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リウマトレックスとフォリアミンの併用間隔はどのくらい空けるべきか?
公開. 更新. 投稿者:免疫/リウマチ.この記事は約6分48秒で読めます.
7,113 ビュー. カテゴリ:リウマトレックスと葉酸の関係は?
リウマトレックスは葉酸代謝拮抗剤です。
葉酸を活性型葉酸にする酵素の働きを阻止することにより、核酸合成を阻止し、細胞増殖を抑制します。
リウマトレックスによる副作用のうち、消化器症状(食欲不振、吐き気)は葉酸の作用不足によるものなので、葉酸を併用すれば症状は軽くなります。
しかし、リウマトレックスの作用機序が葉酸代謝拮抗作用によるものなので、大量の葉酸を投与してしまっては副作用だけでなく効果も減弱させてしまいます。
葉酸がリウマトレックスの用量を上回る場合、効果減弱が顕著であることから、葉酸3~5mg/週が一般的に用いられています。
ただし、葉酸5mg/週の併用によって約半数に治療効果の減弱が見られたが、葉酸3mg/週では治療効果の減弱は3割以下で、副作用の改善率は変わらなかったとの試験結果もあるので、副作用の予防目的では3mg/週、副作用の治療では5mg/週が適当だと考えられています。
メトトレキサートと葉酸
葉酸の併用は, 肝酵素上昇,口内炎,消化器症状や一部の血球減少症など用量依存的副作用の予防に有効である。
メトトレキサート(MTX、リウマトレックス) を週8mg以上使用する時や副作用リスクがある高齢者,腎機能低下例では併用が勧められる。
投与量は週5mg以内、メトトレキサート投与量のl/2 ~1/3量が1つの日安である。
メトトレキサート週8 ~10mg であれば葉酸は週3mgでもよい。
葉酸製剤はフォリアミンを使用し、MTX最終服用後24~48時間目に投与する。
肝酵素上昇など副作用発生後に治療目的でも投与するが、この場合は葉酸を週5mg使用する。
葉酸併用後、RAに対する治療効果が減弱する場合があるが、葉酸を減量することにより効果が再現される症例も少なくない。
重篤な副作用(汎血球減少など)発現時は、メトトレキサートを中止し、活性型葉酸製剤ロイコボリンを使用し救済療法を行う。
葉酸の服用のタイミングはいつ?
うちの薬局では、土日でリウマトレックスを飲んで、月曜にフォリアミンを飲むという用法が多い。
火水にリウマトレックス飲んで、金にフォリアミンとかもあった。
リウマトレックスによる関節リウマチ治療において、副作用軽減のため、リウマトレックス投与後24~48時間後にフォリアミンを投与するのが一般的です。
しかし、この用法が確実であると結論が出ている訳ではなく、「リウマトレックス服用の24時間前もしくは24時間後にフォリアミンを服用するのが有効」という文献もあります。
ちなみにアメリカでは、フォリアミン1mgを連日投与するのが通常です。
リウマトレックス服用後の早期に葉酸を投与すると明らかに関節リウマチの治療成績が低下するため、日本リウマチ学会のガイドラインでは、メトトレキサートの最終服用後、24~48時間以内に服用することを推奨している。
リウマトレックスとフォリアミンを同日に投与されている患者や、フォリアミンを連日服用する患者等もたまにいるが、コントロールできていればそれでもいいのだろう。
リウマトレックスと葉酸を同時服用しちゃダメ?
