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体に良い脂肪と悪い脂肪
公開. 更新. 投稿者:脂質異常症.この記事は約11分9秒で読めます.
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体に良い油と悪い油
MCTオイルは何で体にいいの?
健康的な食生活を心がけると、体脂肪をつけないように油っぽい食事は避けます。
しかし、油にもいろいろあって、体に良いとされる油もあります。
・オリーブオイルはオレイン酸(一価不飽和脂肪酸)
・大豆油はリノール酸(nー6系多価不飽和脂肪酸)
・EPA・DHAはnー3系多価不飽和脂肪酸
を含んでいます。
常温で固形の油の摂取はひかえめにしたほうがよいでしょう。
ココナッツ油、ヤシ油、バターなどの飽和脂肪酸があります。
トランス型脂肪酸を含むマーガリンも気をつけたほうがよいでしょう。
分類 | 主な脂肪酸 | 代表的な食品 | 特徴 | |
---|---|---|---|---|
飽和脂肪酸(固形) | 短鎖 | 酢酸、酪酸 | 酢、バター、チーズ | エネルギー源となる |
中鎖 | ラウリン酸 | ココナッツ油、ヒト母乳 | コレステロールを上げない | |
長鎖 | ミリスチン酸 | ヤシ油、パーム油 | エネルギー源となる。コレステロール、中性脂肪を増やす | |
パルミチン酸 | バター、牛や豚の脂 | エネルギー源となる。コレステロール、中性脂肪を増やす | ||
ステアリン酸 | 牛や豚の脂、ココアバター | エネルギー源となる。コレステロール、中性脂肪を増やす | ||
不飽和脂肪酸(液状) | 一価不飽和脂肪酸 | オレイン酸 | オリーブ油、菜種油、ナッツ | LDL-C低下作用、循環器疾患リスク低減作用。酸化されにくい |
多価不飽和脂肪酸(n-3系) | α-リノレン酸 | しそ油、えごま油、亜麻仁油 | アレルギー・心血管疾患予防作用 | |
ドコサヘキサエン酸(DHA) | まぐろの脂、さんま、いわし、さば、うなぎ、ぶり、あん肝 | 抗血栓作用、脳機能改善作用。酸化されやすい | ||
エイコサペンタエン酸(EPA) | まぐろの脂、さば、うなぎ、さけ、ぶり、あん肝 | 抗血栓作用、中性脂肪・LDL-C低下作用。酸化されやすい | ||
多価不飽和脂肪酸(n-6系) | リノール酸 | べにばな油、ひまわり油、綿実油、大豆油、コーン油 | LDL-C低下作用。過剰摂取でHDL-C低下、アレルギーの恐れ | |
γ-リノレン酸 | ヒト母乳、月見草油、にしん | 血糖・血圧・コレステロール低下 | ||
アラキドン酸 | レバー、卵白、さざえ | 胎児・乳児の正常な発育に必要 |
不飽和脂肪酸と飽和脂肪酸
不飽和脂肪酸は体にいいと言われます。
しかし飽和脂肪酸は体に悪いから全く摂らないほうがいいか、というとそういうことでもありません。飽和脂肪酸も体にとって必須な栄養素の一つです。
摂りすぎないようにすることが大切で、飽和脂肪酸:不飽和脂肪酸=3:7程度で摂取することが理想とされています。
不飽和脂肪酸でも過剰に摂取すると、肥満やコレステロール増加の原因になるので、体に悪いのです。
中鎖脂肪酸でやせる?
