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動物性食品の鉄分の方が植物性食品の鉄分より吸収されやすい?
公開. 更新. 投稿者:血液/貧血/白血病.この記事は約1分30秒で読めます.
3,830 ビュー. カテゴリ:ヘム鉄と非ヘム鉄
食物に含まれる鉄には2種類あり、肉や魚などの動物性食品に含まれているヘム鉄と、野菜や海藻などの植物性食品に含まれている非ヘム鉄があります。
鉄のほとんどは小腸上部の粘膜から吸収されますが、吸収率はヘム鉄のほうが断然高く、ヘム鉄で10~20%、非ヘム鉄で1~6%と、ヘム鉄のほうが数倍も吸収されやすいのです。
ヘム鉄は鉄原子と有機化合物が結びついた有機鉄の1つです。
構造は二価鉄という形をとっており、溶けやすくイオン化しやすいのが特徴です。
そのためそのまま小腸細胞から消化吸収されていきます。
ヘム鉄の仲間に赤血球に含まれるヘモグロビンと、筋肉色素タンパク質のミオグロビンという物質があります。
ヘモグロビンは酸素と結びついて全身に酸素を運ぶ役割をしていますが、ミオグロビンも酸素と結びついて筋肉組織の中で酸素を蓄える働きをしています。
赤身の肉や魚に鉄分が多いのは、ヘム鉄を含むミオグロビンが豊富なためです。
非ヘム鉄は三価鉄という形をとっており、これはサビや無機鉄の鉄イオンの仲間で消化吸収されにくい構造になっています。
そのため、消化管内で動物性タンパク質に含まれる消化酵素やビタミンC、胃酸などの還元物質によりヘム鉄(二価鉄)になることで初めて吸収されます。
日本人が摂取する多くが非ヘム鉄といわれています。
ヘム鉄は過剰摂取の心配がない?
医薬品として使用されている鉄剤はすべて非ヘム鉄です。
非ヘム鉄は腸管から腸管から吸収される際に食物繊維やタンニンなどの吸収阻害を受けたり、むき出しのまま吸収された鉄が胃壁や腸管を荒らすといった作用があったりしますが、ヘム鉄は鉄ポルフィリン複合体に囲まれているため、胃壁や腸壁を荒らさず、食物繊維やタンニンなどの吸収阻害を受けずに吸収されます。
ヘム鉄はヘム鉄分解酵素(ヘムオキシゲナーゼ)で吸収量を調節しているため、鉄の過剰摂取の心配がありません。
ヘム鉄 | 非ヘム鉄 |
---|---|
豚レバー | ひじき |
鶏レバー | 焼き海苔 |
しじみ | 切り干し大根 |
あさり | 油揚げ |
牛モモ赤身 | 小松菜 |
かつお | ほうれん草 |
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