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ヤーズは危険?ドロスピレンの血栓リスク
公開. 更新. 投稿者:月経/子宮内膜症.この記事は約5分4秒で読めます.
3,203 ビュー. カテゴリ:ヤーズで血栓症
生理痛ピル、ヤーズ配合錠で3人死亡 厚労省が注意喚起:朝日新聞デジタル
厚生労働省は17日、重い生理痛の治療薬として処方される低用量ピル「ヤーズ配合錠」(バイエル薬品)について、2010年11月の販売以降、副作用とみられる血栓症で3人が死亡したと発表した。利用者は延べ18万7千人にのぼり、バイエルに対し、添付文書に警告欄を設けて注意喚起するよう指示した。
ブルーレター出ましたね。
10代や20代の方が血栓症で亡くなっているので、若くても侮れない。
低用量ピルで血栓症になるメカニズムは、
用語集(凝固)
「妊娠およびエストロゲン服用者では血漿第XII因子が増加する。」
らしい。
中用量ピルと比べて、血栓症のリスクは減ったのだろうけど、それだけ日本でも安易に処方されるようになったと言えるのかも知れない。
患者携帯カード
ヤーズの患者携帯カードなるものがあるらしく。
月経困難症治療剤ヤーズ®配合錠/経口避妊剤トリキュラー®錠(卵胞ホルモン・黄体ホルモン配合剤)を服用している患者さんとご家族の皆さまへ
<患者/服用者 携帯カードとは>
卵胞ホルモン・黄体ホルモン配合剤を服用中の患者さん/服用者の皆さまに血栓症が疑われる症状(上記赤枠内の症状)について知っていただき、症状が現れた場合にはすぐに本剤の服用を中止し医療機関を受診していただくことをお願いするものです。
受診医療機関の先生方への情報提供も兼ねておりますので、他の診療科や病医院を受診される際には患者/服用者 携帯カードを必ず提示してください。
おくすり手帳を持ち歩けば良いんじゃね。って話じゃないのかな。
他の診療科だとヤーズによる血栓症にピンと来ない医師もいるのかな。
どっちにしろ、おくすり手帳に貼っておけばよし。
避妊薬と避妊具の一部製品で血栓リスク増大
避妊薬と避妊具の一部製品で血栓リスク増大、米当局 国際ニュース AFPBB News
【11月2日 AFP】米食品医薬品局(Food and Drug Administration、FDA)は10月27日、女性用の避妊用品のうち経口避妊薬や避妊リング、避妊パッチなどの一部製品で、低用量ピルより血栓リスクが著しく増加すると警告した。
FDAは、対象女性80万人以上に上る複数の研究を調査。その結果、ドロスピレノンを含む経口避妊薬、月に1回膣内に挿入する避妊リング「ニュバリング(NuvaRing)」、週に1回皮膚に貼る避妊パッチ「オーソ・エブラ(Ortho Evra)」について、低用量ピルを服用した場合に比べ、非致死的特発性静脈血栓塞栓症(VTE)のリスクが増大することが示されたという。
ドロスピレノン含有経口避妊薬には「ヤーズ(Yaz)」「ヤスミン(Yasmin)」「Beyaz」などがあり、このうちドイツ製薬大手バイエル(Bayer)が開発したヤーズは、年間15億6000万個を売り上げる同社2位の売れ筋。ニュバリングは米医薬品大手メルク(Merck)、オーソ・エブラはヤンセンファーマ(Janssen Pharmaceuticals)が製造している。
避妊リングや避妊パッチと血栓リスクとの関連性が示唆されたのは今回の調査が初めて。FDAはさらなる検証が必要だと述べた上で、これらの避妊具を継続的に使っていると「エストロゲンに常にさらされ、エストロゲンを大量に摂り入れることになるため、血栓塞栓症リスクが高まる恐れがある」と警告している。
■欧州も警告、訴訟沙汰にも
欧州医薬品審査庁(European Medicines Agency、EMEA)は今年5月、ドロスピレノン含有経口避妊薬が静脈血栓塞栓症リスクを高めると結論付け、警告ラベルにその旨を記載するべきだとの見解を示していた。ただ、経口避妊薬による血栓リスクは全体的には低いとして、服用停止の勧告は出さなかった。
ドロスピレノン含有避妊薬をめぐっては訴訟が絶えない。米国では前年、にきび治療のためヤーズを服用した18歳の女子大生が心停止し、遺族がバイエルを訴えている。