大さじ1杯分の食用油を中鎖脂肪酸含有食用油に替えて、毎日使えば、3ヶ月で体脂肪が1kgくらい減るというデータがあります。
リノール酸やリノレン酸、オレイン酸、パルミチン酸などの脂肪酸は長鎖脂肪酸。
ココナツ油やパーム油に含まれる脂肪酸が中鎖脂肪酸です。
長鎖脂肪酸に比べて分子量が小さく、吸収されやすい。
吸収されやすい脂肪、ってダメじゃんと思いますが、それだけ分解もされやすく、エネルギー源として使われやすい、燃えやすいということ。
「油はダイエットの大敵」と思い込みがちだが、やせる手助けをしてくれる油もある。
油の性質は、それを構成する脂肪酸によって決まってくる。まず、バターなど動物性脂肪に多い飽和脂肪酸と、植物の油や魚介類に多い不飽和脂肪酸とに大別される。
さらに不飽和脂肪酸は、化学構造の違いからオメガ3系、オメガ6系、オメガ9系に分類される。オメガ3系はα-リノレン酸の多い亜麻仁油やエゴマ油などがその代表で、生活習慣病の予防も期待される油の優等生だ。オメガ6系は、大豆油、コーン油などのリノール酸で料理によく使われる。また、オメガ9系はオレイン酸の多いオリーブ油、菜種油などで、酸化しにくい特徴を持っている。
こうした油の性質を理解した上でダイエットに最も適した油といえるのが、新鮮なオリーブを圧搾して作ったエクストラヴァージンオリーブオイルだ。
このオリーブオイルには抗酸化作用の強いポリフェノールやオレウロペインが豊富に含まれ、体内で脂肪細胞が増加するのを抑制してくれます。
精製したオリーブ油では、ポリフェノールなどオリーブの有効成分が取り除かれてしまうので、ダイエット効果はあまり期待できません。
糖尿病食とオリーブ油
糖尿病食として従来行ってきた、低脂肪で炭水化物が多い食事は、食後の血糖や血中のインスリン濃度が下がりにくくなります。
しかし、オリーブ油が豊富な食事は、脂肪によって炭水化物の消化吸収が遅くなるため、食後血糖値やインスリン値の上昇を抑えます。
さらに、一価不飽和脂肪酸の働きで悪玉のLDLコレステロールが減り、善玉のHDLコレステロールが増加するため、糖尿病で進行しやすい血管の傷みを抑制します。
糖尿病の食事では、油はすべていけないというイメージではなく、むしろ油の中でもオリーブ油を生かすとよいようです。
一方、注意点もあります。
オリーブ油のエネルギーは、炭水化物やタンパク質が4kcal/gであるのに対し、ほかの植物油と同様に9kcal/gと2倍以上になります。
つまり、脂肪で増える分のエネルギーは、体重管理をしながらご飯や菓子など炭水化物の多い食品を減らすなどの調整をしなければいけません。
中鎖脂肪酸と認知症
認知症に中鎖脂肪酸油(Medium-chain triglyceride:MCT)が効くという話がある。
脂肪酸といえば、エパデールみたいなω-3脂肪酸とか、何かと話題のトランス脂肪酸を思い浮かべますが、脂肪酸も結合の仕方や炭素鎖の長さによって様々な種類があります。
一般的に、炭素数2~4個のものを短鎖脂肪酸、5~12個のものを中鎖脂肪酸、12個以上のものを長鎖脂肪酸と呼びます(諸説あり)。
中鎖脂肪酸は工業的にはパーム核油や、ココナッツ油から製造され、少量ではあるが、母乳や牛乳にも含まれており、新生児での体温維持、生体防御などの生理的作用が指摘されている。
中鎖脂肪酸がグリセロールに3分子エステル結合した脂肪が中鎖脂肪酸油(MCT)として流通している。MCTは、ほぼ無味・無臭、無色透明で他の一般的な植物油に比べて低粘度である。また、発煙点が低い為、一般的な条件での炒め物や、揚げ物の調理には不向きな性質を有する。
中鎖脂肪酸とケトン体
MCTの消化・吸収過程は、長鎖脂肪酸からなる通常の油脂の場合と大きく異なる。
中鎖脂肪酸は鎖の長さが長鎖脂肪酸の約半分であるため消化吸収が早く、門脈から直接肝臓に運ばれて速やかにエネルギーに変わります。
中鎖脂肪酸は、β-酸化を受け、TCA回路で代謝されますが、処理能力以上に多量に摂取された場合には、肝臓にて生成されたアセチルCoAはケトン体に変換され、肝臓以外の組織、主に筋肉、心臓、腎臓等に運ばれて利用される(肝臓ではケトン体をアセチルCoAに変換する酵素がない)。また、脳におけるエネルギー源としても利用される。
中鎖脂肪酸と認知症
MCT摂取により多くのケトン体が生成される特徴から、古くから難治性小児てんかんの臨床現場で応用されている以外に、最近では、ALS、アルツハイマー病、パーキンソン病やある種のミトコンドリア障害等の脳神経変性疾患の症状改善に有用とする報告がある。
