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小児薬用量の計算方法
公開. 更新. 投稿者:服薬指導/薬歴/検査.この記事は約3分15秒で読めます.
12,660 ビュー. カテゴリ:小児薬用量について
一般に、成人への投与量を基にした小児への薬物投与量は、体表面積の小児/成人比から計算される。
これは以下のような理由による。
生体内の薬物濃度は、薬剤の投与量に比例し、分布容積に反比例する。
分布容積は、体内の細部外液量に相関するが、この細胞外液量は成長によって変化することが知られている。
具体的には、成人では細胞外液量が体重の20%以下だが、新生児では約40%を占め、成長と共にその割合は低下する。
この成長による細胞外液量の変化が、体表面稜の変化とほぼ一致する。
しかも体表面積は、心拍出量、糸球体濾過量、循環血液量などとも相関することから、小児薬用量の換算基準として使用されているのである。
ただ実際には、個々の患者の体表面積を測定することは困難であるため、体重や年齢を使って、体表面積の変化を近似する換算式(Augsbergerの式、Lenartの式など) や、換算表(von Harnackの換算表)が用いられる。
現在でも、成人にしか適応がない薬剤を小児に処方する場合や、至適血中濃度が狭い薬剤では、これらの式や表を使って個々に小児への投与量が決定されている。
小児用製剤が提供されている薬剤では、臨床試験で行った血中濃度測定などの結果から、小児への至適投与量の算出法が決められ、添付文書などに記されている。
具体的には、年齢で区分けされて用量が決められているか、体重lkg当たりの投与量が記されているかのどちらかで、抗菌薬では後者が中心である。
ただ、この体重1kg当たりで小児の投与量を計算する方法を使うと、学童期に入った小児などで、その投与量が成人量を超えてしまうことがある。
こうした投与量の逆転現象は、小児投与量の算出を、単純な体重換算で近似していることによって起きる。
だが、理論的には、細胞外液の絶対量で小児が成人を上回ることはないので、小児に成人量以上を投与する必要性はない。
また、体表面積やAugsbergerの式などで計算すれば、投与量の逆転は起きない。
実際、抗菌薬の中には、「一般感染症において、小児の1日投与量は成人の標準用量を上限とする」と添付文書に明記しているものもある。
15歳以上が成人?
2022年4月に成人年齢が20歳から18歳に引き下げられましたが、医療の世界では15歳からは成人として扱います。
一般に売られている薬の説明にも、「成人(15才以上)」と書かれています。
添付文書でも「成人」という記載がありますが、20歳から18歳に変わったわけではなく、今も昔も15歳以上のことです。。
はっきりとした法律上の定義は無く、色んな分野で12歳までとか18歳までとか違うようですが、「小児科は15歳まで」というのが一般的です。
小児の平均体重
おおよその目安として以下のように覚える。
0ヶ月 3kg
3ヶ月 6kg
6ヶ月 8kg
1歳 9kg
2歳 12kg
3歳 14kg
4歳 16kg
5歳 18kg
6歳 20kg
9歳 30kg
13~14歳 50kg
Augsberger式
小児薬用量={(年齢×4+20)/100}×成人量
Von Harnack表
未熟児・新生児 1/8~1/10
0.5歳 1/5
1歳 1/4
3歳 1/3
7.5歳 1/2
12歳 2/3
体の大きい子には成人量?
用量と年齢と体重の関係。
15歳未満の大柄な子どもに、かぜ薬の大人量を飲ませてもよいか?
いくら体が大きくても、大人の量を飲ませてはならない。
薬には定められた年齢制限がある。
体が大きかろうが小さかろうが、子どもの臓器の発達の程度は大人とは異なり、肝臓などが十分に発達していないことが考えられる。
※医療用医薬品では、医師の判断で体重を基本に服用量が決められている。OTC医薬品は、年齢で投与量が規定されている。
ザイザルは成人も小児も同じ量?
ザイザルの用法は、
成人:通常、成人にはレボセチリジン塩酸塩として1回5mgを1日1回、就寝前に経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減するが、最高投与量は1日10mgとする。
小児:通常、7歳以上15歳未満の小児にはレボセチリジン塩酸塩として、1回2.5mgを1日2回、朝食後及び就寝前に経口投与する。
となっています。
1日用量は成人も小児も5mgです。
小児は1日2回に分割して飲ませるだけです。
ジルテックもそうですね。
成人も小児も1日10mgで、小児は1日2回。
小児は腎機能がまだ未熟だから、という理由らしい。
勉強ってつまらないなぁ。楽しみながら勉強できるクイズ形式の勉強法とかがあればなぁ。
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