2024年11月4日更新.2,470記事.

調剤薬局で働く薬剤師のブログ。薬や医療の情報をわかりやすく伝えたいなと。あと、自分の勉強のため。日々の気になったニュース、勉強した内容の備忘録。

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ドグマチールは胃薬?

ドグマチールは何の薬?

薬剤師

ドグマチールって精神病の薬じゃないの?

ドグマチールと聞くと、安定剤というイメージ。
うつ病や統合失調症に適応がある抗精神病薬。

しかし、胃薬としての適応も有しており、医者から「胃薬を出す」としか聞いていない患者も多い。
そのため、投薬時に精神系の薬であることをにおわすと不信感を持たれることもある。
ストレスの無い人間はいないし、消化器疾患の不定愁訴はストレスによるものが多いのだけれど。

ドグマチールの効能効果と用量は、

胃・十二指腸潰瘍
スルピリドとして、通常成人1日150mgを3回に分割経口投与する。
なお症状により適宜増減する。
統合失調症
スルピリドとして、通常成人1日300~600mgを分割経口投与する。なお年齢、症状により適宜増減するが、1日1,200mgまで増量することができる。
うつ病・うつ状態
スルピリドとして、通常成人1日150~300mgを分割経口投与する。なお年齢、症状により適宜増減するが、1日600mgまで増量することができる。

となっている。
胃粘膜血流増加作用による消化性潰瘍治癒促進作用。

脳内の神経伝達物質ノルアドレナリンの放出を促進する作用があるといわれ、うつの症状を改善。

抗ドパミン作用を有するので、統合失調症にも効く。

バラエティに富んだ作用機序ですね。

しかし、消化器と心の病気は密接に関係しているので不思議はありません。
ストレスから来る消化器症状によく使われます。

スルピリドの特徴

スルピリドは非常に不思議な薬剤です。
効能・適応としては、「胃・十二指腸潰瘍」「うつ病・うつ状態」「統合失調症」です。

添付文書ではその効能によって1日あたりの治療用量が分けられています。
胃・十二指腸潰瘍には150mgまで、うつ病・うつ状態には150~300mgとし最高600mg、統合失調症には300~600mgで最高1200mgまでとなっており、低用量と高用量では 薬剤の効果が違うことがわかります。

スルピリドが他の抗精神病薬と異なった特徴を示す理由は、ドーパミン受容体のすべてに親和性があるわけではなく、親和性が高い部位のドーパミン受容体にだけ反応するためと考えられています。

胃・十二指腸潰瘍の改善を示す理由は、消化管のドーパミン受容体をスルピリドが遮断する結果、アセチルコリンの分泌が促進され、消化管運動が亢進し、食物の胃内貯留時間が短縮するため、胃潰瘍部分へのダメージを減少させるためだといいます。
また、視床下部や 下垂体周辺のドーパミン受容体をスルピリドがマイルドに抑えることで興奮を鎮め、胃や十二 指腸の血流障害を改善しているといいます(他の抗精神病薬ではそれ以外の神経伝達物質受容体への親和性から、潰瘍改善効果はなく、錐体外路症状ばかりが出てしまいます。スルピリドのマイルドな興奮抑制がポイントなのです)。

高プロラクチン皿症という副作用 も、スルピリドが下垂体に作用しやすいためと考えられています。
逆に抗精神病薬の副作用で一番出現率の高い錐体外路症状の頻度がそれほど高くないのは、黒質線条体周辺には親和性が高くないためであろうと思われます。

スルピリドはどんな症例に処方しているか

ストレス障害が前景にあり抑うつ症状があるような症例には好適と考えられます。
特に胃弱ですぐに食欲不振などの消化器症状が出やすいタイプには非常に効果は高いようです。
抗潰瘍薬としての効果があり、内科でもよく処方されることを説明に加えると患者さんにとっては服用の抵抗が減るようです。

また、陽性症状が激しくない統合失調症で、第一世代の抗精神病薬では過鎮静や錐体外路症状が著しく出現したような場合や、他の抗精神病薬で安定はしているものの少し抑うつ気分を訴えるケースにスルピリドを用いることもあります。ただ、先に述べた高プロラクチン血症の発現には気をつけるようにします。

ベンザミド系

スルピリド(ドグマチール)は抗潰瘍薬であるが、低用量(50〜150mg)では抗うつ作用、高用量(300mg以上)で抗精神病作用が認められる。
副作用として脳内移行が悪いため高プロラクチン血症が出やすく、乳汁分泌、月経異常などに注意する。
高齢者ではEPSが出やすい。

ストレスと胃潰瘍

ストレスで胃が痛くなるのはなぜか?

ストレスは網様系・視床下部に働き、その結果、迷走神経が刺激されて胃液の分泌が促進されます。
また、ガストリンの分泌も促進されるので、胃液の分泌はさらに亢進します。
それに加え、ストレスは胃粘膜の防御因子、つまり胃粘膜表面の粘液分泌や血流を減少させます。

ストレス→後部視床下部からコリン作動性・アドレナリン作動性の神経ホルモンの放出→脳下垂体前葉からACTH(副腎皮質刺激ホルモン)の分泌促進→副腎皮質ホルモンの放出→胃粘膜組織の抵抗性減少

胃潰瘍の原因の1つとしてストレスが考えられます。

薬剤師

勉強ってつまらないなぁ。楽しみながら勉強できるクイズ形式の勉強法とかがあればなぁ。

先生

そんな薬剤師には、m3.com(エムスリードットコム)の、薬剤師のための「学べる医療クイズ」がおすすめ。

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