アルツハイマー病の根本原因は解明されていないが、さまざまな研究から、生活習慣病がアルツハイマー病発症のリスク要因として考えられている。アルツハイマー病は「3型糖尿病」ともいわれるように、脳のグルコース利用に障害がある。実際、Ⅰ型糖尿病患者での認知機能低下が認められ、MCT摂取による認知機能改善が報告されている。Ⅱ型糖尿病治療薬のメトホルミン投与やインスリン鼻腔粘膜から直接摂取等で、改善することも報告されている。そこで、血液脳関門を通過できるケトン体を代替エネルギーとして利用する試みがなされている。
脳神経変性疾患は、さまざまな症状や特徴を示すが、共通したメカニズムによって、ケトン体の効果を説明することが可能であると考えられる。それは、ケトン体は局所的な脳代謝低下に特徴づけられるある種の神経変性疾患に対して効率的なエネルギー源になるということ、さまざまな代謝ストレスに関連した酸化障害を減らすこと、ミトコンドリアの生物活性を高めること、そして、ケトン体は、いくつかの神経疾患にみられるピルビン酸脱水素酵素複合体Ⅰの障害があってもバイパスして利用されることが、その可能性として考えられる。
中鎖脂肪酸とケトアシドーシス
健常者における中鎖脂肪酸含有油脂摂取後のケトン体生成量と、糖尿病患者のケトアシドーシス発症時でのケトン体量には大きな差がある。健常者の場合、約6時間後には元に戻る。したがって、健常者の場合には問題にはならないが、重度の糖尿病でのケトアシドーシスを発症している場合には、留意が必要である。
中鎖脂肪酸と低栄養状態
高齢者における栄養学上の問題の一つに、低栄養状態が挙げられる。これはサルコペニアとも相互に関係し、高齢者の寝たきり予防の観点からも重要な問題である。また、低栄養状態は最近の疫学研究から、生活習慣病と共に認知症発症のリスク要因となると報告されている。
低栄養状態の改善のために、適度なたんぱく質摂取は必要であるが、過度な摂取はかえって腎臓への負担を増やし、逆に血中アルブミン低下も引き起こす場合がある。また、最近の研究から、高タンパク質の摂取は、骨格筋量の増加、筋力の増強に影響を与える一方で、持久力、ミトコンドリア機能や耐糖能、等の機能低下を引き起こす可能性があることが報告されている。したがって、低栄養状態改善のために、適切量のタンパク質と同時に、MCTを摂取することが重要である。さらに、MCTはLCTのような単なるエネルギー源にとどまらず、積極的なタンパク質合成を促す意義においても重要と考えられる。
脂肪酸の長さは短い方が体に良い?
脂肪酸とは、脂質の構成成分です。
中鎖脂肪酸とか長鎖脂肪酸、飽和脂肪酸に不飽和脂肪酸、トランス脂肪酸など、脂肪酸にもいろいろありますが。
飽和脂肪酸よりも不飽和脂肪酸のほうが体に良い。
トランス脂肪酸は体に悪い。
長鎖脂肪酸よりも中鎖脂肪酸のほうが体に良い。
といったイメージがあります。
炭素数2~4個のものを短鎖脂肪酸(低級脂肪酸)、5~12個のものを中鎖脂肪酸、12個以上の炭素数のものを長鎖脂肪酸(高級脂肪酸)と呼びます。
炭素数が短いほうが、分解されやすく、エネルギーになりやすいということで、体には良い。
なので、中鎖脂肪酸が体に良いと取りざたされているわけだ。
中鎖よりも、もっと短い短鎖脂肪酸のほうが体に良いんじゃないかと思ったりするけど、お酢に含まれる酢酸も短鎖脂肪酸だと言われると、短鎖脂肪酸って何だろう?とわからなくなる。
体重を減らす脂肪?
MCT(Medium Chain Triglycerides:中鎖脂肪酸トリグリセリド)は、ココナツオイル、パーム核油、牛乳、母乳などに含まれる炭素数が6~12の中鎖脂肪酸からなる中鎖脂肪です。
MCTの特徴は、膵リパーゼや胆汁酸がなくても消化され、小腸より吸収後、再合成されることなく脂肪酸のまま門脈経由で肝臓に運ばれることです。
中鎖脂肪酸は、肝臓では蓄積されることなく、エネルギーとして効率よく燃焼します。
このことから、エネルギーとして利用するMCTは、脂肪ながら体重を減らします。
飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸
飽和脂肪酸はバターやラードなどの動物性油脂が主ですが、ココナッツオイルなどの植物性油脂にも含まれています。
飽和脂肪酸も体に不要な脂肪酸というわけではない。
飽和脂肪酸、一価不飽和脂肪酸、多価不飽和脂肪酸の望ましい摂取割合は、おおむね3:4:3であり、ω-6脂肪酸とω-3脂肪酸の比は、健康人では4:1程度と言われている。
体に蓄えておく脂肪としてのエネルギーも重要です。
脂肪酸の中に二重結合など、不飽和結合が多く含まれていた方が、不安定で、融点が低く、常温で液体。
飽和結合ばかりだと、安定して、融点が高く常温で固体。体内で物質的に安定してしまうと、脂肪が落ちにくいということになるので、脂肪としては不安定なほうが良いわけだ。
