2024年12月18日更新.2,481記事.

調剤薬局で働く薬剤師のブログ。薬や医療の情報をわかりやすく伝えたいなと。あと、自分の勉強のため。日々の気になったニュース、勉強した内容の備忘録。

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フレイルとサルコペニアとロコモティブシンドローム

老化現象

薬剤師

フレイルとかサルコペニアとか最近聞くけどどういう意味?

最近よく聞く、フレイル、サルコペニア、ロコモティブシンドロームなどの病名というか、状態というか、老化現象について学ぶ。

フレイル

フレイルは、海外の老年医学の分野で使用されている英語の「Frailty(フレイルティ)」が語源となっています。「Frailty」を日本語に訳すと「虚弱」や「老衰」、「脆弱」などを意味します。日本老年医学会は高齢者において起こりやすい「Frailty」に対し、正しく介入すれば戻るという意味があることを強調したかったため、多くの議論の末、「フレイル」と共通した日本語訳にすることを2014年5月に提唱しました。

フレイルとは高齢期に様々な生理的予備能が低下することによって、ストレスへの耐性低下が起こり、健康障害が生じやすい状態を指し、健康と身体機能障害の間の段階として位置づけられている。

高齢者が要介護状態に陥る過程には、意図しない衰弱、筋力の低下、活動性の低下、認知機能の低下、精神活動の低下など健康障害を起こしやすい脆弱な状態(中段階的な段階)を経ることが多い。
フレイルは、身体的、精神神経的、社会的な側面を包含する広範な概念とされています。

ロコモティブシンドロームは、身体的フレイルにおいて、運動器の障害による移動機能の低下を来す病態として重要な位置を占め、サルコペニアは筋肉減少、筋気脳低下というフレイルの中心的病態と考えることができます。

サルコペニア

サルコペニアとは、ギリシャ語で筋肉(sarx)と喪失(penia)の造語で、1989年にIrwin Rosenbergによって加齢に伴って生じる骨格筋量と骨格筋力の低下を意味する言葉として提唱されました。

ロコモティブシンドローム(運動器症候群)とサルコペニアは類似した概念で、混同されやすい。
ロコモティブシンドロームは、運動器の障害のために移動機能の低下をきたした状態、一方、サルコペニアは、進行性および全身性の筋肉量および筋力の低下を特徴とする症候群とされている。
ロコモティブシンドロームは、要介護状態になるリスクが高くなる。一方、サルコペニアは、身体的な障害や生活の質の低下、および死などの有害な転帰のリスクを伴うとされる。

加齢に伴って、「足腰が弱る」ことは古くから経験的にも知られていたが、長い間、自然な老化過程で生じる現象と受け止められ、病的状況と捉える発想はなかった。

この「足腰が弱る」という状態は、関節機能が、腰や膝、股関節などにおいて、移動制限や疼痛を伴って低下する場合が典型であるが、ほかにも、筋肉、骨、軟骨、関節等の体を動かす運動器全体の衰えが様々な組み合わせで生じる広い概念と、筋肉が量的減少や質的劣化を生じて移動能力が低下する状況が混在しているように考えられる。
前者がロコモティブシンドロームの概念、後者が筋肉が加齢とともに衰えて筋肉量が減少し、筋力あるいは身体機能も低下した病態を意味するサルコペニアの概念に該当するようになった。

当初は筋肉が減少する病態として知られてきましたが、近年では、加齢のみならずさまざまな原因から引き起こされる全身性の骨格筋量減少と筋機能の低下を呈した症候群と考えられています。
進行すると、転倒、活動度低下、要介護状態、死亡のリスクが高くなるため、高齢者にとって筋量や筋力の維持は将来の生活の質を保つための重要な目標となります。

発症メカニズムは明らかではないが、加齢、廃用、内分泌、神経変性疾患、栄養不良、悪液質などによってたんぱく質の合成、分解、神経や筋へ様々な機序に対して影響を与えることによって筋肉量や筋力の低下が生じるとされている。

ロコモティブシンドローム

ロコモティブシンドローム(locomotive syndrome)とは、「運動器の障害のために移動機能の低下をきたした状態 」のことを表し、2007年に日本整形外科学会によって新しく提唱された概念です。和製英語であるため、海外ではほとんど認知されていません。

ロコモティブは「運動の」という意味です。 「機関車」という意味もあります。
なので、ロコモティブシンドロームは運動器症候群と訳します。

骨や筋肉、関節など運動器の働きが衰え、生活の自立度が低くなり、要介護の状態や要介護となる危険の高い状態のことをいいます。

国民生活基礎調査(〇七年)によると、介護が必要になった理由は、脳卒中(23・3%)、認知症(14%)が上位を占めるが、四位の関節疾患(12・2%)と五位の骨折・転倒(9・4%)を合わせると、五人に一人は運動器の障害が原因になっている計算です。

  • 家の中でつまずいたり滑ったりする
  • 階段を上るのに手すりが必要である
  • 15分くらい続けて歩くことができない
  • 横断歩道を青信号で渡りきれない
  • 片脚立ちで靴下がはけなくなった
  • 2kg 程度の買い物をして持ち帰るのが困難である(1リットルの牛乳パック2個程度)
  • 家のやや重い仕事が困難である(掃除機の使用、布団の上げ下ろしなど)

1つでも当てはまればロコモの心配があります。

運動器を構成する骨、軟骨、質的に減少するうちに、軟骨であれば変形性関節症など、骨であれば骨粗鬆症という基礎疾患から膝痛や腰痛、骨折などの症状が何らかのきっかけで引き起こされ、表面化(発症)して進行するという経過をたどります。

ロコモティブシンドロームもフレイルも日本でしか通じない単語なので、サルコペニアという概念が本質といえば本質なのかもしれない。

老化現象の流れとしては、ロコモティブシンドロームで運動できなくなって、筋力低下してサルコペニアになって、虚弱状態のフレイルに陥って、要介護状態になるという流れ。

つまり、ロコモティブシンドロームを予防するために、足腰を鍛える、歩く、ということが健康寿命を延ばすために必要なことであると。

我が身を振り返っても、足腰が弱ってきていると感じる。
歩かないとなあ。

薬剤師

勉強ってつまらないなぁ。楽しみながら勉強できるクイズ形式の勉強法とかがあればなぁ。

先生

そんな薬剤師には、m3.com(エムスリードットコム)の、薬剤師のための「学べる医療クイズ」がおすすめ。

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