2024年11月20日更新.2,474記事.

調剤薬局で働く薬剤師のブログ。薬や医療の情報をわかりやすく伝えたいなと。あと、自分の勉強のため。日々の気になったニュース、勉強した内容の備忘録。

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アルドステロン・ブレークスルーとは?

アルドステロンブレイクスルー

アルドステロンブレイクスルーという現象があります。

アルドステロンブレイクスルーは、長期間(6ヶ月以上)ACE阻害薬やARBなどのRAA系を抑制する薬剤を投与し、いったん低下していた血漿アルドステロン濃度が再び上昇し始める現象です。

高血圧になることはありませんが、心肥大、蛋白尿など臓器障害が進展しやすくなると言われています。

原因としてAⅡはACE以外の経路で産生されるため、AⅡが増加してアルドステロンも増加することと考えられています。

アルドステロン・エスケープとアルドステロン・ブレークスルーは違う?

同じ意味だと思ってた言葉。

アルドステロン・エスケープとアルドステロン・ブレークスルー。

アルドステロン・ブレイクスルー

 本態性高血圧症患者にACE阻害薬を長期間使用したところ、血漿アルドステロン濃度は一旦低下するものの次第に上昇し、半年から1年後には服用前の値よりも高値になる現象

 ただしアルドステロン・エスケープという言葉は、内分泌領域ではアルドステロンの腎ナトリウム貯留作用の減弱という意味で用いられるため、ACE阻害薬などの使用時にアルドステロンが再上昇する現象は、アルドステロン・ブレイクスルーと呼び、区別するようになっています。

 この現象は、ACE阻害薬だけにみられる現象ではなく、アンジオテンシン受容体拮抗薬(ARB)でもみられます。

薬学用語辞典

昔はアルドステロン・エスケープって言ってた。

アンジオテンシンⅠからアンジオテンシンⅡへの変換酵素はACE(アンジオテンシン変換酵素)阻害薬だけじゃなく、キマーゼを介した経路も存在する。
ACEを阻害してもキマーゼがアンジオテンシンⅡを作るので、十分な効果が発揮できないと。

じゃあ、ARB使えば解決、ってわけにもいかなくてARBでもアルドステロン・ブレイクスルーが起こる。
ATⅠ受容体をブロックすると、ATⅡ受容体が活性化される。
ARBでは20~30%の割合でアルドステロン・ブレイクスルー現象が起きてくるという。

また、レニン・アンジオテンシン系を阻害すると、レニンの産生量が上がってくる。
そのため直接レニンの産生を阻害するような、直接的レニン阻害薬(ラジレス)を使えば解決するのかも知れないと期待はされましたが、副作用、相互作用、一包化などの面からも使いにくい薬剤なので、処方量も少ないので、評価できない。

アルドステロンの産生経路を遮断しようとしても、どこかで代償的に産生されるのでイタチごっこ。
ならば、産生されたアルドステロンが働かないように、受容体をブロックすればいいんじゃないかということで、アルドステロン受容体を阻害する選択的アルドステロンブロッカーのセララを使ってくださいというファイザーの話。

メモリアル効果とは?

高血圧発症の初期にARB製剤を投与すると、投与を中止しても血圧は正常な状態が維持されるという「メモリアル効果」があることが注目され、現在、ヒトでの臨床試験が開始されている。
ARBをメタボリックドミノ予防薬といった位置づけに変化させるかもしれず、興味が持たれている。

降圧剤の効かない高血圧は原発性アルドステロン症?

原発性アルドステロン症とは、副腎の腫瘍や過形成により、アルドステロンが過剰に分泌される疾患である。

アルドステロンが過剰に分泌されると、体内にナトリウムがより多く貯留し、高血圧を来す。

同時に、カリウムの排泄が促進されることで、低カリウム血症や血中のHCO3増加による代謝性アルカローシスのリスクが高まる。

アルドステロンそのものによる臓器障害(脳出血、脳梗塞、心筋梗塞、心肥大、不整脈、腎不全など)が引き起こされることもある。

原発性アルドステロン症は、検査技術の進歩で比較的容易に診断できるようになり、最近では高血圧患者の約5~20%を占めることが分かってきた。

治療抵抗性の高血圧(降圧薬を3種類以上使ってもコントロールができない)の25%が、本疾患との報告もある。

高血圧の犯人はアンジオテンシン?

アンジオテンシンは、昇圧作用を持つ生理活性物質です。

アンジオテンシノーゲンからレニンの作用によってアンジオテンシンI が作り出され、これがアンジオテンシン変換酵素、キマーゼ、カテプシンGの働きによってアンジオテンシンII に変換されます。

ただし、アンジオテンシンI は昇圧作用を有しません。

アンジオテンシンII は副腎皮質にある受容体に結合すると、副腎皮質からのアルドステロンの合成・分泌が促進されます。

このアルドステロンの働きによって、腎集合管での再吸収を促進し、これによって体液量が増加する事により、昇圧作用をもたらすというメカニズムです。

薬剤師

勉強ってつまらないなぁ。楽しみながら勉強できるクイズ形式の勉強法とかがあればなぁ。

先生

そんな薬剤師には、m3.com(エムスリードットコム)の、薬剤師のための「学べる医療クイズ」がおすすめ。

1 件のコメント

  • 麻生教子(アソウノリコ) のコメント
         

    アルドステロン症で血圧が高く、180ー120くらいあり、今はアジルバと言う降圧剤を服用中ですが、
    この薬は効きますか?
    (半年前に心筋梗塞になり、ステント入れました)

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