mg=9477.5円
タシグナカプセル200mg=4738.8、タシグナカプセル150mg=3617円
ボシュリフ錠100mg=3791円
とまあ、予想通りの高さなわけです。
チロシンキナーゼインヒビターという分類の薬は、これらの薬以外にも、肺癌に使われるイレッサ(ゲフィチニブ)、アレセンサ(アレクチニブ)、ザーコリ(クリゾチニブ)、ジオトリフ(アファチニブ)、タルセバ(エルロチニブ)、腎臓がんなどに使われるスーテント(スニチニブ)、ネクサバール(ソラフェニブ)、乳がんに使われるタイケルブ(ラパチニブ)など様々ある。
ヒトのチロシンキナーゼは100種類以上あり、ターゲットとするチロシンキナーゼの種類によって効く癌に違いが出てくるようだ。
イレッサやタルセバは上皮成長因子受容体(EGFR)チロシンキナーゼ阻害剤。
白血病に使われるグリベック等はBcr-Ablチロシンキナーゼ阻害薬である。
CML治療薬を世代分類すると、グリベックが第一世代、スプリセルとタシグナが第二世代、ボシュリフが第三世代となるらしい。
どれを選択するか?
タシグナ、スプリセルの選択方法を知りたい がんサポート
まずボシュリフの適応は「前治療薬に抵抗性又は不耐容の慢性骨髄性白血病」なので、第一選択にはできない。
有効性に関しては、グリベック<スプリセル、タシグナなので、スプリセルかタシグナから選ぶ。
副作用としては、スプリセルは体液貯留(胸水)が多い。
タシグナは膵酵素異常による高血糖、膵炎などが多いようだ。
食事とタシグナ
用法を比較すると、
グリベックとボシュリフは、「1日1回食後」、スプリセルは「1日1回か2回」で食事に関する記載なし、
タシグナのみ「通常、成人にはニロチニブとして1回400mgを食事の1時間以上前又は食後2時間以降に1日2回、12時間毎を目安に経口投与する。」と空腹時の服用を求めており、ちょっと面倒。
タシグナを食後に飲んだ場合、空腹時に飲んだ場合と比べてどうか?
ニロチニブを通常食摂取30分後及び2時間後に投与したとき、Cmaxは空腹時に比べてそれぞれ1.55倍及び1.33倍に増加し、AUCは1.32倍及び1.19倍に増加した。また、高脂肪食摂取30分後に投与したとき、Cmax及びAUCは空腹時に比べてそれぞれ2.12倍及び1.82倍に増加した。
特に高脂肪食である場合には、2倍以上の血中濃度になる恐れがある。
しかし、食後服用で血中濃度が上昇するのはタシグナだけでなく、
ボシュリフは、「食後のCmax及びAUCは空腹時に比較してそれぞれ、1.5倍及び1.4倍であった。」
スプリセルも、「絶食時投与と比較して高脂肪食を摂取30分後に100mgを単回経口投与した時のAUCの平均値は,14%増加した。」とやや上昇する傾向はある。
グリベックについては、
「慢性骨髄性白血病患者に400mgを1日1回反復経口投与し、定常状態において高脂肪食と同時に服用した場合、空腹時服用と比較してCmax及びAUC0-24は減少したが、それぞれ11%及び7%の低下であり、臨床的に問題にならないと考えられた。」
とあり、食事の影響は少なさそうだ。
勉強ってつまらないなぁ。楽しみながら勉強できるクイズ形式の勉強法とかがあればなぁ。
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