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ウゴービ皮下注とオゼンピック皮下注の違い
公開. 更新. 投稿者:糖尿病.この記事は約3分36秒で読めます.
6,588 ビュー. カテゴリ:肥満症薬ウゴービ皮下注
ウゴービとオゼンピックは同じ薬?
ウゴービ皮下注という、GLP-1受容体作動薬が2023年11月22日に薬価収載される。
GLP-1受容体作動薬といえば、糖尿病に使われる薬である。
一般名 | 商品名 | 用法 |
---|---|---|
リラグルチド | ビクトーザ皮下注18mg | 1日1回朝又は夕 |
エキセナチド | バイエッタ皮下注5µg/10µgペン300 | 1日2回朝夕食前 |
リキシセナチド | リキスミア皮下注300μg | 1日1回朝食前 |
デュラグルチド | トルリシティ皮下注0.75mgアテオス | 週に1回 |
セマグルチド | オゼンピック皮下注0.25mgSD/0.5mgSD/1.0mgSD/2mg | 週1回 |
リキシセナチド/インスリングラルギン | ソリクア配合注ソロスター | 1日1回朝食前 |
リラグルチド/インスリンデグルデク | ゾルトファイ配合注フレックスタッチ | 1日1回 |
チルゼパチド | マンジャロ皮下注2.5mg/5mg/7.5mg/10mg/12.5mg/15mgアテオス | 週1回 |
しかし、体重減少効果もあるので、抗肥満薬として適応外として使われるケースもあった。
その影響もあって、GLP-1受容体作動薬が出荷調整、入手困難となり、厚生労働省からも適正使用の呼びかけが行われた。
GLP-1受容体作動薬の在庫逼迫に伴う協力依頼(厚生労働省)|一般社団法人日本糖尿病学会 (jds.or.jp)
このウゴービ皮下注の発売によって、肥満症に使われていたGLP-1受容体作動薬の流通状況が改善されるのか、はたまたGLP-1受容体作動薬が肥満症に効くという評判がますます広まって流通状況がさらに悪化するのか。
ウゴービ皮下注(セマグルチド)=オゼンピック皮下注(セマグルチド)なので、出荷調整中のオゼンピック作れよ、という気持ちもありますが、商売なので仕方ない。
オゼンピックとウゴービ
ウゴービの成分はセマグルチドで、オゼンピックと同じ成分です。さらにリベルサスとも同じ成分です。
オゼンピック皮下注の規格は、0.25mgSD/0.5mgSD/1.0mgSDの3規格でしたが、ウゴービ皮下注の規格は、0.25mgSD/0.5mgSD/1.0mgSD/1.7mgSD/2.4mgSDの5規格です。
肥満のある糖尿病患者ならオゼンピック1.0㎎まで上げたあとウゴービ1.7㎎に増やすという選択もあるわけだ。肥満があれば初めからウゴービだろうけど。オゼンピック手に入らないし。
しかし、ウゴービも発売してすぐ出荷調整という事態も、マンジャロ同様に想定しなければならない。
ちなみにSDはシングルドーズの略、単回投与という意味です。
サノレックスとウゴービ
抗肥満薬といえばサノレックス。しかし、リスキーな薬なのであまり使われない。精神科の処方で見たことがあるくらい。14日の処方制限もあるので処方しにくい薬だ。
サノレックスの警告には、「本剤の主要な薬理学的特性はアンフェタミン類と類似しており、本剤を投与する際は、依存性について留意すること。また、海外においては食欲抑制剤の多くで数週間以内に薬物耐性がみられるとの報告がある。」との記載がある。覚醒剤と似たような働きで消耗するような痩せ方なのだろう。
サノレックスの使用条件として「肥満度が+70%以上又はBMIが35以上」とある。BMIはわかるけど、肥満度はよくわからない。自分の場合、BMIが35超える体重になっても肥満度は70%いかなかったので、BMIを主な判定基準として考えてよいかと思う。
ウゴービの場合は、以下の条件がある。
・BMIが27kg/m2以上であり、2つ以上の肥満に関連する健康障害を有する
・BMIが35kg/m2以上
BMI35は外見的にわかりやすい肥満かと思うが、BMI27は隠れ肥満タイプでわかりにくい人もいるだろう。「2つ以上の肥満に関連する健康障害」についても生活習慣病と運動器疾患とかでいけるので、ハードルは低めだ。
そもそも糖尿病が原疾患としてあれば、オゼンピックの延長線上で使う感覚なので、使いやすいだろう。
処方ハードルが低い→処方過多→出荷調整→入手困難→調剤拒否→薬剤師バッシングあーネガティブスパイラル。
また、最近は、出荷調整→過剰在庫→保管スペース圧迫により、冷蔵庫内もいっぱいいっぱいなので、保冷品の新発売はもうやめて。
勉強ってつまらないなぁ。楽しみながら勉強できるクイズ形式の勉強法とかがあればなぁ。
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