トランス脂肪酸は不飽和脂肪酸だけれども、二重結合の同じ側に水素があるシス結合のほうが不安定で、トランス結合のほうが安定しており体に悪い。
トランス脂肪酸
・マーガリンなどの加工油脂に含まれる脂肪酸の一種。
・油を加熱する過程や固形化処理の際に人工的に生成される。
・大量に摂取すると、血中の悪玉コレステロールを増やし、善玉コレステロールを減らすといわれ、動脈硬化など心臓疾患のリスクを高めるとの指摘がある。
・食品安全委員会によると、1日当たりの平均摂取量は日本では約1・6グラム。
脂質に含まれる脂肪酸は、二重結合の有無によって飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸に分けられます。不飽和脂肪酸のうち、水素の結び付き方が互い違いになっているものを「トランス型」と呼び、この型を持っている多種類の脂肪酸を総称して「トランス脂肪酸」と呼んでいます。
反すう動物(牛や羊など)の肉や乳などにも含まれますが、多くは植物油を加工する工程でできます。特に、植物油に水素を添加して硬化(固形化)し、マーガリンやショートニングなどにする時に比較的多くできます。これらはパンや菓子等の加工食品に多く使われるため、摂取量の増加につながります。
トランス脂肪酸は悪玉コレステロールと呼ばれるLDLコレステロールを増やし善玉コレステロールとされるHDLコレステロールを減らして、心血管系疾患の一つ、冠動脈疾患のリスクを上げると指摘されています。欧米では冠動脈疾患の患者が多く、トランス脂肪酸も注目を集めました。世界保健機関(WHO)は2003年、「トランス脂肪酸量は総エネルギー摂取量の1%未満とすべき」と勧告しています。表示を義務化した国もあり特に、06年に米国ニューヨーク市がレストランでのトランス脂肪酸禁止を通告して、日本でも広く知られるようになりました。
トランス型の脂肪酸とは、脂肪酸の二重結合部分のHが二重結合に対し、反対側にある脂肪酸ということです。
この二重結合を中心とした立体配置の違いが、脂肪酸全体の立体構造を変えています。
例えば、オリーブ油に含まれるオレイン酸は、シス型の1価不飽和脂肪酸であり、二重結合部分で折れ曲がった構造になっています。
しかし、同じ化学式を持つエライジン酸は二重結合部分がトランス型のため、全体的に直線的な構造になっています。
この立体構造の違いは、分子間の結びつきを変え、トランス型のエライジン酸はシス型のオレイン酸よりも融点が高くなるなど、物理的・化学的性質の違いとなって現れてきます。
シスとトランス
トランス型とは炭素-炭素間二重結合の両側の立体配置の相違による幾何異性を区別する語であり、XYC=CZW型化合物において、注目する置換基(X、Z)が二重結合の反対側にある場合を指す。
シス型とは注目する置換基が二重結合の同じ側にある場合を指す。
トランス脂肪酸が健康を害する
トランス脂肪酸を多く取りすぎると、血液中のLDLコレステロールを増加、HDLコレステロールを低下させ、心筋梗塞などの冠動脈疾患を引き起こすといわれています。
マーガリンとトランス脂肪酸
トランス脂肪酸を含んでいるものの例としてマーガリンが挙げられます。
マーガリンの原材料の中に「食用植物油脂」と「食用精製加工油脂」というものがあります。
マーガリンの原材料である植物油脂は、不飽和脂肪酸が多く、融点が低いため液体です。
これを、マーガリンのような固体にするためには、食用精製加工油脂が必要で、この中に水素を添加した硬化油脂が含まれています。
トランス型の脂肪酸は、硬化油脂を製造する過程で生成されます。
そのため、マーガリンにはトランス脂肪酸が多く含まれます。
トランス脂肪酸を含む食品
トランス脂肪酸を含んでいるのは、マーガリンやショートニングだけではありません。
これらを使用した市販のパン類やスナック菓子のほかに、コーヒー用ポーションミルク、インスタント食品、大豆油やコーン油などの市販の植物油脂(オリーブ油、紅花油、ごま油は少ない)などがあります。
私たちの食生活の中で普通に食しているものばかりです。
トランス脂肪酸の摂取量
世界保健機構(WHO)は、トランス脂肪酸の摂取量を1日当たりの摂取エネルギー比1%未満にするよう勧告しています。
内閣府食品安全委員会のまとめによると、日本人のトランス脂肪酸平均摂取量は1.56g(摂取エネルギー比0.7%)と、米国の平均摂取量5.8g(摂取エネルギー比2.6%)に比べ少ないといえます。
しかし、食の欧米化により油脂全体の摂取量は増加傾向を示していることから、トランス脂肪酸の摂取量も増えていると考えられます。
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