2024年11月4日更新.2,470記事.

調剤薬局で働く薬剤師のブログ。薬や医療の情報をわかりやすく伝えたいなと。あと、自分の勉強のため。日々の気になったニュース、勉強した内容の備忘録。

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ザイロリックとフェブリクの違いは?

ザイロリックとフェブリクの違いは?

痛風・高尿酸血症の治療薬に、フェブリク錠(フェブキソスタット)があります。
非プリン型のキサンチンオキシダーゼ阻害薬です。
キサンチンオキシダーゼ阻害薬といえばザイロリック(アロプリノール)。
フェブリクザイロリックでは何が違うのか。

「先行薬であるアロプリノールとの比較臨床試験の結果、フェブキソスタットはアロプリノールより強い尿酸値低下作用を示した。」
ザイロリックよりフェブリクのほうが効くようだ。

メーカーの説明によると、
「本剤は、アロプリノールとは異なる新規作用機序による強力な尿酸生成抑制効果に加え、腎機能低下などにより既存治療薬を使えなかった患者さんにも使用可能であり、様々な病態の患者さんに対する有用性が示されています。」とのこと。

アレ、作用機序違うの?

フェブリクは選択的キサンチンオキシダーゼ阻害薬?

フェブリク(フェブキソスタット)は40年ぶりに新薬として日本で開発された尿酸降下薬です。
フェブキソスタットはアロプリノールと同じキサンチンオキシダーゼを阻害する尿酸生成阻害作用を持つ。
しかし、キサンチンオキシダーゼの基質キサンチンと類似分子構造を有するアロプリノールと異なり、キサンチンとは異なる分子構造(非プリン骨格)の薬剤です。
フェブキソスタットはキサンチンオキシダーゼ以外の核酸代謝酵素を阻害しない、世界初となる選択的キサンチンオキシダーゼ阻害薬です。
アロプリノールは、代謝物(オキシプリノール)が活性体で、腎機能低下時には減量などが必要となりますが、フェブキソスタットは代謝物が活性を示さず、かつ腎臓以外の排泄経路を有していることから軽度~中等症の腎機能低下例においても、用量調節せずに通常用量で有効性と忍容性が認められています。

フェブリクの用法は1日1回の服用。ザイロリックは1日2~3回の服用なので、コンプライアンス的にはフェブリクのほうが良さそうだ。
しかしフェブリクは薬価が高いのが難点。アロプリノールにはジェネリックもある。

アロステリック阻害様式とは?

アロプリノールの構造式は、キサンチンオキシダーゼの基質であるヒポキサンチンと非常によく似た構造をしています。
アロプリノールはキサンチンオキシダーゼの基質となることによって、ヒポキサンチンが酸化して尿酸が生成する過程を阻害します。
アロプリノールはヒポキサンチンと競合しながらキサンチンオキシダーゼによってオキシプリノールへと変換されますが、この代謝されたオキシプリノールも、酸化反応を行う酵素活性中心のモリブドプテリンユニットに対して強く結合することによって、酵素阻害作用を示します。

一方、フェブキソスタットも同じくキサンチンオキシダーゼを阻害しますが、その阻害様式はアロステリック阻害様式(非競合阻害様式)です。
これは、キサンチンオキシダーゼにフェブキソスタットが結合した状態のX線結晶構造解析からも支持されます。
すなわち、フェブキソスタットは酵素活性中心には近いもののモリブドプテリンユニットへは結合せず、活性中心付近に結合することによって、アロステリック阻害様式によって尿酸の生成を阻害します。
酵素の表面から活性中心へは比較的狭い通路が形成されており、ヒポキサンチンやキサンチンがこの通路を通って酵素の活性中心へと向かいますが、フェブキソスタットはこの通路の途中に結合し、ヒポキサンチンやキサンチンが酵素活性部位へ到達するのを阻害します。

フェブリクは副作用が少ない?

既存薬のアロプリノールは、副作用の報告は少ないものの、核酸塩基類似の構造を有していることから、他の核酸代謝酵素に対する阻害作用を示す可能性があります。つまり、プリン塩基の一種であるキサンチンと類似した構造をもつため、他のプリン塩基の代謝にも影響を及ぼす可能性があるということ。

一方、フェブキソスタットは核酸塩基とは大きく異なる構造を有しています。
プリン代謝酵素であるグアニンデアミナーゼ、ヒポキサンチン-グアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ、プリンヌクレオチドホスホリラーゼ等に対して、100μmol/L以下で阻害作用を示さないことが報告されており、核酸代謝阻害に起因する副作用の可能性が低いと考えられます。

フェブリクの特徴は?

高尿酸血症を適応症とする本邦初の薬剤です。
新しい阻害機序を有する、1日1回投与のキサンチンオキシダーゼ阻害剤です。

フェブキソスタットのXO阻害様式は、酵素構造に適合する新しい構造(構造適合型阻害)であり、強力かつ持続的に尿酸の生成を抑制します。
フェブキソスタットはXOが酵素反応を行う狭いポケット(チャネル)内の空間を埋めるように入り込み、酵素の蛋白質(構成するアミノ酸残基)と複数の相互作用(イオン結合、複数の水素結合、疎水相互作用等)により、強固に結合します。

このような阻害機構により、フェブキソスタットはXOの酸化・還元状態に依存せず、酸化型及び還元型XOのどちらにも結合し、阻害作用を示します。
フェブキソスタットはXOの基室となるキサンチンと異なる分子構造(非プリン骨格)を有し、XO以外の他の核酸代謝酵素阻害せず、XOに選択的な阻害活性を示します。

適応は「痛風、高尿酸血症」で、1日1回投与する。1日10mgから投与を始め、維持量は1日40mg、最大1日60mgまで投与できます。
フェブキソスタットは、40年ぶりに新薬として承認された日本発の尿酸降下薬です。

フェブキソスタットは、アロプリノールと同様、キサンチンオキシダーゼ(XOD)を阻害することで尿酸生成を阻害する「尿酸生成抑制薬」です。
フェブキソスタットは、キサンチン(XODの基質)と類似した分子構造を有するアロプリノールとは異なり、XOD以外の核酸代謝酵素を阻害しないのが特徴であり、このことから「選択的XOD阻害薬」とも呼ばれています。

ザイロリックからフェブリクへの切り替え方法は?

