記事
てんかん発作で舌を噛む?
公開. 更新. 投稿者:てんかん.この記事は約2分10秒で読めます.
7,757 ビュー. カテゴリ:舌を噛む
昔、てんかんの発作が起きた人には舌を噛むといけないから口にタオルを突っ込め、という教えがありました。
以前は、舌を噛んだら大変だということで、発作に気づいたら即座に無理やり口をこじあけて割り箸やスプーン、タオルなどを口に噛ませるといった荒っぽい処置をやるべきと言われていました。
しかし、大発作時の筋硬直の一つである咬筋の収縮は、もはや尋常の強さではありません。
歯や割り箸を折ったり、指を思い切りかまれることもあり、大変危険です。
また、折れた割り箸が喉につまって窒息したりすることもあります。
大発作時には、決して口の中に物を入れたりしないでください。
そばで見ているだけだと、何かをしなければと焦る気持ちはわかりますが、ただじっと見ているだけのほうが安全なのです。
痙攣直後に、自律神経の混乱状態により嘔吐することがあり、この際に吐物を気道に吸いこんでしまうと誤嚥性肺炎になってしまいます。
これを防ぐために、痙攣の最中でも、できるだけ身体ごと横向けにしておくほうがよいです。
バイトブロック
発作時は舌を噛まないようにバイトブロックすべきかということをよく質問されますが、これは事故のもとです。
施術者がケガをしたり、バイトブロックがうまく納まらず患者の口腔や顎や歯を傷つける恐れがあるからです。
発作時にできることは、側臥位にしての気道確保であり、それが第一です。
その他に気をつけることとして、意識が戻った際は筋肉が随意に動きにくく、ふらつくのでしばらく安静にしてもらうことと、傾眠状態にあったり逆に興奮したりすることがあるので、周囲から危険物を取り除くといった安全確保を行うことです。
重積発作へと移行する可能性がありますので、発作から一度回復しても、即、医師に診察を依頼してください。
てんかんの自動症
てんかんの発作で、意識がないままに単純な動作を続ける自動症と呼ばれる現象がみられることがあります。
従来「精神運動発作」と呼ばれていた状態です。
複雑部分発作には、「自動症」を伴うことが多いと言われています。
口部自動症:口をもぐもぐしたり飲み込むような動作をするもの
行為自動症:乱れてもいないのに衣類の裾を正したり、用もないのにうろうろ歩いたりするもの
反応性自動症:他人が差し出した手を払いのけるなど、周囲の動きに反応して動作が見られるもの
過激なものでは、衣服を脱ぎ始めたり、部屋の外へ出て行こうとします。
露出狂かストリーキングに間違われますね。
自動症には、大きく分けて2種類あり、新たな動きとして始めるものと、発作直前までやっていた単純な動作をそのまま続けるものです。
歩道を歩行中だとそのまま歩き続けることがあります。
そのような場合、もし赤信号で横断歩道に歩きだしてしまったら大変ですが、実際はそのような状況で交通事故に遭うことは滅多にありません。
それは、ある程度身の危険を察知したり、気を張っているような場面では、発作が起こりにくいからです。
勉強ってつまらないなぁ。楽しみながら勉強できるクイズ形式の勉強法とかがあればなぁ。
そんな薬剤師には、m3.com(エムスリードットコム)の、薬剤師のための「学べる医療クイズ」がおすすめ。