記事
ディレグラは危険?
公開. 更新. 投稿者:花粉症/アレルギー.この記事は約4分53秒で読めます.
4,804 ビュー. カテゴリ:塩酸プソイドエフェドリン
ディレグラはフェキソフェナジン(アレグラ)と塩酸プソイドエフェドリンの合剤。
プソイドエフェドリンが入ってる分、鼻づまりに効く。
プソイドエフェドリンといえば、フェニルプロパノールアミン(PPA)の代替薬として普及した成分です。
PPAは脳卒中の発生リスクが報告されたため、日本では2003年に厚生労働省によって、PPAの代替としてプソイドエフェドリンへの速やかな切り替えが勧告されました。
ダン・リッチというPPA配合の鼻炎薬が以前は汎用されていました。
プソイドエフェドリン はエフェドリンの立体異性体であり、作用はエフェドリンとほぼ同じですが、昇圧作用も中枢作用もエフェドリンよりもやや弱いとされています。
つまり、プソイドエフェドリンはエフェドリン(アドレナリン)と同じような働きで、血管を収縮し鼻炎に効く薬であり、少ないとはいえ連用によるリスクは生じます。
メチルエフェドリンが配合されている医療用薬も、フスコデなどがありますが、連用するような薬ではありません。
ディレグラも基本的には、連用するような使用法は慎むべきで、症状悪化時のみの使用に止めるべきでしょう。
アレグラはトリルダンの改良品?
眠気の少ない花粉症治療薬として、トリルダンという薬が以前販売されていました。
しかし、その副作用に不整脈があり、死亡例も出たため現在は販売中止となっています。
アレグラは、トリルダンを改良したもので、不整脈の副作用は無く、眠気が少ないというメリットを残した薬です。
アレグラは、もともと、トリルダンが肝臓で代謝を受け、カルボキシル基ができることで生じる物質として見つかりました。
肝臓がトリルダンの毒性を無くすことを応用したのですね。
ディレグラ錠はなぜ大きいのか?
先日初めてディレグラ錠の処方をみた。
急配で頼んで実物を見たら大きい。
長径17.5mm、短径7.8mmだそうだ。
アレグラ錠と比べてみても、異常に大きい。
バルトレックス錠並み。バルトレックスは長径:18.5mm、短径:7.3mm。
しかも1回2錠。
プソイドエフェドリンが入っているだけでこんなに大きくなるのかと疑問に思っていたら、疑問の答えが。
過去にPSE含有OTCの大量購入による覚せい剤密造事件も発生しているように、PSEは覚せい剤の原料となります。
ディレグラ配合錠 – 薬剤師の脳みそ
PSEの含有量が10%を越すと覚せい剤原料となってしまうため、1回2錠で、さらに大きな形となっています。
なるほど。
エフピー錠みたいな扱いになったら面倒ですから。
1錠中プソイドエフェドリンが60mg入っているわけだから、添加物を含めて600mgにはしないといけないわけだな。
重量588mgだそうだ。
10%越えているような。
と思ったら、プソイドエフェドリン塩酸塩として60mgなので、プソイドエフェドリンとしては49mgで、10%以下となりセーフ。
ディレグラは空腹時に飲まなきゃダメ?
ディレグラの用法は、
通常、成人及び12歳以上の小児には1回2錠(フェキソフェナジン塩酸塩として60mg及び塩酸プソイドエフェドリンとして120mg)を1日2回、朝及び夕の空腹時に経口投与する。
空腹時投与となっている。
実際の処方を見たことはないのですが、「1日2回 朝・夕の空腹時」という処方なのだろうか。
「1日2回朝夕食前」ではダメなのだろうか。
ディレグラの臨床試験では、食事による血漿中フェキソフェナジンの最高血中濃度到達時間(Tmax)の延長および最高血中濃度(Cmax)の低下が認められている。
従って、ディレグラは空腹時に服用するよう、指導する必要があるという。
じゃあ、アレグラも本当は食後に飲まないほうがいいのか、と思い添付文書の「食事の影響」を読んでみると、
健康成人男子22例にクロスオーバー法で、空腹時及び食後(高脂肪食)にフェキソフェナジン塩酸塩錠120mgを単回経口投与したとき、空腹時に比べ食後投与時のAUC0-∞及びCmaxはそれぞれ15%及び14%減少した。日本人においても、クロスオーバー法による検討ではないが、フェキソフェナジン塩酸塩円形錠を食後投与したときのAUC0-∞及びCmaxから外国人と同様の食事の影響が推察された。
とのことなので、アレグラも空腹時のほうが良いんだろうな。
でも、アレグラではAUC15%低下程度ですが、ディレグラでは、
日本人健康成人男子にディレグラ配合錠2錠を単回経口投与したとき、絶食時に対する食後投与時の血漿中プソイドエフェドリンのCmax及びAUC0-72の幾何平均比の90%両側信頼区間はそれぞれ0.96~1.10及び0.90~1.00であったのに対し、血漿中フェキソフェナジンではそれぞれ0.29~0.43及び0.33~0.43であった。
とまあ、70%も低下しているわけで、メーカーに問い合わせてもよくわからないらしい。
ところで、空腹時ってのは食間というイメージに似ていますが、食後2時間ということだろうか。
食前でも良いようですが、食前というと食事の30分前。
できれば1時間前くらいのほうが良いのかも知れませんが。
朝の忙しい時間で食事の1時間前に服用ってのも厳しいかと思われ、かといって食事の2時間後なんて仕事の真っ最中だし、食前30分ってのが頃合いとしては一番よさげ。
勉強ってつまらないなぁ。楽しみながら勉強できるクイズ形式の勉強法とかがあればなぁ。
そんな薬剤師には、m3.com(エムスリードットコム)の、薬剤師のための「学べる医療クイズ」がおすすめ。