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三叉神経痛にNSAIDsは効かない?
公開. 更新. 投稿者:痛み/鎮痛薬.この記事は約3分24秒で読めます.
3,596 ビュー. カテゴリ:三叉神経痛と消炎鎮痛薬
三叉神経痛には、消炎鎮痛薬(NSAID)は効果がないといわれる。
三叉神経痛の薬物療法においてはNSAIDは無効で、抗けいれん薬が有効である。第一選択薬はカルバマゼピンで(保険適応)、その他にフェニトイン、バルプロ酸ナトリウム、クロナゼパムなどが三叉神経脊髄路内の興奮性シナプス伝達を抑制し、疼痛発作を緩解させる目的で用いられる。
作用機序は明確でないが、①Naチャネルの遮断による末梢および中枢の発作性異常放電や異常興奮伝導の抑制、②ノルアドレナリン再取り込み阻害により下降性疼痛抑制系を賦活し、脊髄後角での発痛関連物質の遊離・放出の抑制、③抑制系神経伝達物質であるγ-アミノ酪酸(GABA)合成酵素賦活、分解酵素抑制によるGABA抑制作用の増強、などが考えられている。
その他中枢性筋弛緩薬のバクロフェン等が用いられる。
坐骨神経痛は神経の圧迫部位で炎症が起きているので、NSAIDsも効く。
三叉神経痛は、神経の絶縁不良が起きるため、電気信号の乱れを生じるので、抗炎症薬は無効。
三叉神経痛について
三叉神経痛は、顔面や口腔内の感覚をつかさどる三叉神経が何らかの要因で圧迫を受けたり炎症を起こすことで、激しい痛みが生じる疾患で、俗に顔面神経痛と呼ばれる。
三叉神経痛には、近接する血管が神経に触れることなどが原因となる突発性のものと、腫瘍などが神経を圧迫して起きる持続性のものがあり、一般に三叉神経痛という場合には、前者の突発性三叉神経痛を指すことが多い。
50~60歳代によく見られ、女性にやや多い傾向がある。
三叉神経痛における痛みは、⑴数秒から1分程度の一過性である、⑵顔の片側に生じることがほとんどである、⑶激痛の引き金となる個所(トリガーポイント)がある、などの特徴がある。
初めは虫歯程度の痛みでも、後に我慢できないほどの激痛となり、「電気が走る」「火箸でえぐられる」などの言葉で表現されるようになる。かき氷を食べた時に頭痛がするのも、のどの奥にある三叉神経が刺激を受けるからである。
歯磨きや洗面、ひげそり、咀嚼などの日常動作をきっかけに痛みが生じるため、QOLは著しく低下する。
三叉神経は、生命維持機能を有する脳幹から、眼神経、上顎神経、下顎神経の三つに枝分かれしているが、枝分かれをして間もない部分には神経保護組織の無いところがある。
そこに動脈硬化による延長蛇行などで変形した上小脳動脈が触れるようになると、三叉神経痛を引き起こす。
三叉神経痛は虫歯と間違われることが少なくなく、必要のない抜歯が行われるような例もある。
また、群発性頭痛や顎関節痛などとの鑑別診断にも注意を要するといわれている。
テグレトールと三叉神経痛
テグレトールは抗てんかん剤として知られる薬ですが、ほかにも躁病、躁うつ病の躁状態、統合失調症の興奮状態、三叉神経痛に対する適応を持ちます。
テグレトールが疼痛発作を抑制する機序の詳細は明らかではありませんが、抗痙攣作用が延髄に働きかけて鎮痛効果を表すと考えられています。
三叉神経痛に対するテグレトールの用量は、1日200~400mgから始めて通常1日600mgまで、症状により1日800mgまでとされています。
これに対し、てんかんや躁病などに投与する場合は、1日1200mgが上限とされています。
テグレトールの用法
1. 精神運動発作、てんかん性格及びてんかんに伴う精神障害、てんかんの痙攣発作:強直間代発作(全般痙攣発作、大発作)の場合
カルバマゼピンとして通常、成人には最初1日量200~400mgを1~2回に分割経口投与し、至適効果が得られるまで(通常1日600mg)徐々に増量する。症状により1日1,200mgまで増量することができる。小児に対しては、年齢、症状に応じて、通常1日100~600mgを分割経口投与する。
2. 躁病、躁うつ病の躁状態、統合失調症の興奮状態の場合
カルバマゼピンとして通常、成人には最初1日量200~400mgを1~2回に分割経口投与し、至適効果が得られるまで(通常1日600mg)徐々に増量する。症状により1日1,200mgまで増量することができる。
3. 三叉神経痛の場合
カルバマゼピンとして通常、成人には最初1日量200~400mgからはじめ、通常1日600mgまでを分割経口投与するが、症状により1日800mgまで増量することができる。
小児に対しては、年齢、症状に応じて適宜減量する。
三叉神経痛には、テグレトールのほかフェニトインやバルプロ酸ナトリウムなどの抗てんかん薬が主に用いられる。
効果がみられない場合には、外科手術、神経ブロック、定位放射線治療などが選択される。
現在はMRIの高性能化が進んでいるので、これらの手技は以前よりも正確かつ安全に行われるようになっている。
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