フェブリクの用量は、通常、

通常、成人にはフェブキソスタットとして1日10mgより開始し、1日1回経口投与する。その後は血中尿酸値を確認しながら必要に応じて徐々に増量する。維持量は通常1日1回40mgで、患者の状態に応じて適宜増減するが、最大投与量は1日1回60mgとする。

10mgから開始。

尿酸降下薬による治療初期には、血中尿酸値の急激な低下により痛風関節炎(痛風発作)が誘発されることがあるので、本剤の投与は10mg1日1回から開始し、投与開始から2週間以降に20mg1日1回、投与開始から6週間以降に40mg1日1回投与とするなど、徐々に増量すること。

とも書かれている。

尿酸降下薬による治療初期には。。。と書かれているので、今までザイロリックで治療していた患者さんがフェブリクに切り替えるときは、開始用量は10mgからでなくてもいいわけで。

ザイロリックからの切り替えの場合、フェブリク20mgから開始するケースが多いようです。

いきなり維持量の40mgはダメなのか?

フェブリクにどのくらい反応する患者かわからないうちは、20mgから飲ませたほうがいいのだろう。

薬剤師

勉強ってつまらないなぁ。楽しみながら勉強できるクイズ形式の勉強法とかがあればなぁ。

先生

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8 件のコメント

  • 木村之治 のコメント
         

    初めてメールしますが、私は透析患者で痛風持ちです。
    フェブキソスタットという新薬が出たと聞きましたが、
    透析患者にも投薬できるのでしょうか?以前アプルリノールを
    投与したら39度の熱が出て投与をやめました。今、痛風の真最中です。ご返事をお待ちしております。

  • yakuzai のコメント
         

    コメント上での返信で対応させて頂きます。
    透析患者へのフェブリクの投与については、添付文書上では「慎重に投与すること」となっており、「重度の腎機能障害のある患者には使用経験が少なく安全性が確立していない。」となっています。
    記事に記載してあるように、アロプリノールよりも透析患者に対して安心して投与できる薬です。
    ただ投薬できるかどうかは患者さんの状態にもよるかと思いますので、医師と相談してみてください。

  • 木村之治 のコメント
         

    お世話様です。丁重なお答え有難うございます。今、透析中ですがたまたま上記のお返事を頂いているのに、今気が付きました。誠に有難うございます。今日よりフェブリクの投与がはじまりました。しばらく少量で経過を見ますが以前アルプリノールで副作用が出ましたので慎重に行きます。またご連絡致します。有難うございました。

  • 某薬剤師 のコメント
         

    『従来薬は、適応症が痛風と、高尿酸血症を伴う高血圧症となっており、高尿酸血症でも、痛風を発症していない患者や、高血圧の合併症がない患者には処方することができなかった。』…この文章は間違っております。使えますよ。最近、この記事を帝人MRがバラまいていて訴えられたらしい。謝罪文が出ていましたよ。いつまでも間違っているブログをあげていると恥ずかしいですよ。

  • yakuzaic のコメント
         

    コメントありがとうございます。

    不勉強で申し訳ございません。

    帝人のHPに行っても謝罪文を見つけられなかったもので、お教え頂きたいのですが、従来薬(ザイロリックやユリノーム)の適応症が「痛風、高尿酸血症を伴う高血圧症」であることは間違いないと思いますが、どの部分が間違っていたのでしょうか。

  • 西野武士 のコメント
         

    このサイト初めて見ました。フェブリクは「アロステリック阻害様式」は誤りですよ。アロステリック機構は、概略を言えば、「基質と別の部位に結合し、蛋白構造を変化させて活性を変える機構」ですが、フェブリクは基質と同じ部位に結合します。フェブリクについて下に書いてあることと矛盾してます。下の記述は基本的に正しいです。

  • 某医師 のコメント
         

    某薬剤師さんの仰るとおり、アロプリノールを高尿酸血症に適応することは可能となっておりますが、国保や社保の査定を行う先生方は、このような情報を御存知のないロートルの方が多いので、現在でもザイロリックが高尿酸血症で査定されることは現実に起きています。処方される先生は、高尿酸血症・通風の両病名を併記されることをお勧めします。ちなみに、透析患者様でもアロプリノール100mg/日程度の投与は可能であり、実際に投与されることも多いので、主治医と御相談下さい。ただし、痛風発作が起きている最中にザイロリックを内服することは禁忌です。木村様も通風がある状況でザイロリックを内服されたために悪くなったと拝察します。これはフェブリクでも同様のことが起こる可能性がありますので御注意下さい。

  • yakuzaic のコメント
         

    コメントありがとうございます。

    だいぶ時間が経ってしまったので、見られるかわかりませんが、アロステリック阻害様式が誤りというのがイマイチわからなくて。

    フェブリクが結合する部位は、ヒポキサンチンやキサンチンが結合する部位とは近いけど別の部位、だと思うのですが。

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yakuzaic
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