メトトレキサートと葉酸を併用する場合、同時併用は避けるべきとされています。
メトトレキサートと葉酸は、小腸の葉酸特異的な輸送システムによって吸収されて血中に移行し、メトトレキサートは一部速やかに活性代謝物(7-OH-MTX)に変換されます。
ここで同一の輸送システムを利用するため、葉酸とメトトレキサートを同時に投与すると、競合的な阻害が生じると考えられています。
実際、臨床試験ではメトトレキサートと葉酸を併用すると、併用しない場合と比べてRAに対する効果が減弱することが明らかになっています。
吸収された葉酸や7-OH-MTXの血中濃度半減期は短く、分布相で1.5~4時間、消失相は8~15時間と考えられているので、葉酸はメトトレキサート投与後24~48時間空けて投与されることが多いです。
リウマトレックスの最大用量
リウマトレックスの1週間最大用量が以前8mgだったのに、いつのまに16mgに増えていた。
2020年11月現在の用法は、
通常、1週間単位の投与量をメトトレキサートとして6mgとし、1週間単位の投与量を1回又は2~3回に分割して経口投与する。分割して投与する場合、初日から2日目にかけて12時間間隔で投与する。1回又は2回分割投与の場合は残りの6日間、3回分割投与の場合は残りの5日間は休薬する。これを1週間ごとに繰り返す。
なお、患者の年齢、症状、忍容性及び本剤に対する反応等に応じて適宜増減するが、1週間単位の投与量として16mgを超えないようにする。
16mgだと8カプセル。
3回に分割すると3cp、3cp、2cpか。
投与方法としてはさまざまなパターンが考えられるが、1回あたりの用量としては1個か2個というケースが多いだろう。
1週間当たりの用量として8個を超えてはいけないことに留意する。
関節リウマチの第一選択薬はリウマトレックス
リウマトレックスは以前は添付文書に、「過去の治療において、非ステロイド性抗炎症剤及び他の抗リウマチ剤により十分な効果の得られない場合に限る。」というただし書きが書かれており、関節リウマチの第一選択薬として使えませんでした。
しかし日本では2011年2月23日にメトトレキサート成人用量の増量についての公知申請が承認され、週16mgまでの増量と第1選択薬としての使用が可能となり、海外並みの積極的投与が可能となりました。
関節リウマチの関節破壊は,発症後1年以内に進行するうえ、発症後早期にメトトレキサートを問始した方が治療効果(有効率、寛解率、継続率,骨破壊進行抑制効果) が高く、治療中の効果の減弱(エスケープ現象)も少ない。
また発病早期からの強力なDMARDs治療は、関節リウマチの自然経過を変え、薬剤中止寛解につながる可能性も指摘されている。
メトトレキサートは既存の低分子DMARDsの中で、最も有効率が高く、MTX投与量が平均12~20mg/週で行われた海外の試験では, MTXの改善率や寛解率はエタネルセプトややアダリムマブと同程度である。
日本リウマチ学会はRAコホートや製造販売後調査を解析し「MTXは必要に応じて週16mg まで増量することにより、RA治療の有効性は向上し,安全性には有意の変化は認められない」という調査成績をまとめた。しかし、週15mgを超えると治療効果はプラトーに達する傾向がある。
日本リウマチ学会ガイドラインによる投与量
MTX開始時の投与量は、当時の日本でのMTXの使用状況を踏まえて週6mgとされている。
ただし,予後不良因子を持つ非高齢者では週8mgで開始し、副作用危険因子のある症例(高齢、腎機能障害など) では週4mg以下で開始するなど、個々の症例のリスク/ベネフィットを考えながら用量の設定をすることが勧められている。
初期投与量で効果不十分であれば,4~8週ごとに漸増する。
副作用危険因子がなければ週16mgまで漸増することにより、有効性は増加するが, 週12mgぐらいから、増量による治療効果の増加は少なくなってくる。
したがって、最大用量まで増量しなくても、他のDMARDsや生物学的製剤との併用療法を考慮してもよい。
日本リウマチ学会ガイドラインによる用法
用法に関してはMTX1週間分の投与量を分1で投与することも可能になった。
ガイドラインでは8mg/週までは分1~分3、8mg/週を超えたら分2~ 分4投与を勧めている。
薬物動態の検討ではMTX10mg以上の分1投与では、皮下あるいは筋注投与に比べて,生物学的利用能が20~30%減少するが、分2投与では分1投与に比べて約30%の生物学的利用能が期待できる。
また、高用量の分1投与では,血中濃度の一時的上昇により嘔気が起きることをしばしば経験する。
海外や小児例でも高用量分1投与による嘔気が問題になっている。
海外でも,嘔気を中心とした消化器症状に対して,皮下投与へのスイッチや分割投与の可能性が考慮されている。
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2 件のコメント
以前、リウマトレックス開始してから帯状疱疹になったが副作用の中に記載はなかった。プレドニンの副作用でしょうか?
コメントありがとうございます。
リウマトレックスの副作用に、
「感染症(0.1~5%未満)
呼吸不全にいたるような肺炎(ニューモシスティス肺炎等を含む)、敗血症、サイトメガロウイルス感染症、帯状疱疹等の重篤な感染症(日和見感染症を含む)があらわれることがあるので、患者の状態を十分観察し、異常が認められた場合には投与を中止し、抗生剤、抗菌剤の投与等の適切な処置を行うこと。」
と、書かれています。