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眠くならない抗アレルギー薬は?
公開. 更新. 投稿者:花粉症/アレルギー.この記事は約4分20秒で読めます.
4,622 ビュー. カテゴリ:抗ヒスタミン薬の眠気
花粉症に使うアレルギーの薬、メインは抗ヒスタミン薬というタイプの薬で、ヒスタミン受容体に作用することで、ヒスタミンがヒスタミン受容体に結合して起こる「知覚神経を介した反応」「血管拡張」「血管透過性亢進」等によって生じる「かゆみ」「くしゃみ」「鼻水」「鼻づまり」などのアレルギー反応を起こさなくします。
ヒスタミンは脳内にも存在しており、脳内では「覚醒状態の維持」「集中力の維持」「摂食行動の抑制」「ストレスの調整」などに寄与しています。
脳内のヒスタミンは活動期(日中)に大量生産され、集中力・判断力・作業能率の向上に働きますが、非活動期(睡眠時など)には生産が少なくなり、ヒスタミンの作用が抑えられて眠気・集中力低下などのパフォーマンスの低下が引き起こされます。
抗ヒスタミン薬が脳内に移行すると、ヒスタミンがヒスタミン受容体に結合するのを阻害してしまうため、活動期におけるヒスタミンの働きが抑制されて「眠気」「集中力低下」「作業能率低下」などの鎮静作用をきたしてしまいます。
眠気の少ない抗ヒスタミン薬
つまり、脳内に移行しにくい抗ヒスタミン薬であれば、眠気は起きにくい。
脳細胞と脳の血管の間には、脳血液関門というバリアがあって、血液から脳内へは薬が入りにくくなっています。しかし、抗ヒスタミン薬は、このバリアをくぐり抜ける性質をもっているので、脳内に入りやすく、眠気が生じやすくなっています。
アレグラは、脳血液関門を通過しにくい構造を持っています。その秘密は、アレグラの構造式の中にある-COOH(カルボキシル基)という構造にあります。脳血液関門は水に溶けやすい化合物を通しにくいという性質を持っています。一方、カルボキシル基は、化合物に水に溶けやすくする性質を与えることができます。このため、アレグラは脳血液関門をとおりにくく、脳内に入ることができないのです。
アレグラならお酒を飲んでも大丈夫?
抗アレルギー薬は中枢神経を抑制するので、お酒との併用によって副作用が強くなる危険性があります。
そのため、お酒とはいっしょに飲まないほうがいいでしょう。
以前、アレグラを処方されている患者さんが、「この薬ならお酒飲んでも大丈夫」と医者が言っていたという話を聞かされました。
確かに、アレグラやクラリチンは眠気が少ないし、中枢移行性も少ないので大丈夫なのかな、と思います。
添付文書でも特に併用注意とはなっていないし。
仕事で飲まなければならない席、というのもあるし、絶対にダメ、とは言いませんが、影響が無いかと聞かれると、影響はあると思います。
眠くなった方がいい?
近頃は、眠気の少ない抗アレルギー薬が多く出回っているが、一部の患者からは「眠気のおかげでかゆみを忘れることができる」という意見もある。
眠くならない理由
ヒスタミン受容体には、H1~H4までの4種類のサブタイプが知られており、主としてH1がアレルギー反応に、H2は胃酸分泌促進作用および心機能調節作用に関与していることが有名です。
また、H3は中枢神経に発現しシグナル伝達を行っており、H4はマスト細胞や好酸球に存在し、免疫細胞の遊走に関与していることが知られています。
抗H1薬はH1受容体に結合してシグナル伝達を遮断し、ヒスタミンによる平滑筋収縮、毛細血管亢進による浮腫、知覚神経末端刺激によるかゆみなどの発現を抑えます。
第一世代抗H1薬で問題となった副作用は、薬物が脳へ移行し、中枢神経系のH1受容体を遮断することによって引き起こされると考えられる鎮静作用でした。
つまり、薬物分子が脳へ移行しなければ鎮静作用は発現しないことから、脳へ移行しにくくするドラッグデザインが施されました。
まず、脳へ移行する際に通過することが必要な「血液-脳関門(BBB)」は、分子量が大きく脂溶性が低いものを通過させにくいため、第二世代では、分子量を大きくし脂溶性を低下させて、脳への移行性を低下させました。
更に、脳には種々の薬物分子のような生体異物を脳外へ排出する機能をもつP糖タンパク質が多く発現しており、このP糖タンパク質に認識されやすい分子構造を採用することによって脳移行性を低下させている薬物分子もあります。
カルボキシル基をもつ薬剤は、極性の高い双性イオンとなるため脳へ移行しにくく、特にフェキソフェナジンは非鎮静性抗ヒスタミン薬と呼ばれています。
また、第二世代抗H1薬は、第一世代薬の欠点である抗コリン作用や中枢抑制作用を弱くした低鎮静性の薬剤ですが、同時にアレルギーに関与するケミカルメディエーターの遊離抑制作用も有しており、抗アレルギー薬に分類されています。
抗H1薬による鎮静作用は、薬物の脳内の濃度とH1受容体に対する親和性の高さによって決まります。
薬物の脳内への移行性を評価するためには、単に薬剤間での脳内濃度を比較するのではなく、脳内濃度/血中濃度の比を比較することが有効です。
そのうえで各薬剤のH1受容体への親和性も考慮すべきです。
しかし最終的には、臨床の場で充分な薬効を示す投与量での鎮静作用を比較することが、最も直接的な評価と言えるでしょう。
H2ブロッカーによる中枢神経系副作用
ガスターなどのH2ブロッカーは中枢神経系に作用し、精神神経系の副作用を起こす可能性があるらしい。
H2受容体は大脳皮質の大部分、線条体の被殻・中隔側坐核、海馬に多く存在しており、大脳皮質は視覚、聴覚、海馬は短期記憶に関与していることから、H2受容体の遮断が幻視・幻覚・時と場所に対する失見当識、せん妄などを主な症状とする精神錯乱に関与している可能性が高いと指摘されている。
しかし、ファモチジンによる精神神経症状の発現機序について、明らかでない部分が多い。
腎機能低下がみられない高齢者においても、ファモチジンによるせん妄発現症例が報告されています。
高齢者に対するH2受容体拮抗薬の投与は、副作用である精神神経症状の発現を考慮した上で、必要な症例に限られるべきとしています。
勉強ってつまらないなぁ。楽しみながら勉強できるクイズ形式の勉強法とかがあればなぁ。
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