2024年11月4日更新.2,470記事.

調剤薬局で働く薬剤師のブログ。薬や医療の情報をわかりやすく伝えたいなと。あと、自分の勉強のため。日々の気になったニュース、勉強した内容の備忘録。

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めまいにイソソルビドが効く?

硝酸イソソルビドとイソソルビド

イソバイド(イソソルビド)は浸透圧性利尿剤で、めまい、メニエール病などの病気に使われる薬です。

似た名前の薬に、硝酸イソソルビドという薬があります。
一硝酸イソソルビドのアイトロール、硝酸イソソルビドのニトロール、フランドルなどです。
これらは血管拡張薬として、狭心症などに用いられます。

イソソルビドと硝酸イソソルビド。
名前は似ているけれども、その使用目的は大きく異なります。

イソバイドシロップを飲んでも、胸痛は治まりません。
ニトロールスプレーを使っても、めまいは治りません。逆に血管拡張→血圧低下→めまいを引き起こすかも。

硝酸イソソルビドの血管拡張作用は、ニトロ基から生成される一酸化窒素によるものなので、硝酸が重要な役割を果たす。
イソソルビドだけでは血管拡張作用は示さない。

硝酸が大事で、イソソルビドは別のものでもいい。グリセリンでもいい。
ちなみに硝酸エステルを持った薬を調べると、オキナゾール(硝酸オキシコナゾール)、パラベール(硝酸エコナゾール)があるが、血管広げるのかな。

イソソルビドは利尿作用を持ちますが、イソバイドのイソソルビド含有量は、分包品20mL中イソソルビド14.0gとかなり多い。
ニトロール錠は1錠中硝酸イソソルビド5mgしか含有していない。
この程度の量では、めまいに効くほどの役割を果たさない。のだと思う。

メリスロンは効かない?

眩暈の症状でよく知られているのはメニエール病で、その適応症を持つメリスロン(ベタヒスチンメシル酸塩)が処方されがちです。しかし、メリスロンの発作予防はプラセボ(偽薬)と効果に差が無いという論文もあります。

めまいは、内耳などの異常による末梢性のめまいであったり、血圧の急激な変化による立ちくらみや貧血などが原因であったりすることもある。
脳の血管障害や胃がんや大腸がんなど重大な病気が原因で起きることもあり、鑑別が難し疾患でもある。

メニエール病

メニエール病は、難聴や耳鳴りといった聴覚障害を伴う激しいめまい発作を繰り返す疾患です。

患者は30代後半~40代前半の女性に多く、わが国の有病率は10万人当たり35~48人と推定されている。

めまいの発作時には、7%重曹水や鎮吐薬、抗ヒスタミン薬、内耳循環改善薬が使用される。
聴覚症状に対してステロイドを使用することもある。
病態が内リンパ腫であることに基づき、間欠期には利尿薬治療が基本となる。

急性期のめまいに対する治療

・炭酸ナトリウム注射薬
エビデンスは確立されていないが、メニエール病を含むめまい発作に7%重曹水(メイロン静注7%)が有効とされている。
平衡感覚をつかさどる内耳の耳石に作用して加速刺激感受性を低下させたり、内耳血管を拡張して効果を発揮する。
また、CO2による血管拡張作用や、自律神経系への作用などもあると考えられている。

・鎮吐薬
メニエール病に対しては中枢性鎮吐薬や中枢性・末梢性鎮吐薬が使用される。
前者の中枢性鎮吐薬は、嘔吐中枢や化学受容器引き金帯(CTZ)に対する抑制作用を持つ。
特に抗ヒスタミン薬のジフェンヒドラミンサリチル酸塩・ジプロフィリン配合薬(トラベルミン)は前庭神経と嘔吐中枢に選択的に作用するため、メニエール病治療に汎用されている。
一方、中枢性・末梢性鎮吐薬は、ドパミンD2受容体遮断による消化管運動促進とCTZ抑制作用を示す。
プリンペラン、ナウゼリンなどがこれに分類される。

・循環改善薬(脳循環・代謝改善薬を含む)
内リンパ水腫が内耳血管の循環障害に起因するという仮説に基づいている。
脳動脈血流増加に伴う脳循環改善作用や、内耳の血流増加による内耳障害の改善が期待できる。
メリスロン、セファドール、イソメニール、アデホスコーワ、ユベラ、カリクレインなどが用いられる。

・抗不安薬
メニエール病の発症および増悪の大きな要因とされているストレスを軽減したり、鎮静化を図る目的で、セルシンやワイパックスといった抗不安薬が使用される。

急性期の難聴に対する治療

めまい発作に随伴する難聴に対しては、突発性難聴などの急性感音難聴と同様の治療を行う。

具体的には、デカドロンやプレドニンといった副腎皮質ステロイド、アデホスコーワやナイクリンといった内耳循環改善薬、ビタミンB12、浸透圧利尿薬を使用する。

投与量が多い場合は点滴静注で投与するが、1週間程度治療した後、経口投与に移行する。

なお、ステロイドは難聴の程度やステロイド以外の薬物に対する反応性を考慮した上で使用する。

間欠期の治療

メニエール病の病態が内リンパ水腫であることから、間欠期には膜迷路の水腫軽減を目的とした利尿薬治療が基本となる。

イソバイド、ラシックス、ダイアモックスなどの利尿薬が使用されているが、メニエール病診療ガイドラインでは浸透圧利尿薬であるイソソルビドが推奨されている。

イソソルビドの用法・用量について、ガイドラインには、90~120mL/日を分3で開始し、めまい発作の状況に応じて適宜増減すると記されている。

服用期間は症状や効果により数ヶ月~数年と様々だが、30mL/日まで徐々に減量して発作が起きないことを確認した時点で終了する。

間欠期にはこのほか、内耳循環改善薬、ビタミンB2、抗不安薬などを単独で使用または併用する。

難聴や耳閉感を伴うめまいに、柴苓湯が用いられることもある。

なお、メニエール病に対するアシクロビルなどの抗ウイルス薬の有効性について、ガイドラインは「エビデンスに乏しく推奨されない」としている。

薬剤師

勉強ってつまらないなぁ。楽しみながら勉強できるクイズ形式の勉強法とかがあればなぁ。

先生

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