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アコファイドを使うには胃カメラが必須?
公開. 更新. 投稿者:消化性潰瘍/逆流性食道炎.この記事は約3分29秒で読めます.
10,767 ビュー. カテゴリ:アコファイドの処方
機能性ディスペプシアの適応を持つ初の治療薬として脚光を浴びたアコファイドでしたが、イマイチ処方されている気配がない。
なんでかなーと思っていましたが、先日「疑義解釈資料の送付について」を眺めていたらわかりました。
(問5)平成25年5月24日付保医発0524第4号「使用薬剤の薬価(薬価基準)等の一部改正について」の(2)アコファイド錠100mgにおいて、「上部消化管内視鏡等の実施年月日を摘要欄に記入すること」とあるが、実施月以降も毎回摘要欄に過去の実施年月日を記入する必要があるのか。
疑義解釈資料の送付について(その10)
(答)上部消化管内視鏡等の実施月のみの記載で差し支えない。ただし、本剤の初回投与に当たっては必ず記載が必要である。疑義解釈資料の送付について(その10)
アコファイドの処方にそんな条件が付いていたとはつゆ知らず。
原因はわからないけど、とりあえず問診だけして処方、みたいなことはできない。
胃カメラのある施設以外では処方できないわけだ。
別の医療機関でアコファイドが処方されていた患者さんが、薬が足りなくなったから、かかりつけの医者に頼んでアコファイドを処方してもらう、みたいな「お願い」も軽々しく受けてはいけないわけだ。
これじゃあ「機能性ディスペプシア」じゃなくて「慢性胃炎」にしておいたほうが良かったんじゃないかと。
添付文書には「上部消化管内視鏡検査等により,胃癌等の悪性疾患を含む器質的疾患を除外すること。」と書かれているので、薬局では「胃カメラはしましたか?」くらいは聞かないとダメだろうけど。
病院側のレセプトも奥が深いな。
アコファイドは胃の痛みには効かない?
アコファイド(アコチアミド)では、FD(機能性胃腸症)の症状のうち、心窩部痛や心窩部灼熱感に対する有効性は確認されていない。
胃を「動かす」作用により食べたものを効率良く送り出す運動機能改善薬なので、効果は胃もたれ感や早期飽満感といった「食後愁訴症候群(PDS)」を特徴づける症状に限られる。
アコファイドの適応症
アコファイドの適応症は、
「機能性ディスペプシアにおける食後膨満感,上腹部膨満感,早期満腹感」
となっている。
使用上の注意に、
「機能性ディスペプシアにおける心窩部の疼痛や灼熱感に対する有効性は確認されていない。」
とも書かれている。
この「機能性ディスペプシアにおける食後膨満感,上腹部膨満感,早期満腹感」のことを「食後愁訴症候群(PDS)」といい、
「機能性ディスペプシアにおける心窩部の疼痛や灼熱感」のことを「心窩部痛症候群(EPS)」という。
PDSとEPS
FDは症状により、大きく2つのタイプに分けられる。
1つは、食後の胃もたれや早期飽満感(すぐ満腹になったように感じる)など食事に関連して症状が出るタイプで、「食後愁訴症候群(PDS)」と呼ばれれる。
もう1つは、食事とは関係なく、心窩部(みぞおち)に痛みや灼熱感があるタイプで、「心窩部痛症候群(EPS)」と呼ばれる。
FDの症状は患者によって非常に多様で、PDSとEPSを合併することも少なくない。
FDの原因は明らかではないが、1.胃の運動障害(胃の排出能低下、胃の上部の拡張異常(適応性弛緩障害))、2.胃酸分泌過剰、3.ヘリコバクター・ピロリ感染に伴う胃粘膜の慢性炎症、4.胃や十二指腸の知覚過敏、5.心理的要因、などの関与が指摘されている。
胃もたれ
食べたものをきちんと送る、という胃の運動は、正常な身体の機能として当たり前のものなのですが、それだけに、健常時には意識せずにいる。
通常は、食物が胃の中に入ると、胃の上部が弛緩して食物が貯留され(適応性弛緩)、その後、蠕動運動により食物が少量ずつ胃の下部に降り、十二指腸に排出される。
しかし、胃に運動障害がある患者では、食物が胃に入っても正常に弛緩しないため、すぐに飽満感を感じる。
また、胃に食物をためられず、すぐに十二指腸に排出されることで、十二指腸が胃に働きかけて食物の排出を遅らせ、食後のもたれ感が出ることが分かっている。
機能性胃腸症にはプラセボでも効く?
アコファイドの比較試験ではプラセボ群に割り付けられた被験者でも、症状の改善が3割程度に認められたという。
機能性胃腸症患者で見られるアセチルコリンの分泌低下に、心理的なストレスが与える影響が大きいということだろう。
アコファイドで胃酸分泌亢進?
アコファイドがM3受容体を活性化する作用は、胃の運動だけでなく胃酸の分泌も盛んにする。
ただし、ラットを用いた試験では、大量投与でも一時的に胃酸分泌促進が認められるのみだった。
FD(機能性胃腸症)治療を目的とした用量では、持続的な胃酸分泌促進作用はないと考えて良さそう。
参考書籍:日経DI2014.8、日経DI2013.7
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