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調剤ミスは注意不足のせい?
公開. 更新. 投稿者:調剤/調剤過誤.この記事は約3分9秒で読めます.
3,516 ビュー. カテゴリ:調剤ミスを減らす方法
調剤ミスの原因は何?
調剤ミスに限らず、ミスを起こした原因として、よく「注意不足」が挙げられます。
自分はこの「注意不足」という言葉が嫌いです。
誰もミスしたくてしているわけではなく、仕事中に注意をしていない人などいない。
睡眠不足や焦りなどによって、注意力が散漫になってしまうことはありますが、作業者の不注意に原因を押し付けても何も解決しない。
また、ミスの原因を「集中力が足りない」といった個人の能力不足のせいにすることも違うだろう。そうやって薬剤師としての適性がないと追い詰められ、辞めていく薬剤師もいる。
そのようなあいまいな指摘をするのではなく、「どこに注意を集中すべきなのか」ということを共に考える必要があります。
ミスが減らないのは能力ではなく「脳」のせい。“自分のタイプ”、わかれば失敗は防げます – STUDY HACKER|これからの学びを考える、勉強法のハッキングメディア
自分個人としては、テンパリ型のミスを起こしやすいので、マルチタスクにしないように、調剤以外の業務は、メモをして後に置いておいて、今目の前にある調剤に集中するシングルタスク型のモードにします。
薬局長になると、他の従業員からいろいろと業務を回され、マルチタスクこなすように求められますが、「ポンコツなんで1つの仕事しかできません」というオーラをなるべく出すようにしている。
機能しないダブルチェック
ヒューマンエラーを減らす対策としてよく行われているダブルチェック。
正直あまり機能しないと思っています。
倉庫現場のプロが「ダブルチェックは機能しない」と語るワケ | 富裕層向け資産防衛メディア | 幻冬舎ゴールドオンライン (gentosha-go.com)
投薬前に「ダブルチェックお願いします」と言われれば、一応目を通しますが、一度確認したものは「たぶん合ってるだろう」という思い込みで見てしまうので、見逃しの可能性が高いし、基本的に鑑査については「投薬者の責任」だと思っているので、無責任なチェック体制になってしまう。
仕事で数字のミスを減らしたいならクロスチェックを。ダブルチェックとの大きな違い。 | i-Bizman (i-bizman.com)
どちらかというと、こちらのクロスチェック的アプローチのほうが有効だと思う。
漠然と見ない
鑑査をする際に、重要なのは「鑑査をする」ということである。
当たり前のことを言ってしまったが、鑑査をしている際にただ漠然と見ていることがよくある。
「この患者さんは何の病気なんだろう」「〇〇科の〇〇先生の処方だな」「この用法用量で合っているのかな」「投薬時に何を聞こう」「次回まで処方日数足りるかな」
こういうことをチェックするのも確かに「鑑査」に含まれるが、もっと調剤ミスに特化した脳でチェックする時間を持つ必要がある。
つまり「処方箋通りの薬が出ているか」「処方箋通りの入力がされているか」ということの確認をする。
薬剤師の仕事は「医師の処方通りの薬を出すだけ」と揶揄されることもあるが、だからといってそこを軽んじてはいけないし、そこが薬剤師の最重要任務であることに変わりはない。
薬品名、規格、剤形、メーカー、数量が正しいか?
一人薬剤師だと、「薬を集めた際に確認しているから間違いはないだろう」と端折りがちだが、自分を疑うことが必要。
自分流では、「処方箋を見て、その通りの医薬品が出ているか」「医薬品を見て、その通りの処方で間違いないか」という2通りのアプローチで確認している。
調剤・鑑査・投薬のスピードが評価されがちな薬剤師業務の中で、この「鑑査」の時間は特に、周りの目を気にせずに冷静になることが必要な時間だと思う。
「薬品名・規格・剤形・メーカー・数量」ここに注意を集中する。
よくある間違い
印字ミスや会計ミス、紙の渡し間違い等、薬剤師的に調剤ミスという認識が薄いものも、よく起こしてしまいがちなので注意する必要がある。
一包化の「名前」「用法」の印字ミス。
違う患者の領収書で会計。
違う患者の薬情を渡す。
違う患者のお薬手帳を渡す。
これらも立派な調剤ミスであり、個人情報漏洩に当たるものもあるので、特に患者の名前はよく確認する。
耳の遠いおじいちゃんが別人の薬を持って行ったという笑えない話もあります。
勉強ってつまらないなぁ。楽しみながら勉強できるクイズ形式の勉強法とかがあればなぁ。
そんな薬剤師には、m3.com(エムスリードットコム)の、薬剤師のための「学べる医療クイズ」がおすすめ。