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入院患者の処方せんはあり得ない?
公開. 更新. 投稿者:調剤/調剤過誤.この記事は約7分35秒で読めます.
8,033 ビュー. カテゴリ:入院患者の処方せんはあり得ない?
たまに、入院中の患者に処方せんが発行されることがあります。
備考欄にその旨のコメントが記載されている。
基本的に入院患者は調剤も含めてすべての医療行為を医療機関に委託していると考えられるので、入院患者の処方せんはあり得ないと考えられている。
ただし、入院中の患者の他医療機関への受診については、当該入院医療機関にて診療を行うことができない専門的な診療が必要となった場合等のやむを得ない場合に限り認められているという。
その他医療機関からの処方箋が発行される場合がある。
対診
「入院中に他の病院にかかる」
普通に考えると不思議ですが、実際にはそのようなこともあるようです。
例えば、精神病院に通院している患者さんが、他の病気で入院することになって、その病院には精神科が無いため、いつもの精神病院で薬をもらう。
しかし本人は入院中なので、家族が代わりに病院に行きます。
このようなこともありますが、保険請求上は認められていません。
医者が病院に出向いて往診するような格好だと認められているようです。
「対診」と言います。
なので、保険請求上は、医者が往診したことにして請求するため、診察料等は請求できますが、そのほかの料金(薬代)などは入院中の病院が負担することになります。
入院中の処方箋に関するQ&A
Q:出来高入院料を算定する病床に入院中の患者について、入院医療機関において行うことができない専門的な診療が必要となり、他医療機関を受診した際に、投薬を行った場合には、その費用はどのように取り扱うのか。
疑義解釈資料の送付について(その4)
A:他医療機関において、専門的な診療に特有な薬剤を用いた投薬に係る費用(調剤料、薬剤料、処方料又は処方箋料等)を算定できる。また、薬局にて調剤した場合には、当該薬局において調剤に係る費用を算定できる。
※出来高入院料を算定する病床とは、DPC算定病床以外の病床であって、療養病棟入院基本料、有床診療所療養病床入院基本料及び特定入院基本料を除く入院基本料を算定する病床をいう。
「出来高入院料を算定する病床に入院している患者」なのか「DPC算定病棟に入院している患者」なのかで取り扱いは異なりますが、後者の場合は病院に請求しないといけないので、勝手に処方箋を発行してくることは無いだろう。薬局に相談の電話が事前にくるものと思われる。
Q:入院中の患者が他医療機関を受診する場合、入院医療機関、他医療機関、薬局間での処方内容等の情報共有は、どのように行うのか。
疑義解釈資料の送付について(その4)
A:他医療機関において院内処方を行う場合には、他医療機関が入院医療機関に対して処方内容を情報提供する。
また、他医療機関が処方箋を交付する場合には、処方箋の備考欄に、①入院中の患者である旨、②入院医療機関の名称、③出来高入院料を算定している患者であるか否かについて記載して交付することとし、当該処方箋に基づき調剤を行った薬局は、調剤内容について入院医療機関に情報提供する。
Q:入院中の患者(DPC算定病棟に入院している患者を除く。)について、入院医療機関において行うことができない専門的な診療のため他医療機関の受診が必要となり、当該他医療機関から交付された処方箋に基づき薬局において調剤した場合、調剤報酬の算定等は具体的にどのように行うのか。
疑義解釈資料の送付について(その5)
A: 当該薬局において、調剤基本料(加算を含む。)及び調剤情報提供料(算定要件を満たす場合に限る。)を算定することができる。ただし、当該患者が出来高入院料を算定する病床に入院している患者である場合には、これらの費用のほか、調剤料(加算を含む。)、薬剤料及び特定保険医療材料料についても算定することができる(調剤情報提供料以外の薬学管理料については、算定することはできない)。
算定に当たっては、調剤報酬明細書の摘要欄に、①入院中の患者である旨、②入院医療機関の名称、③出来高入院料を算定している患者であるか否かにつ いて記載すること。また、調剤内容(医薬品名、規格単位、用法・用量、調剤数量(投薬日数、調剤回数等)等)について、入院医療機関に情報提供すること。
※ 出来高入院料を算定する病床とは、DPC算定病床以外の病床であって、療養病棟入院基本料、有床診療所療養病床入院基本料及び特定入院基本料を除く入院基本料を算定する病床をいう。
