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ナウゼリン坐剤よりも内服の方が効く?
公開. 更新. 投稿者:めまい/難聴/嘔吐.この記事は約2分60秒で読めます.
4,110 ビュー. カテゴリ:ナウゼリン坐剤と飲み薬の用量は違う?
ナウゼリンDSの用量は、1日1.0~2.0mg/kgです。ナウゼリン坐剤の用量は、3才未満の場合、通常ドンペリドンとして1回10mgを1日2~3回直腸内に投与するとなっています。
坐薬のほうが多めの量になっています。
坐薬よりも飲み薬のほうが、低用量で効果を発揮します。
ナウゼリンを経口投与した場合、胃にも直接働いて吐き気を止める作用があるためです。
ナウゼリンは胃に直接働く
ドンベリドンは、中枢神経の化学受容器引き金帯(CTZ)にあるD2受容体のほか、上部消化管のD2受容体(末梢性ドパミン受容体)にも作用して、中枢と末梢の両面から、上部消化管運動の改善効果や制吐効果を発揮する。
経口薬と坐薬の血中濃度時間曲線下面積(AUC)は、いずれも静脈内投与した場合の6分の1程度であり、両剤の生物学的利用率はほぼ同等である。
しかし、ドンペリドンを経口投与した場合は、小腸から吸収される前にも、胃壁などのD2受容体を直接遮断することが知られており、摘出した動物の胃の外壁にドンペリドンを加えると胃の連動が亢進するとのデータもある。
そのため、吸収後の生物学的利用率は同等でも、胃内で溶解する経口薬は、坐薬よりも低用量で効果を発現するのである。
実際、臨床試験では、経口薬が坐薬よりも低用量で薬理効果を発揮することが確認されている。
坐薬のほうが遅く効く?
ナウゼリンの坐薬は、経口薬に比べて制吐効果が発現するまでに時間がかかる。
成人でのデータによると、坐薬の最高血中濃度到達時間は約2時間である。
患児の病態、精神的な要因などが関与するため一概には言えないが、乳幼児でも効果発現までにおよそ30分~1時間はかかると考えられる。
従って、坐薬挿入後1時間程度は絶飲食を原則とし、吐き気が落ち着いてきたら、経口補水液などの水分を少量与えることから始める。
なお、ナウゼリンドライシロップなどの経口薬では、最高血中濃度到達時間は30分程度(成人データ)であり食前投与でも効果を発揮するという特徴がある。
坐薬を使用し、吐き気が治まったら、経口薬に切り替える。
しかし坐薬挿入後、ドライシロップを服用するまでどのくらいの間隔を空けるかについて、明確な根拠のあるデータはない。
そこで、坐薬の血中濃度半減期が約7時間であることからメーカーは再投与までの目安として7~8時間後を推奨している。
ナウゼリンの坐薬とドライシロップの同時併用は、原則として行われない。
ナウゼリンは用量依存性に制吐効果を発揮しない上、併用すると過量投与の懸念があるからである。
特に乳幼児では血液脳関門の発達が未完成であるため、注意が必要となる。
参考書籍:日経DIクイズベストセレクションBASIC篇
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