2024年12月18日更新.2,481記事.

調剤薬局で働く薬剤師のブログ。薬や医療の情報をわかりやすく伝えたいなと。あと、自分の勉強のため。日々の気になったニュース、勉強した内容の備忘録。

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目にしみない目薬は?

目にしみない目薬

目薬が目にしみる原因として、pHが挙げられます。
目のpHは7.0~7.4なので、これに近いpHの目薬のほうが目にしみないということになります。

人の涙液のpHは7.45と弱アルカリ性であり、酸性やアルカリ性の点眼薬は刺激を感じやすい。
そのため、点眼薬の刺激を嫌がる小児に対しては、涙液のpHに近い点眼薬を選択するとよいとされる。

点眼剤による目の不快感については、製剤のpHや浸透圧比が不快感を軽減させる目安になります。
点眼剤は、涙液の緩衝作用と涙液が点眼剤を急速に希釈することから、必ずしも涙液と性状を一致させる必要はありません。

しかし、pHを正常に近づけることで、適用時の不快感や刺激を軽減させることができ、また、刺激による涙液の増加で主薬が希釈されることを防ぐことができます。

・pH:前眼部では点眼剤のpHが6以下、又は8以上になると不快感を生じる。特に、長期にわたり1日数回連続して使用する場合では注意が必要である。
・浸透圧比:眼組織は塩化ナトリウムに換算して0.6~2.0w/v%の範囲では浸透圧の差に基づく不快感はあまり感じられない。

目薬pH
アイビナール5.5~7.0
アイファガン6.7~7.5
アゾルガ6.7~7.7
アレギサール7.5~8.5
アレジオン6.7~7.3
インタール4.0~7.0
ウブレチド5.0~6.5
エイゾプト約7.5
エコリシン6.0~8.0
エリックス6.8~7.8
カタリン5.5~6.5
カタリンK4.5~6.5
カリーユニ3.4~4,0
キサラタン6.5~6.9
クモロール4.0~7.0
グラナテック5.0~7.0
クラビット6.2~6.8
ケタス5.5~7.0
ゲンタシン5.5~7.5
コソプト5.5~5.8
コンドロン5.0~6.5
ザジテン4.8~5.8
ザラカム5.8~6.2
サンコバ5.5~6.5
サンピロ4.5~5.5
ジクロード6.0~7.5
ゼペリン4.5~6.0
ソフトサンティア7.0~8.0
タチオン6.2~6.3
タプコム6.7~7.2
タプロス5.7~6.3
タリビット6.0~7.0
チモプトール6.5~7.5
チモプトールXE6.5~7.5
デュオトラバ6.5~7.0
トラメラス7.0~8.0
トラバタンズ約5.7
トルソプト5.5~5.9
ネオシネジン4.0~6,0
ノフロ5.0~5.6
ハイパジール6.5~7.5
パタノール約7.0
ヒアレイン0.16.0~7.0
ピバレフリン4.5~5.5
ピマリシン6.5~7.5
フラビタン4.5~6.0
プリビナ5.3~6.3
フルオメソロン5.5~7.5
フルメトロン5.5~7.5
プロラノン7.5~8.5
ベストロン6.0~8.0
ベトプティック6.7~7.7
ベトプティックエス7.0~7.8
ペミラストン7.5~8.5
マイティア7.0~7.5
ミオピン5.5~6.5
ミケラン6.2~7.2
ミケランLA6.2~7.2
ミドリンM4.5~5.8
ミドリンP4.5~5.8
ムコゾーム4.5~6.0
ムコファジン4.5~6.0
ラクリミン4.0~5.0
リザベン7.0~8.0
リズモン6.5~7.5
リズモンTG7.2~8.0
リボスチン6.0~8.0
リンデロンA5.0~7.5
リンデロン液7.5~8.5
ルミガン6.9~7.5
レスキュラ5.0~6.5
ロメフロン4.5~5.7

