記事
グルファストを飲み忘れたら?
公開. 更新. 投稿者:糖尿病.この記事は約3分59秒で読めます.
12,747 ビュー. カテゴリ:速効型インスリン分泌促進薬の特徴と用法

グルファスト(ミチグリニド)をはじめ、スターシス(ナテグリニド)、ファスティック、シュアポスト(レパグリニド)などの速効型インスリン分泌促進薬は、いずれも食直前に服用することが求められる薬剤です。
・グルファスト:食前5分以内
・ファスティック/スターシス、シュアポスト:食前10分以内
これらの薬剤は、Tmax(血中濃度最大到達時間)が短く、作用時間も短いという特徴があり、食後高血糖の改善に特化しています。
飲み忘れた場合の対応
グルファストのTmaxは約15〜17分、半減期は1.2時間と非常に短時間です。そのため、服用タイミングを誤ると効果が得られない、あるいは低血糖のリスクが高まるという課題があります。
飲み忘れた場合の原則としては「食事中や食後に気づいた場合は服用しない」ほうがよいでしょう。
食後の血糖上昇が終わったタイミングで服用すると、不必要なインスリン分泌が起きて低血糖のリスクが高くなります。したがって、速効型インスリン分泌促進薬では、飲み忘れたらスキップするが基本です。
食事中に気づいた場合の服薬については、医師によっては「気づいた時点で飲んでよい」とする医師もいるようですが、ほぼ食事終了の時点である可能性もあり、あいまいな判断がされる可能性も考えると食事中に気づいた場合もスキップしてもらったほうがよいでしょう。
また、一部の医師によっては、シュアポストを”毎食後”に処方している例もあり、高齢者など飲み忘れが多い患者に対しては安全性を重視して服用タイミングを後ろにずらすこともあります。ただし、これは例外的対応であり、一般には推奨されません。
SU薬であれば食後服用も比較的安全ですが、速効型のグルファストでは避けるべきです。
グルベス配合錠について
グルファストとボグリボース(ベイスン)を配合したグルベス配合錠も、毎食直前に服用が原則です。
ボグリボースはα-グルコシダーゼ阻害薬であり、糖の消化吸収を遅らせる作用を持ち、速効型のインスリン分泌促進と相乗効果があります。こちらも食直前〜食事開始時が最も効果的です。
ボグリボースなどのαグルコシダーゼ阻害薬の用法は毎食直前のみで、具体的な時間(~分前)という記載はありませんが、グルベス配合錠には、グルファスト同様に「本剤の投与は毎食直前(5分以内)とすること。」という記載がある。
食前と食直前の違いとは?
医薬品の服用指示における「食前」と「食直前」は、似ているようで意味合いが異なります。
「食前」は一般的に食事の30分ほど前を指すのに対し、「食直前」は食事のすぐ直前(およそ5〜10分以内)のタイミングを意味します。
食前の薬を食直前に飲んでも問題ないケースが多いが、食直前の薬を食事30分前に飲んでしまうと問題がある。
たとえば、グルファストなどの速効型インスリン分泌促進薬では、「毎食直前5分以内」の服用が推奨されています。これは、薬が服用後すぐに血中濃度を上げ、食事とタイミングを合わせてインスリンを分泌させる必要があるためです。食前30分に服用してしまうと、食事開始前に血糖が下がってしまい、低血糖のリスクが高まります。
一方、α-グルコシダーゼ阻害薬(ベイスンなど)は食直前〜食中でも効果を発揮しやすいため、多少のズレは許容されます。
患者には「早めに飲んでおく」のではなく、“これから食べる”その瞬間に飲むことが重要であると指導する必要があります。食卓に薬を置くなど、行動と結びつけた習慣化が効果的です。
指導のポイント
・「食前」と「食直前」は異なることを明確に指導
・飲み忘れたら、食事中に気づけば即服用、それ以降はスキップ
・“先に飲んでおく”はNG! 食事と同時に効果を発揮させるため、直前が必須
・食事の準備と服用タイミングの習慣化(例:食卓に薬を置くなど)
グルファストを忘れたら、食事中に気づいた場合は即服用、それ以外はスキップ。
「ちょっと早めに飲んでおこう」はリスクを高めるためNGです。患者の生活リズムに合わせて、服用タイミングをいかに習慣化できるかが重要な指導ポイントとなります。
1 件のコメント
スターシスを服用中の方が、認知で食後に内服していル事が時々あったのですが、ナテグリニドはなぜ食後に内服しない方がいいのか気になっていたので大変勉強になりました!