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片頭痛にNSAIDsは効くか?
公開. 更新. 投稿者:頭痛/片頭痛.この記事は約3分9秒で読めます.
3,855 ビュー. カテゴリ:NSAIDsと片頭痛
痛みに対する治療に用いられる消炎鎮痛薬(NSAIDs)は、痛み信号が伝わるのを止めたり、痛みのもとが作られるのを減らしたりして、脳が「痛み」を感じにくくするという作用があります。
しかし、これは痛みの原因に根本的に作用するものではありません。
トリプタン製剤の場合、片頭痛の原因となる頭の血管に作用して、異常に拡張した血管を収縮させるとともに、炎症を抑え、三叉神経に作用して痛み物質が出るのを防ぐという、片頭痛の原因に直接作用する働きがあります。
片頭痛は血管が拡張して炎症を起こす病気です。
しかも、痛みがどんどん増強していきますから、いったん片頭痛が始まってひどくなると、一般の消炎鎮痛薬(NSAIDs)では効果がありません。
消炎鎮痛薬(NSAIDs)やエルゴタミン製剤は、痛みが軽いうちに使用すれば効果があります。
しかし、トリプタン製剤の場合、片頭痛の原因に直接作用するため、痛みが激しくなってからでも効果があらわれます。
熱も痛みもターゲットは同じ?
頭痛のような痛みでは、体内で発痛物質の作用を補助する発痛増強因子のプロスタグランジンが黒幕を務めます。
プロスタグランジンが通常よりも多くつくられると痛みを感じるようになるので、この産生を抑えることが痛みを和らげる戦略として使えます。
実際、鎮痛薬の多くは、プロスタグランジンをつくる酵素の「シクロオキシゲナーゼ(Cyclooxygenase:COX)」の活性を抑制する作用をもっています。
実は、プロスタグランジンは痛みだけではなく、発熱のメカニズムにもかかわっています。
熱でも痛みでも同類の分子がかかわっていることから、これらの産生を阻害する薬は、どちらにも効果をもつ「解熱鎮痛薬」になるのです。
NSAIDs
「非ステロイド系抗炎症薬」=Non-SteroidalAnti-InflammatoryDrugsを略して「NSAIDs(エヌセイズ)」と呼びます。
NSAIDsはその名のとおり抗炎症作用をもつ薬物群なのですが、プロスタグランジンの産生を抑えるメカニズムによって鎮痛作用と解熱作用もあわせもつことから、解熱鎮痛薬としても多くの場面で用いられているのです。
NSAIDsでは、他にもイブプロフェン、インドメタシン、ジクロフェナクなどがよく使われ、いずれも抗炎症作用、鎮痛作用、解熱作用をもちあわせています。
使用にあたっては、三つの作用のうち、どれに比重が高いかというバランスによって用途が分けられています。
COX
プロスタグランジンをつくる酵素のシクロオキシゲナーゼは、その英名から「COX(コックス)」を呼ばれます。
これまでにcox-1~COX-3の三種類がみつかっていて、体内での分布や発現様式が異なることが知られています。
cox-1とCOX-2はともにNSAIDsのターゲットになりますが、cox-1は恒常的に発現していて、プロスタグランジンがもつ胃の粘膜保護作用に関与しています。
NSAIDsには胃炎や胃潰傷といった消化管に関する副作用が付きまといますが、これはNSAIDsによってプロスタグランジンの生成を抑えることで胃の粘膜保護作用が弱くなり、胃酸などの攻撃をしのげなくなることが原因です。
一方のCOX-2は炎症時に誘導されるので、胃の粘膜保護には直接の関係はありません。
つまりcox-1には作用せずCOX-2のみをターゲットにした薬があれば、胃潰瘍などの副作用をもたない「夢の鎮痛薬」になるのです。
COX-2選択的阻害薬
これまでにセレコキシブやエトドラクなどがCOX-2を選択的に阻害する「夢の鎮痛薬」として発売されました。
思惑どおり、胃腸障害は取り除かれたのですが、一方で、これらの薬には血栓形成傾向の副作用があることがわかりました。
いまでは、慢性関節リウマチのように用途を絞って使用されています。
アセトアミノフェン
解熱鎮痛薬としてアスピリンと双壁をなすアセトアミノフェンは、NSAIDsと同じくcoxをターゲットとしますが、非ピリン系に分類され、NSAIDsのような抗炎症作用はもちません。
とくに中枢で発現するCOX-3をターゲットとし、消化管での副作用を生じにくいことから、空腹時でも服用が可能です。
他にも小児への処方が可能なことや、アスピリン喘息のようなNSAIDsアレルギー患者へも適応できることなど、NSAIDsの欠点を補う役目を果たしています。
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