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ジスキネジアの原因は抗精神病薬?抗パーキンソン病薬?
公開. 更新. 投稿者:副作用/薬害.この記事は約2分5秒で読めます.
4,182 ビュー. カテゴリ:副作用ジスキネジア
ジスキネジアという不随意運動(体が勝手に動く)、薬の副作用があります。
原因薬剤として、抗精神病薬や抗パーキンソン病薬によるものがあります。
抗精神病薬の作用は抗ドパミン作用。
抗パーキンソン病薬の作用はドパミン作用増強。
逆の働きをもつ薬が同じ副作用をもたらす。
どういうことでしょうか?
薬剤性ジスキネジアの発症機序の説明として、ドパミン受容体の感受性の亢進という理由で述べられることが多い。
ドパミン受容体を刺激し続けても、刺激を抑えすぎても、感受性が高まることがあるという説明。
しかしはっきりした原因は不明である。
遅発性ジスキネジア
遅発性ジスキネジアの発現機序としては、黒質線条体におけるドーパミン受容体の感受性の亢進が推定されています。
これはドーパミンD2受容体が長期に遮断されることにより、受容体が合成速度を速め、受容体の数を増やそうとする現象です(アップレギュレーションといいます)。
これは薬物によってドーパミン受容体が遮断されるのを克服しようとするという、神経細胞のかなわぬ努力の結果と考えられます。
この結果、ドーパミン結合による神経伝達が正常には行われないこととなり、EPSが発現するのです。
最近ではフリーラジカル(活性酸素)が神経損傷を起こし、遅発性ジスキネジアが起こるという説があり、フリーラジカルの生成を抑えるビタミンEが治療に用いられることがあります。
しかし、不可逆的で再生不能であることが多く、一度遅発性ジスキネジアが起こると治りにくいのが現実なので、とてもやっかいなEPSです。
外国では遅発性ジスキネジアになると、患者さんや家族から訴訟を起こされる事態に発展することが多いと聞きます。
遅発性ジスキネジアに対する治療法は?
EPSの発現率が少なくなった非定型抗精神病薬では、遅発性ジスキネジアの発現率も明らかに低くなっており、さらには定型抗精神病薬によって発現した遅発性ジスキネジアに対する治療効果も有することが明らかになりつつあるようです。
抗精神病薬の減量、中断によって、遅発性ジスキネジアと同様の不随意運動が出現することがあり、これらが数日から数週間で消失する場合には離脱性ジスキネジアとよばれます。
遅発性ジスキネジアに対する確実な予防法や治療法は現在のところありません。
対症療法としてはビタミンE、バルプロ酸ナトリウムなどのGABA作動薬、ベラパミルなどのカルシウム拮抗薬、プロプラノロールなどのβ受容体遮断薬、クロナゼパムなどのベンゾジアゼピン系薬剤、リチウム製剤などが考えられます。
しかし一定の有効性を示す報告があるものの確実ではありません。
そのため、現状では非定型抗精神病薬を可能な限りの低用量で処方することが重要です。
クエチアピンやオランザピン、アリピプラゾールはいずれも遅発性ジスキネジアを引き起こしにくいと考えられており、リスペリドンも低用量であれば同様と考えられています。
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