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目薬は1回1滴で充分?2滴点したらダメ?
公開. 更新. 投稿者:眼/目薬/メガネ.この記事は約5分48秒で読めます.
5,611 ビュー. カテゴリ:目薬の使用量は?
市販の目薬の説明書に、1回2~3滴と書いてあるときがあります。
通常の点眼瓶からの1滴の容量は、普通では約40~50μl(0.04~0.05ml)ですが、そのうち結膜嚢に入るのは約20μl(0.02ml)です。よって1回の点眼量は1滴で十分です。
一度できちんと入らない場合もあるので1回2~3滴と書いてあるそうですが、きちんと入らなければもう一度さすに決まってます。
結膜嚢の容量
点眼された目薬は、眼球とまぶたを結びつけている結膜全体(結膜嚢)にたまる。
結膜とは、白目の表面の膜だと思われがちだが、実は、眼の奥で折り返してまぶたの裏までつながっている。この結膜で覆われているスペースを結膜嚢という。
結膜嚢の容量は約30μL。
結膜嚢の容量約30μL-涙液量約7μL=約23μLが、保持できる点眼液の量となる。
1滴の点眼液量は約40~50μL。
そのため、なるべく多くの点眼液を浸透させるためには、眼のふちを抑えたり、まぶたを閉じたりする必要がある。
1回2滴の目薬
目薬をさすときに、1回2~3滴さすという患者もいますが、通常1滴させば十分です。
1度に2滴以上さしたほうが1滴よりも効果が大きいと誤解している患者もいます。実際には、処方された量よりも多く用いると過量投与となり、副作用を生じることもあります。
点眼薬の1滴は40ulといわれます。
瓶の口の構造、瓶を押す強さなどにより30~70ulと変動します。
点眼したものが目にたまる量は決まっており、約30ulです。
点眼薬の1滴は約40ulですので、目に1滴入れば十分で、1滴でもこぼれる計算です。
ミロル点眼液の添付文書には、
「1日1回又は2回点眼において、1回2滴以上を点眼しても効果は変わらないため、過量点眼にならないように注意すること。」
と、2回以上さしても無駄ですよ、と添付文書に明記されている。
なので、点眼薬の用法は全て「1回1滴」。。。かと思いきや、そうでもない。
「1回1~2滴」という用法の目薬は多い。
中には「1回2滴」という用法の目薬も存在する。
アミノグリコシド系抗菌薬の点眼液「パニマイシン点眼液」の用法は、
「通常、1回2滴、1日4回点眼する。なお、症状により適宜増減する。」と1回2滴です。
クロラムフェニコールとコリスチンメタンスルホン酸ナトリウムの合剤、「オフサロン点眼液」や「コリナコール点眼液」の用法は、
「1日4~5回、1回2~3滴点眼する。」である。
ノイボルミチン点眼液は「通常、1回2~3滴を1日5~6回点眼する。」
マイピリン点眼液は「通常,1回2~3滴を1日4回点眼する。」
ミオピン点眼液は「通常、1回2~3滴を1日4回点眼する。」
となっている。
これらの点眼薬が「1回1滴」という用法で処方された場合には、疑義照会が必要となる。
なんつて、ほんとに疑義照会する薬剤師がいたら医者から怒られる。
目薬は1回1滴で十分
眼薬の1滴の量は一般的には50μLとされていますが、実際は約25~50μLと幅があります。
1滴の量が変化する原因としては、濃度や粘度、ノズルの形状などがあります。
結膜嚢の最大保持能力は約30μL、涙液量は約7μL。
そのため、1回1滴でもあふれるくらいの量です。
しかし目薬によっては1回1~2滴となっているものもある。まあ、2滴くらいなら、ね、押す力によっては1滴の量が少ない場合もあるかもだし。
でも、エコリシン点眼液やミオピン点眼液の「1回2~3滴」ってのは多過ぎな気がする。
あふれると眼の周囲の接触性皮膚炎のリスクが高まる。
キサラタンを何回も注すと効果が落ちる?
1日1回よりも1日2回使った方が、効果は増す。
というのが一般的な考えだと思います。
緑内障の目薬においても、1日1回よりも2回使った方が、眼圧下がるんじゃないか?と思います。
しかし、キサラタンの添付文書には、
「頻回投与により眼圧下降作用が減弱する可能性があるので、1日1回を超えて投与しないこと。」
と書かれてる。
使用回数を増やしたら逆に効果が落ちるという摩訶不思議。
薬を使いすぎても、もったいないどころか、効果が落ちる。
弱り目に祟り目。
目なだけに。
キサラタン以外の緑内障点眼液で、以下の薬にも同様の記載がみられる。
トラバタンズ:頻回投与により眼圧下降作用が減弱する可能性があるので、1日1回を超えて投与しないこと。
デュオトラバ:頻回投与により眼圧下降作用が減弱する可能性があるので、1日1回を超えて投与しないこと。
タプロス:頻回投与により眼圧下降作用が減弱する可能性があるので、1日1回を超えて投与しないこと。
ザラカム:頻回投与により眼圧下降作用が減弱する可能性があるので、1日1回を超えて投与しないこと。
つまり、プロスタグランジン製剤はそういうことなのだろう。
しかし、レスキュラには「1日2回を超えて投与しないこと」との注意書きはありません。
これらの薬を、「効果増強のため」という理由で「1日2回」という用法で処方されていた場合には疑義照会が必要となるだろう。
ちなみに、炭酸脱水酵素阻害剤のエイゾプトの用法は、
「通常、1回1滴、1日2回点眼する。なお、十分な効果が得られない場合には1回1滴、1日3回点眼することができる。 」
となっているので、使用回数を増やせば効果が増強する。
チモプトールやミケランなど、複数規格ある点眼薬も、回数や濃度を増やせば、それだけ作用も強くなるとみられる。
目薬の点しすぎで接触性皮膚炎
点眼薬の1滴量は結膜嚢の保持量よりも多く、点眼後は目から薬液があふれてしまう。
これを放置して接触皮膚炎を起こすケースがしばしば認められ、症例報告も多い。
薬液に含まれる成分が皮膚の蛋白質と結合して抗原となり、感作が成立して再度抗原が侵入したときに強い炎症が起きる遅延型アレルギー反応が発症の主因である。
症状は、発赤や腫脹、水疱などで 目周囲のみならず、頬や顔全体に広がることもある。
症状が顔全体に広がった場合は、脂漏部位に起きる脂漏性皮膚炎や、テトラサイクリン系抗菌薬などの服用中に起きる光線過敏症などとの鑑別も問題となる。
点眼薬による接触皮膚炎は、薬液に含まれるあらゆる成分が原因となる。
特に頻度が高く注意すべき主成分には、フラジオマイシン硫酸塩(点眼・点鼻用リンデロンA液)やケトチフェンフマル酸塩(ザジテン)、アンレキサノクス(エリックス)、フェニレフリン塩酸塩(ミドリンP)、チモロールマレイン酸塩(チモ プトールXE、リズモンTG)が挙げられる。
添加物では、防腐剤の塩化ベンザルコニウムや緩衝剤のイプシロン-アミノカプロン酸で報告が多い。
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