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花粉症と喘息の関係
公開. 更新. 投稿者:喘息/COPD/喫煙.この記事は約3分20秒で読めます.
1,389 ビュー. カテゴリ:鼻炎と咳
アレルギー性鼻炎による咳嗽は比較的多いです。
水様鼻汁を伴ったり、吸入ステロイドが無効である場合、アレルギー性鼻炎による咳嗽を考慮します。
花粉症シーズンにのどが痛くなる、みたいな人もいますね。
花粉症が喘息を引き起こす?
花粉抗原の直径は20~30μmであり、より粒径が小さなハウスダストやダニとは違って、吸気とともに吸入された花粉は鼻粘膜で吸着される。
このため、下気道まで到達して気管支喘息を引き起こす頻度は少ないと考えられている。しかし、鼻水がのどを伝って気管支のほうへ落ち、炎症を引き起こすことは考えられる。
鼻粘膜で捕捉された花粉粒子からは抗原が溶出する。
その抗原が肥満細胞表面のIgE抗体に結合すると抗原抗体反応が生じ、肥満細胞からヒスタミンやロイコトリエンなどの化学伝達物質が放出される。
そして、これらの化学伝達物質が鼻粘膜を刺激することにより、鼻粘膜の過敏性が増幅され、くしゃみや鼻水、鼻閉などの症状が起こるのである(即時相反応)。
一方、抗原曝露後、鼻粘膜にはさまざまな炎症細胞が浸潤してくるため、アレルギー炎症が進行すると同時に鼻粘膜の反応性も亢進する。
特に、好酸球が産生するペプチドロイコトリエンによって鼻粘膜が腫脹し、鼻閉症状などが慢性化する(遅発相反応)。
飛散する花粉量が多いと、鼻粘膜に吸着し溶出する抗原の量も増え、抗原は鼻粘膜上皮の線毛運動により咽頭粘膜にまで運ばれる。
咽頭粘膜でもアレルギー反応は起こるので、咽頭の掻痒感や空咳などの症状も出現する。
花粉は気道に到達するか
花粉の飛散時期に喘息が悪化する原因として、様々な機序が考えられている。
中でも近年、スギ花粉の表面に付着している微粒子(オービクル)が剥がれて下気道に侵入し、喘息を誘発するという機序が注目されている。
スギ花粉は直径約30μmと大きいため、大半は吸入しても上気道で捕捉される。
そのため、スギ花粉そのものは末梢起動には到達しにくいが、オービクルは直径約1~数μmと極めて小さいため、下気道に到達し得ると考えられている。
このほか、間接的な要因として、鼻閉によって口呼吸となるため、花粉のほかダニなどの環境抗原が下気道に侵入しやすくなると考えられている。
さらに、鼻局所でのアレルギー性の炎症により、ケミカルメディエーターが産生・放出され、その一部が下気道に到達して気流制限を引き起こすこと、スギ花粉への曝露に伴い全身性サイトカインの産生が亢進し、血流を介して気道への好酸球浸潤を増強すること、なども示唆されている。
ワンエアウェイ、ワンディジーズ
空気は鼻・口から気道を通って肺に到達する。 この通り道の粘膜におけるアレルギー性炎症を1つの疾患とみる。
つまり、アレルギー性鼻炎もアレルギー性気管支喘息も同じ気道の疾患としてとらえ、診断・治療を行う概念。 アレルギー性鼻炎患者は健常人に比し、喘息へ3倍程度移行しやすいという報告がある。
また、鼻炎があるだけで、鼻炎のないアレルギー患者より喘息への移行率が高いという最近の報告は、アレルギー性鼻炎をアレルギーという枠を超えた、炎症性疾患としてとらえるべきことを示唆している。
鼻炎を単なる上気道の一部の炎症とみるのではなく、one airway one disease という概念でとらえる。 すなわちアレルギー性鼻炎は、末梢気道まで広がる炎症性疾患の初期の病態であると言えるため、診断・治療も1つの炎症性疾患への対応として考えるべきである。
アレルギー性鼻炎
ハウスダストやダニによる通年性アレルギー性鼻炎と、スギなどの花粉による季節性アレルギー性鼻炎(花粉症)に分けられる。
・くしゃみ発作、水様性鼻漏、鼻閉を三主徴とする。
・アレルギー性鼻炎では、発作性反復性のくしゃみ、水様性鼻漏(さらさらした水のような鼻汁が出ること)、鼻閉(鼻づまり)が三主徴となっている。
・通年性アレルギー性鼻炎では気管支喘息、花粉症ではアレルギー性結膜炎を合併することが多い。
【アレルギー性鼻炎と花粉症】
・アレルギー性鼻炎は通年性と季節性の2つに分類できる。通年性のものはハウスダスト、季節性のもの(花粉症)は花粉がアレルゲンの中心となっている。
・通年性と季節性では好発年齢と合併しやすい疾患が異なる。
・本州以南ではスギ、ヒノキ花粉症(春)が最多で、次いでキク科花粉症(秋)が多いが、北海道ではスギ花粉が飛散しないためシラカバ花粉によるものが多い。
・アレルギー性鼻炎はⅠ型アレルギーのメカニズムによって発症する。
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