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月経前症候群にジェイゾロフトの間欠投与?
公開. 更新. 投稿者:月経/子宮内膜症.この記事は約3分13秒で読めます.
2,493 ビュー. カテゴリ:月経前不快気分障害とSSRI
婦人科からパキシルなどのSSRIが処方されていたら、月経前症候群(PMS)かも知れない。
中等症以上の月経前症候群(PMS)や月経前不快気分障害(PMDD)には選択的セロトニン再取込み阻害薬(selective serotonin reuptake inhibitor:SSRI)が第1選択となる。
1周期連続投与法と黄体期2週間のみの投与法では効果に差を認めず、また、即効性を示すこと、少量の投薬量で効果が得られることなどから、うつ病や不安障害での効果発現機序とPMS・PMDDでの効果発現機序は異なることが推察されている。
PMS/PMDDでは、SSRIの効果発現までの期間が短く、急な服薬中断による離脱症状が問題となりにくいこと、維持量が比較的少量で済むことなどが知られている。
ただし、月経開始後も精神症状が持続するようなPMEの症例には、連続投与法で対応する必要がある。
これらのSSRI使用に当たっては、日本ではPMS、PMDDに対する保険適応はないため、うつ症状に対する病名をつけての投薬となる。
セロトニン動態と月経周期には何らかの関係があると想定されている。
健常女性の縫線核セロトニン自己受容体(5‒HT1A)の感受性は卵胞期より黄体期で高いが、PMDD女性では卵胞期と黄体期で差は認めなかったという報告があり、健常女性では卵胞期に5‒HT1Aの感受性が低下することでセロトニン分泌が漸増するのに対し、黄体期には5‒HT1Aの感受性が上昇し、negative feedbackからセロトニン分泌が漸減するという。
したがって、月経前にはセロトニン分泌は減少し、SSRIの黄体期投与でセロトニンが補充されるとPMS症状が改善するという。
一方、PMDD女性では5‒HT1Aの感受性が卵胞期と黄体期で変化しないため、セロトニン動態の機能不全を有し、セロトニン欠乏による精神症状は性ステロイドホルモンの影響で悪化する可能性が考えられる。
月経前症候群
月経前症候群(PMS)は、月経前3~10日間の黄体期に精神・身体症状が発症し、月経開始後に症状が減弱または消失するものを指す。
乳房痛、腹部膨満感、頭痛、体重増加などの身体症状のほか、抑うつ、怒りの爆発、イライラ、不安感などの精神症状があり、米国産婦人科学会のPMS診断基準を用いて診断される。
月経前症候群の治療
米国食品医薬品局(FDA)はPMDDに対し、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)を第一選択として推奨している。
米国では、超低用量ピルのドロスピレノン・エチニルエストラジオール(ヤーズ配合錠)がPMDDの適応を取得している。
日本では、2013年に「エビデンスに基づいた月経前不快気分障害(PMDD)の薬物治療ガイドライン」が発表され、PMDDに対し、SSRIである塩酸セルトラリン(ジェイゾロフト)、パロキセチン塩酸塩水和物(パキシル)、エスシタロプラムシュウ酸塩(レクサプロ)、フルボキサミンマレイン酸塩(デプロメール/ルボックス)を第一選択薬としている。
ただし、いずれの薬剤もPMS/PMDDの適応はない。
その他、選択的セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)、抗不安薬、利尿薬、解熱鎮痛薬、漢方薬である当帰芍薬散、桂枝茯苓丸、加味逍遙散などがPMS/PMDDの治療に用いられる。
月経前不快気分障害
PMSの中でもより精神症状の重症化した病態を月経前不快気分障害(premenstrual dyspholic disorder:PMDD)という。
抑うつ気分、不安・緊張、情緒不安定、怒り・いらいらの4症状が中核をなし,食行動の変化や睡眠障害などの特徴的な症状が月経前に出現することで、社会活動や人間関係を障害する。
すなわち、PMDDは月経前に周期的に現れる症候群のうち、特定の精神症状を伴うものに限定され、PMSと同義ではない。
また、大うつ病性障害、パニック障害、気分変調性障害、人格障害のような他の障害が月経前に増悪し、月経後も完全には症状が消失しない病態(premenstrual exacerbation:PME)とは異なる。
日本では生殖年齢女性の約70~80%が月経前に何らかの症状を伴うとされ、社会生活で困難を伴う中等症以上のPMS患者は約5.3%、PMDD患者は約1.2%とする報告がある。
しかし現実には、治療を受けずに我慢してしまう患者や、適切な治療法があることを知らない患者も少なくないとの指摘がある。
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