コソプトは薬液のpHが5.5~5.8で、使用時に「目が染みる」と訴える感が一定数いるため、アゾルガが処方されることが多い。

主な抗アレルギー剤の性状

アイビナール点眼液 pH:5.5~7.0 浸透圧比:約1
アレギサール点眼液 pH:7.5~8.5 浸透圧比:0.7~0.9
インタール点眼液 pH:4.0~7.0 浸透圧比:0.25
インタール点眼液UD pH:4.0~7.0 浸透圧比:約1.1
エリックス点眼液 pH:6.8~7.8 浸透圧比:約1.1
ケタス点眼液 pH:5.5~7.0 浸透圧比:約1
ゼペリン点眼液 pH:4.5~6.0 浸透圧比:約1
トラメラス点眼液 pH:7.0~8.0 浸透圧比:0.9~1.1
ペミラストン点眼液 pH:7.5~8.5 浸透圧比:0.7~0.9
リザベン点眼液 pH:7.0~8.0 浸透圧比:0.9~1.1
パタノール点眼液 pH:約7.0 浸透圧比:0.9~1.1
リボスチン点眼液 pH:6.0~8.0 浸透圧比:2.8~3.8
ザジテン点眼液 pH:4.8~5.8 浸透圧比:0.7~1.0

こするとしみる

点眼薬に含まれる防腐剤や目をこするなど、物理的刺激により角膜が傷つくと、点眼時に刺激を感じることがある。
その場合は、防腐剤を含まない点眼薬が処方される。
服薬指導時には、眼をこすらないように伝えたい。

子どもにはリザベン点眼液が良い

花粉症の初期療法に使用する抗アレルギー点眼薬にはメディエーター遊離抑制薬とヒスタミンH1受容体拮抗薬(抗ヒスタミン薬)とあるが、これまでの臨床経験上では症状発現前の初期療法としてメディエーター遊離抑制薬を使用し、症状の悪化に伴い抗ヒスタミン薬、副腎皮質ステロイド薬を併用するケースが多い。

ただし重症例については眼症状のみならず、鼻症状、皮膚症状を併発しているケースが多いため、耳鼻科、皮膚科と緊密な連絡を取り、最適な薬剤を選択する必要がある。

また初期療法に使用するメディエーター遊離抑制薬の中でもトラニラスト点眼液はpHが涙液に近く、点眼時の刺激が少ないという特性を有する。

季節性アレルギー性結膜炎の患者が低年齢化している現状を考えると、アドヒアランスの面でも初期療法に適した薬剤であると考えられる。

ミドリンとサンドール

仮性近視に使われるミドリンM、そしてジェネリックのサンドール

ミドリンMのpHは4.5~5.8。
これに対してサンドールMYのpHは6.0~7.0。

ちなみにサンドールPのpHは4.5~5.8。ミドリンPのpHは4.5~5.8。

目にしみないサンドールMYのほうが好んで使われますね。

しみる目薬が欲しい?

目薬がしみると目に悪いんじゃないか、と思う人がいます。
しかし、しみること自体は、目に害を及ぼすことではなく、それほど気にすることではないという。

同じ目薬を使っても、しみる人もいれば、しみない人もいます。
目の炎症や体調など、目薬を使うときの状態によっても、違ってきます。

涙液のpH7.0~7.4になるべく近いpHの目薬のほうがしみない。

しみる目薬は涙を誘う。
その分目薬が無駄になる。
なるべくしみない目薬のほうがいい。

そう思っていました。

しかし、しみる目薬が欲しい、という患者さんが時折います。
花粉症の患者さんで。
目がかゆい。
そういう眼球をかきむしりたい患者さんは、刺激性の目薬のほうが良いらしい。
メントール配合のような。
ロートziみたいな「きたーーー!!」という刺激感を欲する患者もいる。

薬剤師

勉強ってつまらないなぁ。楽しみながら勉強できるクイズ形式の勉強法とかがあればなぁ。

先生

そんな薬剤師には、m3.com(エムスリードットコム)の、薬剤師のための「学べる医療クイズ」がおすすめ。

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