※ 当該他医療機関が交付した処方箋の備考欄には、①入院中の患者である旨、②入院医療機関の名称、③出来高入院料を算定している患者であるか否 かについて記載されている(平成22年6月4日厚生労働省保険局医療課事務連絡「疑義解釈資料の送付について(その4)」の問2参照)。
薬学管理料は算定できないので、薬剤服用歴管理指導料は算定できない。
Q:入院中の患者(DPC算定病棟に入院している患者に限る。)について、入院医療機関において行うことができない専門的な診療のため他医療機関の受診が必要となり、当該他医療機関から交付された処方箋に基づき薬局において調剤した場合、調剤報酬の算定等は具体的にどのように行うのか。
疑義解釈資料の送付について(その5)
A: 当該薬局における調剤に係る費用は、入院医療機関が行った調剤に係る費用と同様の取扱いとし、入院医療機関において算定することとなるため、この場合の入院医療機関と当該薬局との間での診療報酬の分配は、相互の合議により行うこと。
また、調剤内容(医薬品名、規格単位、用法・用量、調剤数量(投薬日数、調剤回数等)等)について、入院医療機関に情報提供すること。
Q:DPC算定病棟に入院中の患者に対し他医療機関での診療が必要となり、当該入院中の患者が他医療機関を受診した場合(当該入院医療機関にて診療を行うことができない専門的な診療が必要となった場合等のやむを得ない場合に限る。)の他医療機関において実施された診療にかかる費用は、入院医療機関の保険医が実施した診療の費用と同様の取扱いとし、入院医療機関において請求し、この場合の医療機関間での診療報酬の分配は、相互の合議に委ねるものとされているが、当該分配により他医療機関が得た収入には消費税は課税されるか。
疑義解釈資料の送付について(その8)
A:(答)健康保険法等の規定に基づく療養の給付等は、消費税が非課税となる
(消費税法第6条)。
質問のケースの場合、他医療機関が行う診療にあっては、社会保険診療であるから、当該療養の給付に係る診療報酬は入院医療機関との合議で受け取ったものについても消費税が非課税となる。(当該合議により得る収入については、診療報酬に照らして妥当であればよく、必ずしも 他医療機関が行った診療に係る診療報酬と同額である必要はない。)
入院中の患者に対して処方せんを交付することはできないのか?
Q.入院中の患者の外来受診について教えてください。患者の代理として家族の方が当薬局に処方せんを持参されました。確認したところ、患者本人は別の病院に入院中だそうで、処方せんを発行した医療機関の医師にも話をしてあるとのことです。このような処方せんは、どのように取り扱えばよいのでしょうか。
A.その患者が入院している病院の病床が出来高入院料を算定しているか否かにより、その処方せんに係る費用の請求方法が異なります。
基本的に、入院中の患者に対して処方せんを交付することはできません。
入院患者に対して処方せんを交付することはできません。
入院患者に対し、入院している保険医療機関以外での診療の必要が生じた場合には、他の医療機関へ転医または対診を求めることが原則とされていますが、入院医療機関で診療できない専門的な診療が必要な場合など、やむを得ないケースに限り、他医療機関を受診することが認められています。
そのような理由から入院患者が他医療機関を受診して処方せんが交付された際に、それが出来高入院料を算定する病床に入院している患者である場合は、通常の処方せんと同じように、審査支払機関を介して調剤レセプトにより保険請求することができます。
ただし、出来高入院料であっても、療養病床入院基本料、有床診療所療養病床入院基本料、特定入院基本料のいずれかを算定している場合とそれ以外では、算定できる調剤報酬点数の内容が若干異なりますので注意してください。
一方、DPC算定病棟に入院している患者の処方せんである場合は、入院医療機関との合議による精算が必要です。
調剤レセプトによる保険請求はできません。
また、出来高入院料を算定する病床の入院患者であるか否かについては、他医療機関を受診した際に交付される処方せんで確認することができます。
具体的には、処方せんの「備考」欄に、①入院中の患者である旨、②入院医療機関の名称、③出来高入院料を算定している患者であるか否か、の情報が記載されることになっていますので、それらが記載されていなければ、処方せんを交付した保険医療機関に確認することが必要です。
そして、調剤を行った保険薬局においては、調剤内容を入院医療機関に情報提供するとともに(服薬情報提供料を算定できます)、調剤レセプトにより保険請求する場合には、レセプトの「摘要」欄に前述の①~③の内容を記載(転記)しなければなりませんので、忘れないように注意しましょう。
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