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プロマックが味覚障害に効く?
公開. 更新. 投稿者:栄養/口腔ケア.この記事は約4分8秒で読めます.
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プロマックと味覚障害
プロマックは一般名ポラプレジンクといい、ジンク=Zinc=亜鉛のことです。
ポラプレジンク150mgは約34mgの亜鉛に相当する。
味覚障害の原因として、亜鉛不足があるので、亜鉛補給にプロマックを使うことがあります。
しかし、適応外です。
亜鉛欠乏を原因とする味覚障害に対して広く処方されていますが、亜鉛欠乏症は適応症となっていません。
亜鉛と味覚障害
亜鉛は、200種類以上の活性中心に存在し、不足すると、味覚障害、食欲減退、褥瘡など、さまざまな障害の要因になることが指摘されている。
味蕾内、特に味孔周辺には味覚の受容機構に関与する亜鉛酵素が多く存在している。
ポラプレジンクは、分子内の亜鉛を供給することで、味蕾細胞の代謝回転の時間を短縮し、修復を早めると考えられている。
また、亜鉛は活性酸素の消去にかかわっており、抗酸化作用の寄与も考えられる。
味覚障害の発症メカニズムは明らかでないが、これまでの研究では、体内の亜鉛不足との関連性を指摘する報告が多い。
舌の表面や口腔粘膜には味を感じる味蕾(みらい)と いう器官が数千個あり、約10日間の周期で新しい細胞に生まれ変わるが、この時に亜鉛が必要になる。
しかし、何らかの原因で体内の亜鉛が不足すると、味蕾を形成する細胞の数が減少したり、機能の一部が低下して、味覚障害が起きると考えられている。
味覚障害は、高齢者で起きやすい。
老化による味蕾の減少や機能低下に加え、消化管機能低下による亜鉛吸収の減少も関与していると推測される。
また高齢者では、唾液の分泌量が減少する傾向にあることも味覚障害の発現に関係がある。
唾液は、食物などから味成分を溶かし出す役割を果たしており、唾液量が減少して、口腔内が乾燥すると、味を感じにくくなると考えられている。
そこで食事中の唾液を増やすために、食事の初めに酢の物などを食べるようにすると効果的な場合がある。
一方、味覚障害の20~30%は、患者が服用している薬剤に原因があると言われている。
その機序は明らかでない部分も多いが、一部の薬剤では、亜鉛とキレートを形成することにより、消化管からの亜鉛吸収を低下させることが確認されている。
カブトプリル(カプトリル-R)の添付文書には「味覚異常」の記戦があり、薬剤性の味覚障害を引き起こす可能性がある。
味覚障害は、亜鉛の補給で改善する場合が多い。
亜鉛の補給には、局方硫酸亜鉛水和物を投与する方法があるが、現在、同薬を医療用医薬品として販売しているメーカーはない。
そのため、亜鉛補給の目的で硫酸亜鉛の試薬や亜鉛含有製剤である胃潰瘍治療薬のポラプレジンク (プロマック)が処方される。
硫酸亜鉛の試薬とポラプレジンクには味覚障害に対する適応がないが、2011年9月に社会保険診療報酬支払基金 が公表した「添付文書の適応外であっても保険審査上は原則として認める事例のリスト」に、味覚障害に対するポラプレジンクが追加された。
なお、味覚障害に対する亜鉛補給の効果が現れるのは、早くても1か月後であり、通常は服用開始後3か月程度観察する。
副作用は少ないが、軽い胃もたれや下痢などが起きる場合がある。
亜鉛の働き
亜鉛(Zn)は必須微量元素の代表格であり,生体内では多くのメタロプロテアーゼの構成金属となっています。
そのなかでもジンクフィンガー(zinc finger)とよばれるドメイン構造は多くの転写因子に存在しており,DNA複製に重要な役割を果たしています。
したがって、Zn欠乏症ではDNA複製に障害を来し,細胞分裂が正常に行われなくなってきます。
一見、味覚と細胞分裂は関係ないように思われますが,味覚細胞の新陳代謝のサイクルは,生体内の細胞のなかでも非常に速く,およそ10日程度といわれています。
皮膚(上皮細胞)の新陳代謝が約1ヵ月周期なので、相当速いことがわかります。
Zn不足に陥ると,この新陳代謝が滯ることによって味覚細胞の産生が十分に行われなくなり,結果として細胞数が減少するため,味覚に障害が現れます。
味覚障害患者は高齢者ほど多く,3/4 が50歳以上です。
味覚障害とガスチン
味覚障害患者の中には、耳下腺唾液に含まれる炭酸脱水酵素Ⅳのガスチンが減少している人がいると報告されている。
ガスチンは2分子の亜鉛を含有しており、亜鉛の服用により、分泌が促進される。
ポラプレジンクは、亜鉛濃度を上昇させ、ガスチン分泌を促進しているものと考えられている。
味覚障害にプロマックは適応外
ポラプレジンクの分子式は(C9H12N4O3Zn)nであり、ポラプレジンク150mgは約34mgの亜鉛に相当する。
亜鉛欠乏を原因とする味覚障害に対して広く処方されているが、亜鉛欠乏症は適応症となっていない。
プロマックの特徴
防御因子増強薬。
亜鉛を含み胃粘膜損傷部位に付着し、創傷治癒促進。
抗酸化作用、膜安定化作用。
貧血と味覚障害
鉄欠乏性貧血で味覚障害が起こる。
これは、鉄の欠乏も亜鉛と同様に味細胞の再生を障害するためと考えられている。
また、亜鉛欠乏状態になると、赤血球産生が障害され貧血が起こる、ということもある。
亜鉛の過剰摂取で銅が欠乏?
亜鉛を摂り過ぎると、銅が欠乏するらしい。
亜鉛の過剰摂取によって、銅の腸管からの吸収を阻害する。
体内の銅を便と一緒に排泄させるという作用もあり、生体が銅欠乏状態に陥ってしまう。
亜鉛欠乏による味覚障害はよく聞きますが、銅が欠乏するとどうなるんだろう(ダジャレではありません)。
銅欠乏症には、イライラといった神経症状や貧血などがある。
参考書籍:日経DIクイズベストセレクションBASIC篇
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