2024年11月20日更新.2,474記事.

調剤薬局で働く薬剤師のブログ。薬や医療の情報をわかりやすく伝えたいなと。あと、自分の勉強のため。日々の気になったニュース、勉強した内容の備忘録。

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患者フォローアップの義務化?

服薬管理指導料

2022年度の調剤報酬改定で、「薬剤服用歴管理指導料」が「服薬管理指導料」と名称変更になった。

算定要件は以下の通り。

• 患者ごとに作成された薬剤服用歴に基づき、投薬に係る薬剤の名称、用法、用量、効能、効果、副作用及び相互作用に関する主な情報を薬剤情報提供文書により患者に提供し、薬剤の服用に関して基本的な説明を行うこと。
• 服薬状況等を踏まえた薬学的知見に基づき、処方された薬剤について、薬剤の服用等に関して必要な指導を行うこと。
• 手帳を用いる場合は、調剤日、投薬に係る薬剤の名称、用法、用量その他服用に際して注意すべき事項を手帳に記載すること。
• これまでに投薬された薬剤のうち、服用していないものの有無の確認に基づき、必要な指導を行うこと。
• 薬剤情報提供文書により、投薬に係る薬剤に対する後発医薬品に係る情報を患者に情報提供すること。
処方された薬剤について、保険薬剤師が必要と認める場合は、患者の薬剤の使用の状況等を継続的かつ的確に把握するとともに、必要な指導等を実施すること。
• 1の患者であって、手帳を提示しないものに対して、上記を行った場合は、2により算定する(4のイ及びロについても同様)。

「処方された薬剤について、保険薬剤師が必要と認める場合は、患者の薬剤の使用の状況等を継続的かつ的確に把握するとともに、必要な指導等を実施すること。」という算定要件が追記され、服薬管理指導料にフォローアップが盛り込まれたわけだ。

これにより、今までの点数よりも2点アップしている。2点アップ分働かなければならない。

「保険薬剤師が必要と認める場合は…」って書いてあるから、必要と思わなければしなくてもいいでしょ、ってことではない。
個別指導のツッコミ要因が増えたということだ。
受診予定日になっても受診しないような患者を放置してたら、薬剤師としての責務を果たしていないと言われるわけだ。高齢で独居の高齢者の薬歴などは気をつけたほうがいいかも知れない。

「薬剤服用歴管理指導料」という名称だと、薬歴管理がメインになっているが、「服薬管理指導料」だと、薬歴を記載している日のみならず、服薬期間中の行動に対する評価という意味合いにとれる。

服薬期間中のフォローアップ

薬剤師の皆さん、投薬した患者のフォローアップしてるでしょうか?

私は、全然しておりません!薬渡して終了。2020年9月から服薬期間中のフォローアップが義務化されるってよ。やべーぞ。

薬剤師法の改正により、 第二十五条の二が、現状の、

薬剤師は、調剤した薬剤の適正な使用のため、販売又は授与の目的で調剤したときは、患者又は現にその看護に当たつている者に対し、必要な情報を提供し、及び必要な薬学的知見に基づく指導を行わなければならない。

から、以下のように変更になる。

薬剤師は、前項に定める場合のほか、調剤した薬剤の適正な使用のため必要があると認める場合には、患者の当該薬剤の使用の状況を継続的かつ的確に把握するとともに、患者又は現にその看護に当たっている者に対し、必要な情報を提供し、及び必要な薬学的知見に基づく指導を行わなければならない。

「継続的かつ的確に把握する」うーむ。ムズいぞ。

具体的に何すりゃ良いんだ?電話すりゃいいのか?