また英医学誌「ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル(British Medical Journal、BMJ)」は今年、ヤーズやヤスミンなどのドロスピレノン含有避妊薬の血栓リスクが従来の経口避妊薬の2~3倍だとする論文を2本掲載した。
ヤーズの公式ウェブサイトには「血栓、脳卒中、心臓発作などの深刻な副作用の危険性がある」と記されている。
にきび治療のためにヤーズを服用かあ。
日本でもそういう使い方あるのかな。
ヤーズは、保険の使える低用量ピルというイメージだったのですが、ドロスピレンの血栓リスクには注意しなければなりませんね。
自費で低用量ピル使った方がいいのかな。
低用量ピルの血栓リスク
発症はまれであり、絶対リスクは低いものの重大な副作用としてVTEがある。
患者に過剰な不安を抱かせることも懸念されるため、必要に応じて絶対的数植で説明すべきである。
また、あわせてVTEの初期症状も説明する。
何か異変を感じた場合、必ず処方した医療機関に連絡するよう患者に伝えることが大事である。
特に下肢(ふくらはぎ)の痛みや腫れについては血栓性静脈炎と気付かず最初に整形外科などを受診して診断・治療が遅れる危険性があるので注意が必要である。
LEPあるいはOCの服用によりVTE発症率が上昇するのは事実であるが、絶対リスクは低い。
また、VTEのリスク増加は服薬開始後4か月以内に認められ、中止後3か月以内に非服用者のリスク値まで戻る。
日本人は欧米人と比べてそもそもVTEの頻度が1O分の1と低いが、近年食事の欧米化や運動不足のため内臟脂肪が増えるとともにVTEが増加しつつある。
また、日本人には血栓性素因がないと言われてきたが、日本人の血栓性素因としてはプロテインSの遺伝子変異が最近注目されている。
参考書籍:ファーマトリビューン2013.12
絶対的VTEリスク
低用量経口避妊薬の使用に関するガイドライン
OC使用によってVTEリスクは3~5倍増加するが、エチニルエストラジオール(EE)の用量との関連は不明である。デソゲストレル含有OCはノルエチステロンまたはレボノルゲストレル含有OCよりVTEリスクが約2倍高値である。プロゲストーゲンの種類とVTEリスクとの関連を指摘する研究もあるが、バイアスによって生じた可能性を否定できない。リスクを相対的数値で示すと、絶対的数値で示すよりも不安を抱かせることになる。OC非服用者の絶対的VTEリスクは低値である(女性10万人当たり年間5例)。レボノルゲストレルおよびノルエチステロン含有OCの使用でVTEリスクは女性10万人当たり年間15例まで増加し、デソゲストレルOCでは女性10万人当たり年間25例まで増加する。VTEは生殖年齢の女性では稀であり、OCの使用によってVTEのリスクは5倍まで増加するというものの絶対危険度は低い。妊娠時のVTEリスクは女性10万人当たり年間60例である。
ヤーズの血栓リスクは妊娠に比べりゃマシ、とか言われても。
勉強ってつまらないなぁ。楽しみながら勉強できるクイズ形式の勉強法とかがあればなぁ。
そんな薬剤師には、m3.com(エムスリードットコム)の、薬剤師のための「学べる医療クイズ」がおすすめ。
2 件のコメント
産婦人科医です。
いつも面白く拝見しております。
細かい話ですが、ヤーズもLEPのひとつですので「ヤーズ vs 低用量ピル」という記述はあまりよろしくないと思います。
「ドロスピレノン含有LEP vs 非ドロスピレノンのプロゲスチン含有LEP」のように記載しないと誤解を招くかと。
非ドロスピレノンでも保険適応が通っているルナベルという選択肢がありますし。
ヤーズもルナベルも、どちらも保険適応は月経困難症で、避妊目的の使用であれば適応外となります。ニキビ外来としてピルを処方されているクリニックもありますが、勿論自費です。
コメントありがとうございます。
専門の先生からのご指摘ありがとうございました。
低用量ピルって聞くとなんとなく自費で購入するトリキュラーとかアンジュとかいった類を思い浮かべていたもので。
タイトルを訂正いたしました。
今後ともよろしくお願いいたします。