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HIF-PH阻害薬と鉄剤の併用
公開. 更新. 投稿者:血液/貧血/白血病.この記事は約1分3秒で読めます.
8,086 ビュー. カテゴリ:HIF-PH阻害薬と鉄の相互作用
ヒフPH阻害薬と鉄剤はいっしょに飲んじゃダメ?
腎性貧血治療薬であるHIF-PH(ヒフ‐ピーエイチ)阻害薬は、貧血の薬であるため、鉄剤を併用している患者が多い。
添付文書にも「造血には鉄が必要であることから、鉄欠乏時には鉄剤の投与を行うこと。」と記載されており、鉄剤の併用が推奨されている。
しかし多くのHIF-PH阻害薬は、鉄剤などのミネラルと相互作用を起こすことが知られており、「多価陽イオンを含有する経口薬剤(カルシウム、鉄、マグネシウム、アルミニウム等を含む製剤)」や「リン結合性ポリマー(セベラマー塩酸塩、ビキサロマー)」と併用注意となっている。
そのため、以下のように鉄剤との併用時には服用時点をずらすことが求められている。
医薬品名 | 一般名 | 鉄剤との併用について |
---|---|---|
エナロイ | エナロデュスタット | 本剤と併用した場合,本剤の作用が減弱するおそれがあるため,併用する場合は,投与後3時間又は投与前1時間以上間隔をあけて本剤を投与すること。 |
バフセオ | バダデュスタット | 本剤と併用した場合、本剤の作用が減弱するおそれがあるため、併用する場合は、本剤の服用前後2時間以上あけて投与すること。 |
ダーブロック | ダプロデュスタット | 記載なし |
マスーレッド | モリデュスタット | 本剤の吸収が低下し、効果が減弱するおそれがあるため、併用する場合は、前後1時間以上間隔をあけて本剤を投与すること。 |
エベレンゾ | ロキサデュスタット | 本剤と併用した場合、本剤の作用が減弱するおそれがあるため、併用する場合は、前後1時間以上間隔をあけて本剤を服用すること。 |
ダーブロック(ダプロデュスタット)だけは、鉄剤やリン吸着薬と干渉することがないので、鉄剤と併用注意に挙げられておらず、服用時点をずらす必要がなく便利である。
ただし、併用によりどの程度HIF-PH阻害薬の働きが落ちるのかは不透明な部分もあるし、服用時点をずらすことによって鉄剤を空腹時に飲むような指導になって胃腸障害が出るのもダメだし、「併用注意」であるので疑義照会して医師の意見を求めるのが妥当だろう。
鉄剤以上に、汎用されている酸化マグネシウムとの併用についても注意する必要がある。
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