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妊婦はビタミンAを摂っちゃダメ?過剰摂取と不足のリスク
公開. 更新. 投稿者:妊娠/授乳.この記事は約4分58秒で読めます.
3,339 ビュー. カテゴリ:ビタミンAと妊娠の関係

ビタミンA(レチノール)は、皮膚や粘膜の健康維持、視力、成長や骨の発達に欠かせない脂溶性ビタミンです。体内に蓄積されやすい特徴を持つため、妊婦さんにとっては不足しても、過剰になっても問題が生じる点に注意が必要です。
特に妊娠初期にビタミンAを過剰に摂取すると、胎児に先天異常が起こるリスクが高まることが知られています。
ビタミンAの摂取量
妊娠中のビタミンAの多量服用が奇形の発現率を高めることが分かっています。
大量投与による動物実験で催奇形性が報告されており、ヒトにおいても妊娠初期の過剰摂取により頭蓋などの先天奇形の報告がありますので、妊婦がビタミンAを接種するときは、過剰摂取にならないよう注意しなければなりません。
どの程度の量からかは必ずしもはっきりしませんが、1995年に1日10,000単位以上とする報告がされ論議をよびました。
高めの報告としては、1日40,000単位以上とする研究もあります。食べ物のなかにもビタミンAがたくさん含まれるものがあります。とくに、レバーは一食分でも10000単位を超えてしまいます。妊婦初期の3ヶ月間くらいは、レバーだけは控えめにしたほうがよいでしょう。
WHOは、妊娠可能な女性のサプリメントによるビタミンA摂取量は1日10000IU、1週間25000IUを超えないこととしています。
日本では、妊婦のビタミンAの所要量は1日2000IU、許容上限摂取量は1日5000IUとなっています。
ビタミンA過剰症
急性では頭痛・めまい・脳脊髄液圧上昇、慢性では頭蓋内圧亢進・皮膚の落屑・脱毛・筋肉痛などが知られています。
妊婦の場合、妊娠初期の過剰摂取で胎児奇形のリスクが最も懸念されます。
ビタミンAの過剰症リスクは、特定の1日の摂取量より、蓄積量に関連します。
つまり摂取したビタミンAは肝臓で貯蔵されるため,、習慣的に過剰量を摂取しない限り過剰症を心配する必要はありません。
過剰症が起こりやすい状況は、通常の食事に加えてサプリメントを継続摂取した条件と言えます。
妊婦がレバーを1回摂取すると耐容上限量を超えてしまうことがあり、胎児への影響を心配される人がいます。
しかし、毎日レバーを継続して食べない限りそのような心配はありません。
ビタミンA不足も問題
一方で、ビタミンA不足は夜盲症や皮膚・粘膜の障害につながり、胎児の発達にも悪影響を及ぼします。
ビタミンAを多く含む食品:
・レバー、うなぎ、卵、牛乳、バター
・緑黄色野菜(にんじん、かぼちゃ、パセリ)
・果物(マンゴー、あんずなど)
βカロテンとの違い
黄色やオレンジ色の野菜・果物に含まれるβカロテンは、体内で必要に応じてビタミンAに変換されます。
特徴として:
・過剰に摂っても基本的に害はなく、皮膚が黄色くなる程度
・抗酸化作用を持ち、がんや循環器疾患予防の可能性が注目されてきた
ただし、サプリメントとして大量摂取した場合(例:1日30mg程度)、かえって有害になる可能性があるという報告もあります。通常の食事で摂る分には安全と考えられます。
ビタミンAの単位
ビタミンAは、レチノール当量(μgRE)として表されます。少し前までビタミンAはビタミンA効力(単位はIU;アイユー)で表されていましたが、ビタミンA作用をする量であるレチノール当量(μg)で表されるようになりました。「ビタミンA効力 1IU=レチノール当量0.3μg」に相当します。
妊婦とチョコラA
医療用製剤のチョコラA錠は1錠に10,000IUのビタミンAを含みます。
添付文書では、
「妊娠3か月以内または妊娠を希望する婦人」への5,000IU/日以上の投与は禁忌
と明記されています。
これは、妊娠初期に1日1万IU以上の摂取で胎児奇形が増えた海外報告に基づいています。
一方で、ビタミンA欠乏もリスクとなるため、必要以上に避けるのではなく、適量を守ることが大切です。
妊婦の貧血とレバー
貧血予防に鉄分の多く含まれた食物を摂ります。
鉄分の多く含まれた食品でイメージするのが、ほうれん草とレバー。
しかし、妊婦がレバーを摂るのは注意したほうがいい。
ビタミンAはレバーややつめうなぎなどに多く含まれるビタミンで、妊娠初期の過剰摂取による先天奇形の報告があります。
したがって、「貧血予防のため」といって毎日レバーを食べるようなことは避けたほうがよいでしょう。
またサプリメントなどを摂取する場合も、食品中のビタミンAとの総摂取量に注意する必要があります。
日本では、妊婦のビタミンAの所要量は1日2000IU、許容上限摂取量は1日5000IUとなっています。
鉄分を多く含むレバーは、妊婦の貧血予防として勧められることがあります。
しかし、レバーにはビタミンAが非常に多く含まれるため、妊娠初期に毎日食べることは避けるべきです。
サプリメントを併用する場合は、食品からの摂取分も合わせて総量を管理しましょう。
まとめ
・妊娠初期にビタミンAを過剰摂取すると胎児奇形のリスクがある
・日本での妊婦の摂取基準は所要量2000IU/上限5000IU/日
・レバーやサプリメントの過剰摂取に注意
・βカロテンは過剰症を起こしにくいため、野菜や果物から安心して摂れる
・「摂ってはいけない」わけではなく、不足も過剰も避けてバランスを意識することが大切
結論:妊婦はビタミンAを完全に避ける必要はなく、「サプリメントと食品を合わせて上限を超えないように管理する」ことが最も重要です。