ということで、日薬の「患者フォローアップの手引き」をみてみる。

薬剤使用期間中の患者フォローアップの手引き (第 1.0 版)

次回来局までのフォローアップは、薬剤師が薬学的知見に基づいて判断するものであり、必ずしも患者等の同意を前提としない。一方、薬剤師が必要な確認を行 おうにも、患者等の協力がなければ事実上実施は困難である。薬剤師は、患者等 にあらかじめその意義・内容を丁寧に説明し、理解を得るよう努めること。なお、 「法律で決まった」「実施するよう指導された」等の非本質的な説明は薬剤師とし ての責務を放棄し、信頼を失墜させる行為であるので厳に慎むこと。

特に同意を得る必要は無い。でも、いきなり電話して「調子はどうですか?」とか聞いても「???何の用?」ってなりそう。
それに対して「法律で決まったのでー」って言いそう。

薬剤交付から次回来局までのフォローアップは、この間の状況の経過(変化) に注目するものであることから、使用中の薬剤や併用薬(一般用医薬品等を含む) の確認のみならず、必要に応じて、疾患(原疾患、既往歴、合併症等)、また家族 や就学・就業等を含めた生活環境等、使用期間中に状況変化を及ぼすと思われる 点について確認し、薬学的知見に基づき分析・評価した上で総合的に判断する。 すなわち、フォローアップは患者ごとに個別に判断するものであり、例えば、 「ハイリスク薬に該当する」といった情報のみに基づいて機械的・一律に判断するものではないことにあらためて留意する。

患者等への確認をどのようなタイミングで実施するかは、患者像、使用薬剤等 により様々である。また、初回の確認以降も定期的(周期的)な確認が必要かの 判断も必要となる。薬剤師は、患者の病識・薬識や生活環境も含めた患者像及び 薬剤の持つリスク(有害事象等)の発現頻度・好発時期等に関する安全性情報を 踏まえて、これらを的確に判断する必要がある。 なお、「新規患者には○週間目に自動で定型文を送信」「ハイリスク薬を使用中の患者は×週間毎にアラート」といった一律の運用は、有益でないばかりか患者等の信頼を損ねることにもなりかねないので、実施にあたっては慎重に検討する こと。

「ハイリスク薬が処方されている患者のメアド聞いて、一斉メールするシステム作れば良いんじゃね?」とかもダメ?というか、慎重に運用する。

一般的に、患者等に確認を行う手段としては、対面(来局・訪問)のほか、電 話やファックス等が挙げられる。また、最近では、電子お薬手帳や SNS など ICT の活用も進んでいる。 確認方法を選択する上では、「目的に照らして適当か」「双方向性が維持されているか」が重要になると考えられ、薬剤師はそれらを適切に判断する。 例えば、これまで使用したことのない薬剤を開始する場合で、使用状況をはじめ生活機能への影響など広範な内容を確認したい場合には、対面や電話等が選択肢になるであろうし、⻑期的なアドヒアランス維持が中心である場合には、ICT の活用(「忘れずに服用できていますか?」「使用する上で問題等はありませんか?」 といったメッセージを患者等の端末に発信し、患者等から回答を得る等)も選択肢として考えられる。また、いずれの方法にせよ、薬剤師と患者との双方向性が 維持されている必要がある。 なお、生活環境や ICT リテラシーなどにより、患者側から希望が寄せられるケ ースもある。そのような場合も、その方法が目的に照らして適当かを考慮しつつ、 患者と十分にコミュニケーションを取りながら選択する。

理想としては、情報管理を一元化する形で、電子お薬手帳を活用できればいいのだろうけど、現在の電子お薬手帳の普及率では難しい。

患者がせっかくフィードバックした情報を薬局側が見逃してしまっては元も子もない。

でもさ、思うんですが、患者に「何かお薬で困っていることはありませんか?」というフォローアップの電話をした場合に、一番多いであろう相談内容は、「薬が足りなくなりそうなんだけど」「効かないんだけど」といった、薬剤師にはどうにもできない相談ばかりで「・・・病院に行ってください」としか言えず、「何のために電話してきたんだ」と患者が怒りだしそうなイメージしかわかない。

結局、フォローアップ時にせよ、服薬指導時にせよ、患者から得た情報を処方元の医師にフィードバックできなければ意味がない。現状そこに積極的な薬剤師は少ないだろう。

実際に、2020年9月になってみて、各薬局がどのような取り組みをするのか興味深いが、「次回もうちの薬局にお越しくださいね」みたいなセールストークと受け取られないように気をつけたい。

薬剤師

勉強ってつまらないなぁ。楽しみながら勉強できるクイズ形式の勉強法とかがあればなぁ。

先生

そんな薬剤師には、m3.com(エムスリードットコム)の、薬剤師のための「学べる医療クイズ」がおすすめ。

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